1998年発売
おなじ外観の家が続く雪に塗りこめられた街の迷路をさまよう敗残兵の姿と、「ライフェンヘルスの敗戦」と題された絵の場面とが交錯し、物語は複雑な軌跡を描きながら展開回帰をくり返す。兵士は銃撃をうけ、居合わせた医者に介抱されながら死ぬが、意表をつく結末が控えている。執拗なまでに幾何学的な描写によって独特の世界を構築し、ヌーボー・ロマンの旗手となったロブ=グリエの代表作。
「都会とは恐ろしいところだ」。五年間地方で暮らし、都会に戻った私は毎朝のラッシュに呆然とする。奇妙に保たれた「秩序」、神秘を鎮めた「個と群れ」の対比、生の深層を描出する「先導獣の話」のほか、表題作「木犀の日」、「椋鳥」「陽気な夜まわり」「夜はいま」「眉雨」「秋の日」「風邪の日」「髭の子」「背中ばかりが暮れ残る」の十篇。内向の世代の旗頭・古井由吉の傑作自選短篇集。
彼らは北極点を目ざした…百年以上昔の北極航海日誌を自ら再現しようとした一人の男の狂気が、氷と闇の「物語」の果てに消滅してゆく-。現代ドイツ文学の鬼才ランスマイアーの『ラスト・ワールド』に先行する傑作。待望の本邦初訳。
悪党たちが跳梁跋扈する十八世紀後半のロンドン。盲目の治安判事サー・ジョン・フィールディングは、“ボウ街の捕り手”と呼ばれる警察隊を組織し、犯罪の一掃に乗り出すなど、辣腕判事の誉れ高い人物だった。ある日、発砲事件の報に、助手の少年を従えて貴族グッドホープ卿の邸宅に急行したサー・ジョンは、そこで変わり果てた姿となった卿を発見する。状況から明らかに自殺と思われたが、少年がふと洩らした言葉から、事件は思わぬ方向へ。盲目の判事と、彼の目となり手足となって働く少年が、豪壮な邸宅で起きた密室殺人に挑む時代ミステリ。
日ざかりの小道で呆然と、「私が殺した男」を見つめる兵士、木陰から一歩踏み出したとたん、まるでセメント袋のように倒れた兵士、祭の午後、故郷の町をあてどなく車を走らせる帰還兵…。ヴェトナムの・本当の・戦争の・話とは?O・ヘンリー賞を受賞した「ゴースト・ソルジャーズ」をはじめ、心を揺さぶる、衝撃の短編小説集。胸の内に「戦争」を抱えたすべての人におくる22の物語。
海芝浦に向かう「私」を待ち受けるのは浦島太郎、レプリカント、マグロの目玉…。たどり着いた先はオキナワか?時間と空間はとめどなく歪み崩れていく。言葉が言葉を生み、現実と妄想が交錯する。哄笑とイメージの氾濫の中に、現代の、そして「私」の実相が浮び上がる。話題騒然の第111回芥川賞受賞作の他、二篇を収録。
世界の名作を多数紹介し、10億冊を超えるベストセラーとなった「イラストで読む古典」Classics Illustratedシリーズが装いを新たにして、いよいよ日本に登場。美しくわかりやすいイラストに加え、専門家による作家、背景、テーマ、登場人物、作品の意義などについての解説、原文との対訳をお楽しみ下さい。
世界の名作を多数紹介し、10億冊を超えるベストセラーとなった「イラストで読む古典」Classics Illustratedシリーズが装いを新たにして、いよいよ日本に登場。美しくわかりやすいイラストに加え、専門家による作家、背景、テーマ、登場人物、作品の意義などについての解説、原文との対訳をお楽しみ下さい。
世界の名作を多数紹介し、10億冊を超えるベストセラーとなった「イラストで読む古典」Classics Illustratedシリーズが装いを新たにして、いよいよ日本に登場。美しくわかりやすいイラストに加え、専門家による作家、背景、テーマ、登場人物、作品の意義などについての解説、原文との対訳をお楽しみ下さい。
劉邦(漢王)、項羽、韓信、張良、蕭何ら20人が現代人に語りかける。彼らは人生の危機をどう切り抜けたか。秦王朝から漢帝国へ、動乱期の英雄に「人間行動学」を学ぶ。
香港に戻ってきた竜堂四兄弟。日本では大地震に大噴火と、四人姉妹の人類五十億抹殺計画が進行中。さらに香港に向け核ミサイルも発射された!人類の危機を救うため、四色の巨竜は宇宙に飛び出し、月面で激闘を繰り広げる…。松永クンの秘話も明かされる今巻、自称“美人”の小早川奈津子嬢も当然大活躍。
イギリス海兵隊特殊舟艇部隊を退役したハワードに舞いこんだ、極秘の依頼ーそれはイラクの独裁者フセインの暗殺だった。実行チームの編制に着手したハワードのもとに、英米をはじめとする元特殊部隊員、中東の専門家、射撃の名手など、プロフェッショナルたちがぞくぞくと集まってきた。周到な準備工作をへて、チームはいよいよ中東への潜入を開始する!筋金入りの戦闘員たちがくりひろげる、機略縦横の暗殺作戦とは。
イラク内の暗殺決行地点をめざして潜行するハワードらを、予想外の敵がキャッチしていた。アメリカ国家探偵局のスパイ衛星が、彼らの足跡を捉えたのだ。正体不明のイラクへの侵入者を高空から追尾し、その目的を推察したアメリカ側は色めきたつ。国家安全保障会議は彼らの阻止を決断したが?各国の思惑もからむなか、数々の危機を乗り越えてハワードらは標的に肉迫していく。
人類の未来のため、というと崇高にきこえるが、藤堂京太は究極の女体を求めるセクシーロボットの開発者だ。開発のためには自らを実験台に自慢のイチモツに手を入れて、女体遍歴に明け暮れる毎日。体験を活かして女性用の技術開発にも乗り出した。おまけに、共同研究者の椿千鶴は大変な美人である。はりきって、完璧な女体と男性を造り上げようと頑張る藤堂だった。
FBI捜査官ショーン・アーチャーは、自分の幼い息子を殺したテロリスト、キャスター・トロイを逮捕する。トロイは植物人間となるが、アーチャーは彼の顔を自分に移植し、テロリストの陰謀を暴こうとする。やがて昏睡から覚めた凶悪犯トロイは殺人と偽りによってアーチャーの顔を手に入れ、彼の人生に侵入する。鬼才ジョン・ウー監督で映画化。名作「ブレードランナー」を超えるアクション巨篇。
昭和18年10月8日午前0時-アメリカによる一方的な対日最後通牒の期限が切れた。日米両国は、ついに戦争状態に突入した。開戦日の午前4時に、ハワイ・オアフ島の真珠湾基地30キロの海域で4隻の潜水艦が一斉に浮上した。それは、日本海軍の奇襲作戦を実行する秘密部隊=01遊撃隊の先遣隊だった。各艦から艦対地ミサイルが発射され、真珠湾基地は火焔地獄と化した…。同じ頃、角田覚治率いる遊撃隊本隊は、ミッドウェー北方200キロにあった。装甲空母「白鶴」より発進した70機の攻撃隊により、ミッドウェーのアメリカ航空勢力は壊滅…。米太平洋艦隊は無力化され、ルーズベルト大統領の焦りは強まる。さらに、ハワイに向かう大輸送船団に、日本潜水艦隊の雷撃が迫る。
内閣調査室の工作員だった速水は引退して、今は六本木のディスコのオーナーに収まっていた。しかしその平穏な日々は親友だった竹中の息子の出現によって破られた。息子の話から竹中の死に不審を感じた速水は、元の上司が副頭取に就任している銀行を脅迫、十五億円を要求すると同時に真相を暴こうとする。その速水の許に五人の男女が集まって…。痛快ハードボイルド。
幼くして両親を失くしたローラは夫アレクとの新婚生活の幸せのさ中にありながら、妻として自信の持てない自分をもどかしく感じていた。季節は夏。病後の療養に出かけた先はアレクの叔父の住むコーンワルの果てのトレーメンヒア荘。ローラを迎えたのは風変わりな人々の暮らす地上の楽園であった。コミューンの暮らしから照らし出される家族の形-孤独と癒し。人間のやさしさと怖さが胸に迫る物語が渋滞なくうつくしく展開する。