1999年12月発売
結婚を一ヶ月後に控えた藤森岳志は、独身最後の想い出として、悪友とともに山に登ったが、縦走中に転落死してしまう。婚約者の野々村亜衣は、自分がお守りにと首にかけたペンダントが遺体にないことに、不審を抱くがー。一年後、別の遭難場所から、鎖の切れた、あのペンダントが発見された。真相を追う亜衣の身辺で次々と殺人事件が起きる…。長篇旅情ミステリーの傑作。
藤沢由貴は完全犯罪を計画していた。ところが、予定していた犯行現場で、殺すべき相手ー片倉幹男が死体となっていたのだ。一体誰が自分の計画を知り、自分を犯人にしようとしているのか。警察から容疑をかけられた由貴は、自分の手で犯人を探し始め、殺人現場に奇妙なダイイングメッセージを見つけるのだが…長篇サスペンスミステリーの傑作。
都内のガソリンスタンドに乗用車が突っ込み、爆発炎上した。現場に居合わせた警視庁捜査一課の多岐川恭介は、間一髪で災難を逃れたが、現場を去る不審な車を目撃していた。被害者は、ハイテク企業の社長夫人。何者かの恨みで殺されたのか?事件を追い始めた多岐川は、背後に渦巻く人工臓器開発の実態を掴むが、行く手には権力の壁がー。書き下ろし長篇警察小説。
エロティシズム文学の極北。NYの小さなカフェ・レストラン“オデッサ”で、二人は運命的に出逢った。男は女に様々な性的冒険を求め、女はそれに応えてゆく。SM、スワッピング、etc.…様々なテキストを織り込みつつ展開する、衝撃のポルノグラフィー。
昭和十七年、帝国海軍史上、最大最強の潜水艦・伊号第400潜水艦が、その雄姿を現わした!だが、この最新鋭艦の初陣は、米軍の侵攻により窮地に陥ったガダルカナル島守備隊への物資輸送任務であった。しかも乗員は、実戦経験の乏しい者ばかり。航海長・柳田大尉は、前途に不安を覚える。しかし、艦長・大場中佐のもと徹底訓練を経た艦は、米軍の強固な包囲網を突破!さらなる目的を果たすため、米軍が支配する“海”へ侵攻するが、彼らを待ち受けていたのは深海の地獄であった!息詰まる深海での激闘!“戦争”を極限までの表現力で描ききる、著者会心の新シリーズ、堂々の登場。
天正五年(1577年)秋、加賀で初めて信長軍と対決した上杉謙信は、これを撃破。すでに越中・能登は手中に収めており、能登から加賀へ、さらに越前へ進む謙信の上洛の道すじがととのった。いよいよ翌六年、三月をもっての出陣を決意した謙信は、いざ出陣という七日前、突然、春日山城の自室で襲われ不審な死を…?配下の裏切りか、敵の謀略か?織田方、武田方、明智光秀など、それぞれ配下の「草ノ者(忍び)」の暗躍する中、ある意外な暗殺指令者の名が…!?陰謀渦巻く戦国の闇を切り裂いた、著者入魂の書下ろし歴史推理小説の白眉。
海軍省教育局に出世の遅れた大佐がいた。彼の名は、森昌彦。相手が間違っているなら、たとえ上司であろうとひるまず意見する姿勢。みなに煙たがられてきた男に突然、第一航空艦隊参謀長のポストが用意された。山本五十六連合艦隊指令長官より立案を依頼されたハワイ真珠湾攻撃計画。GF航空参謀の源田実中佐が、森の類まれなる頭脳に賭けたためである。猛訓練中の赤城に着任した森は、航空に関しての経験ゼロにもかかわらず、早くも機動部隊の弱点に気づき、一つの結論にたどりついた。母艦部隊を夜間攻撃の専門部隊とすること-。さらに真珠湾の攻撃を奇襲ではなく、強襲にすることを提案した。新参謀長の奇抜な構想は山本らGF上層部に受け入れられるのか?そして、ハワイ作戦の行く方は…。著者、渾身の架空戦記、刊行開始。
“鬼道”という人ならざる法ー外法の存在を知った風祭兄弟は、事の真偽を確かめるために、九桐の元へ向かう。同じ頃、那智静瑠の抹殺に失敗した九桐は、今度は、双子の弟である雫馬を狙う。夕暮れの図書館で雫馬と九桐の死闘が繰り広げられる。卑弥呼が用いた“鬼道”に魅せられた妖艶な那智姉弟と学園を包む陰の存在を知り始めた風祭兄弟。彼らの運命はー。東京魔人学園双龍変シリーズ、巻之六、ついに登場。学園伝奇ジュヴナイル。
母親同士が無二の親友だったアンとブランチは、片時も離れず共に育ち、実の姉妹以上に愛情と信頼を寄せ合っていた。しかしブランチがアーノルドと婚約した日、アンは書置きを残して失踪してしまう。アーノルドの親友であり、名高い運動選手ジェフリーとの秘密結婚が目的だった。ところが事態は思わぬ方向に展開して行く。当時の婚姻法の不備を訴え、スポーツ礼賛の時流を風刺し、サスペンス小説の面白さと風俗小説の楽しさが見事に融合したコリンズ絶頂期の逸品。
出版社に勤める楠本は、取材で訪れた温泉宿で、学生時代つきあっていた男・安芸と偶然再会する。とまどう楠本に対し、湯治の為に来ているという安芸は普通に接してくる。そんな安芸の態度に思い悩む楠本の元に「安芸が倒れた」という知らせがはいる。安芸を無くしてしまうという不安と焦燥に駆られた楠本がとった行動は…。
自分は女に、餓えている。この餓えを自分は、ある美しい娘が十二分に癒してくれるものと、信じて疑わない。実はいまだに口をきいたことすらなく、この一年近くは姿を目にしてもいない、いや、だからこそますます理想の女に近づいてゆく、あの娘が…。あまりに熱烈で一方的な片恋。その当然すぎる破局までを、豊かな「失恋能力」の持ち主・武者小路実篤が、底ぬけの率直さで描く。