1998年5月31日発売
オイルスター社の超大型タンカー、ゾロアスター号は、到着を目前にして操船不能に陥り、ゴールデンゲート橋の橋脚に激突した。この事故でタンカーの原油百万バレルがサンフランシスコ湾内に流出しはじめた。オイルスター社はただちに原油回収作業を開始し、自功保護団体のボランティアたちも必死で活動するが、ほとんど効果はあがらない。マスコミは対応の遅いオイルスター社を非難しだしたが…話題のバイオ・サスペンス。
サンフランシスコ湾内に流出した原油のために、ラッコやアシカ、カモメなど湾内の生物がつぎつぎと死んでいく。早急な解決策を求めるオイルスター社は、開発したばかりの原油を食べる微生物プロメテウスを使うことにした。ところが、この微生物が原油だけでなく、ガソリンやプラスチックなどあらゆる石油製品を分解しはじめたのだ。世界を破滅の危機に陥れた微生物がもたらした恐るべき運命を描く、バイオ・サスペンス。
ノール国の王女ヘジは、唯一神として君臨する強大な河の神の支配から逃れようと、都からの脱出に成功した。そこには、彼女の思念による呼びかけに応えて、はるばるやってきた北の部族の青年ペルカルの助けがあった。一行は大河の神の力の及ばぬ、西の砂漠をめざす。だが、大河の神によってよみがえらされた暗殺者が、彼らの後を追ってせまりつつあった。期待の俊英が描く傑作ファンタジイ。『水の都の王女』の続篇登場
ヘジは裡に秘めた能力から呪い師としての訓練をうけはじめ、その実力をめきめきと上げていった。一方ペルカルは、このままでは世界中の神が大河の神に呑みこまれてしまう、という大鴉の神のことばを信じ、大河の神の息の根をとめるために、その源をめざす。だがそれを阻止しようと、よみがえった暗殺者をはじめとする、大河の神の手のものによる妨害が次々と一行に襲いかかる。壮麗なる異世界ファンタジイの傑作巨篇。
エリザベス女王が使用人の死体を発見するなんてー居合わせたメイドのわたしは、事の真相を密かに探るよう命じられた。死んだ男は、つい先日も女王の居室近くにいたという。なぜそんな畏れおおい所にいたのか?やがて宮殿で働く者たちの秘密が明らかに…女王陛下の小粋なメイド探偵ジェインの活躍を描く、カナダ推理作家協会賞最優秀処女長篇賞受賞作。
ニューヨークのスカイラインに、数え切れぬほどのクレーンが聳え立っている。この街は、かつてない建設ブームに沸いているのだ。飛び交う巨額の金。街を駆けめぐる狂躁。やがて、アイルランド系の犯罪組織が、さらなる金を求めて蠢きはじめる。街の空気がさらに澱み、黒くなっていく。暴力と流血の予感に、FBIが動き出す-この街で、ある兄弟の絆が、試練の時を迎えようとしていた。兄である元ボクサーのパディは、悪の道へと足を踏み込み、いまは組織に雇われている。弟のビリーは、弁護士を目指して大学で勉学に励んでいる。百八十度違う人生を歩む二人は、やがて暴力と強欲の抗争に巻き込まれ、互いに死力を尽くすことになる。血の絆を、守るために。
上野下町界隈から、児童三十名が忽然と姿を消した。翌日、未曾有の激しい雨と雷が帝都を襲った。台風の翌日、朝焼けの中、天王寺の僧侶・寛永は人気のない寺の裏手の墓地へ向かっていた。ほかの新米僧侶とともに、墓地の草刈りをいいつけられたのだ。汗だくになり、草刈りを続ける寛永の目の前に、お地蔵様の影がよぎった。こんな墓地の中にお地蔵様があったっけ。不思議に思い進むと、また一体、目を凝らした寛永は、黒っぽい霧と見えたものが、蝿の大群であることに気づいた。これは…子どもの死体だ。怪異な事件の始まりだった。帝都を襲う悪夢の事件。驚愕の新本格推理傑作。