小説むすび | 1998年発売

1998年発売

五輪の薔薇(下)五輪の薔薇(下)

屍体窃盗団同士の抗争、私設学校での残忍な児童虐待など、さまざまな危難をきりぬけたジョンを待っていたのは、愛する母メアリーの死だった。しかも、貧困の底で死んでいった母の遺した手記から、自分の父と思われる人物が祖父を殺害したかもしれないことを知る。ますます深まっていく謎に懊悩しつつ、ジョンの心に渦巻いていたのは、自分たち母子を陥れた者たちにたいする怒りだった。誰一人信用できる者もないまま、五つの旧家にかかわる莫大な遺産相続と、五輪の薔薇をかたどった五点図形をめぐる謎の解明にむけ、さらなる冒険に身を投じたジョンを、以前にもまして苛酷な試練が待ちうけていた-。立体ジグソーパズルを思わせる、知的で重層的な謎解きに加えて、19世紀ロンドンのアンダーグラウンドの息吹を現代に甦らせる、驚くほどの臨場感。大河小説、ミステリ、教養小説のすべての魅力をはらんだ大作も、いよいよ、呪われた一族の暗鬱たる過去の秘密が明らかにされる、衝撃のクライマックスへ。

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