1998年発売
FBI捜査官ショーン・アーチャーは、自分の幼い息子を殺したテロリスト、キャスター・トロイを逮捕する。トロイは植物人間となるが、アーチャーは彼の顔を自分に移植し、テロリストの陰謀を暴こうとする。やがて昏睡から覚めた凶悪犯トロイは殺人と偽りによってアーチャーの顔を手に入れ、彼の人生に侵入する。鬼才ジョン・ウー監督で映画化。名作「ブレードランナー」を超えるアクション巨篇。
昭和18年10月8日午前0時-アメリカによる一方的な対日最後通牒の期限が切れた。日米両国は、ついに戦争状態に突入した。開戦日の午前4時に、ハワイ・オアフ島の真珠湾基地30キロの海域で4隻の潜水艦が一斉に浮上した。それは、日本海軍の奇襲作戦を実行する秘密部隊=01遊撃隊の先遣隊だった。各艦から艦対地ミサイルが発射され、真珠湾基地は火焔地獄と化した…。同じ頃、角田覚治率いる遊撃隊本隊は、ミッドウェー北方200キロにあった。装甲空母「白鶴」より発進した70機の攻撃隊により、ミッドウェーのアメリカ航空勢力は壊滅…。米太平洋艦隊は無力化され、ルーズベルト大統領の焦りは強まる。さらに、ハワイに向かう大輸送船団に、日本潜水艦隊の雷撃が迫る。
CICに立つ米海軍の智将、レイモンド・スプルーアンス中将。日本艦隊を返り討ちにすべく、詳細な情報をもとに仮泊地を出航した米艦隊だが、スプルーアンスは奇襲攻撃に怯えていた。防御態勢も鉄壁、不安要素は何もないはずであった。ただ一点を残して…。彼を不安にさせているもの、それは日本軍の新型戦闘機の存在であった。米海軍の高度かつ緻密な情報収集能力をもってしても、“甦った零戦”こと烈風の存在は不明な点が多かった。さらなる調査と、ゼロを圧倒した二機一組の編隊を維持しアタックする戦術を戦闘機部隊に徹底することで、冷静沈着な将軍は、新たなる敵を仕留めるべく準備を開始した。かくして、日米機動部隊激突の刻が迫りつつあった-。
内閣調査室の工作員だった速水は引退して、今は六本木のディスコのオーナーに収まっていた。しかしその平穏な日々は親友だった竹中の息子の出現によって破られた。息子の話から竹中の死に不審を感じた速水は、元の上司が副頭取に就任している銀行を脅迫、十五億円を要求すると同時に真相を暴こうとする。その速水の許に五人の男女が集まって…。痛快ハードボイルド。
幼くして両親を失くしたローラは夫アレクとの新婚生活の幸せのさ中にありながら、妻として自信の持てない自分をもどかしく感じていた。季節は夏。病後の療養に出かけた先はアレクの叔父の住むコーンワルの果てのトレーメンヒア荘。ローラを迎えたのは風変わりな人々の暮らす地上の楽園であった。コミューンの暮らしから照らし出される家族の形-孤独と癒し。人間のやさしさと怖さが胸に迫る物語が渋滞なくうつくしく展開する。
「人生はあたしをたたきのめすハンマーなの?」…父親の二人目の子を妊娠、母親にはいたぶられる毎日。ハーレム生まれの16歳、プリシャスは家族の暴力と無知に打ちのめされ、希望も夢もない生活を送っていた。死んでいた彼女の感情を生き返らせたのは、読み書きを教えてくれたレイン先生との出会いだった。つたない文字で綴り始めたプリシャスの日記は、レイン先生に導かれ、いつしか激しい怒りや愛への憧れをあらわす詩の世界へと変わっていく…。
トップの座を目前に住友を去った著名な経済人にして一代の歌人川田順と、短歌の弟子である若き京大教授夫人の灼熱の恋…。戦後の日本を背景に、二人の恋の道程を、繊細に、端正に、香り高く描く、昭和を代表する愛の物語。第三十回谷崎潤一郎賞受賞作。
同時に、しかも別々に誘拐された美貌の妻と娘の悲鳴がはるかに聞こえる。自らが小説の登場人物であることを意識しつつ、主人公は必死の捜索に出るが…。小説形式からのその恐ろしいまでの“自由”に、現実の制約は蒼ざめ、読者さえも立ちすくむ前人未踏の話題作。泉鏡花賞受賞。
長い闘病の苦難を通して現代医療の体質を問い、生きる希望を語る。繰り返す入退院、薬の副作用、医師の辛い態度、心身をさいなむ痛み、そして車椅子生活…。精神的肉体的に追いつめられながらも、もちこたえた日々を綴った感動の記録。
キスも初恋も未経験・高二の幸彦は、従姉の結婚式で出逢った男に突然「好きだ」と告白されたけど本気にできない。だってその「藤倉さん」は十一も年上のオトナで、スーツがキマってて、男前で…コドモを相手にするわけが…えっ、ちょっと待って、ここは…ホテル!?オール商業誌未発表作&書き下ろし、高坂結城流ロマンス。
仙台で個展を開いていた創作折り紙の第一人者・華村研は、何者かが江戸期の手法で見事に折り上げた“紙の蜻蛉”を会場で見つける。その夜、弟子の女性が殺され、現場にはまたも紙の蜻蛉が落ちていた。華村を凌駕するほどの技の持ち主は誰か。彼が探し当てたのは、八歳の無邪気な少女・怜だった。しかも怜の身体には、江戸の天才人形師・泉目吉が甦っていたー。あらゆる仕掛け物から、はては人情の裏側にまで通じた比類なき名キャラクター、目吉先生が鮮やかに謎を解き明かす四つの事件。「紙の蜻蛉」「お化け蝋燭」「鬼火」「だまし絵」を収録。
世紀末の怪事件「東京ヴァンパイア」解決へ、ついに伊集院大介が動き出した!殺された中年男性が持っていた謎のCD、渋谷のカラオケボックスで秘かに売買される奇怪な「ゾディアックカード」…。聞き込みを続ける大介に、さらに不吉な知らせが。
’81年パリで本当に起こった今世紀サイテーの事件を最強のコンビ(うち1名当事者)がよみがえらせた地獄のメルヘン。パリ人肉事件・当事者、佐川一政の小説と特殊漫画家・根本敬のヴィジュアルによる最暗黒の饗宴。
ラブ・ストーリーを読みながら西洋思想のおさらいができる、すこぶるユニークな小説。恋人との出会いから別れまでさまざまな愛の局面を、プラトン、モンテーニュ、ニーチェなど「知の定番」と戯れつつ考察する俊英の処女作。
フランスの片田舎に育ったフィリップは、母から自分がイギリスの公爵の私生児だと知らされる。財産相続の証拠となる手紙を携え危篤の父に会いにイギリスに渡るが、正妻と嫡男に命を狙われ、ロンドンに逃げる。印刷屋で世話になるうちにフランクリンを知り、印刷、出版の啓蒙的役割に惹かれ、新大陸で身を立てる決意をする。ボストンの印刷屋は独立運動家達のアジトで、次第に彼等と深い関わりを持つことになる。ケントでの運命的な恋の行方は?ボストンで出会った新しい時代を生きる女性とは?貴族生活への夢とアメリカの民主運動の間で揺れる心の葛藤は?さまざまな歴史上の人物がフィリップと交わり数々の逸話が語られていく…。フランス〜イギリス〜アメリカを舞台に繰り広げられる大河ロマンの第一弾。
ワシントン(後の米大統領)の英国への反乱軍兵士として、平和を夢みながら勝利のために、飢え、寒さ、病気、怪我に苦しみながらも懸命に戦うフィリップ・ケント。彼と結婚し一児を儲けるが、悲劇的な結末を迎えるアン。優しいが、弱い性格のジャドソン・フレッチャーは、ヴァージニアの大農園主の次男として生まれたが、父親の期待に添えず、初恋の人も友人に嫁ぎ、酒と放蕩の日々を過ごす。不名誉で、悩める彼が、それでも英雄になれたのは何故か?フィリップとジャドソンを結び付けることになる、美しく聡明なペギー・マクリーンは?アメリカの独立戦争を背景にダイナミックに展開する親子の、夫婦の、兄弟の、友人の、そして人間全体への愛に溢れる巨編。