1999年発売
ひとりの魅惑的な女性が死んだ。選ばれた男たちとの遍歴を重ねた途上で。元恋人の三人が葬儀に参列する。イギリスを代表する作曲家、辣腕の新聞編集長、強面の外務大臣。そして、生前の彼女が交際の最中に戯れに撮った一枚の写真が露見する。写真はやがて火種となり、彼らを奇妙な三角関係に追い込んでゆく。才能と出世と女に恵まれた者は、やがて身を滅ぼす、のか。98年度ブッカー賞受賞作品。
四元素王国である風国・水国・火国・地国は、絶対中立地域である魔道機召喚神殿テステを中心にして、それぞれ熾烈な敵対関係にあった。各国の境界地帯には凶暴な〈はぐれ魔道機〉が徘徊するため、国境を破って他国に侵入することは容易ではない。だが、平然と人に襲いかかり村をも破壊する〈はぐれ魔道機〉をまるで恐れない全く新しい力が、いつの間にか誕生していた。それも気弱そうなオルガという少女の中に…。そんな特殊能力を秘めた少女を巡る壮麗な秋津透ワールドが、いま炸裂する。
第2次世界大戦後、敗戦国日本は欧米列国によって、当時、強大な勢力を伸ばしていた吸血鬼たちに差し出されてしまう。50年後、吸血鬼に統治機構のすべてを支配された日本は世界から孤立し、日本人は支配者階級から家畜と呼ばれていた。そんな闇の社会にも不可解な事件は起こる。それらを解決するために吸血政府は、人間と吸血鬼のハーフ美少女アンブレラと、死神を自由に操る謎の美青年、焔烏月にその任務を与えた。しかし二人は…。
連合艦隊司令官・山本五十六海軍大将に課せられた使命は、必敗を運命づけられている対米戦争を如何に闘い抜くかの一点に集約されていた。勝てないまでも負けない戦法はないかー山本長官の脳裏に白皙の青年将校の貌が浮かんだ。彼こそは日露戦争を勝利に導いた天才参謀・秋山真之の再来といわれる矢垣風彦少佐であった。矢垣の秘策に自身を深めた連合艦隊は、北太平洋を東進、一路、真珠湾を目指して旭日旗をはためかす!気鋭の描破する長編太平洋戦記シミュレーション。
生命保険業界で成功を極めつつあったマーク・クリストファーは、ある日、輝かしいキャリアを全部捨てて、作家になることを志す。二人の息子の成長に突然気づき、家族を顧みることのなかったそれまでの「競争人生」に大きな疑問を感じるようになったからだ。会社を辞めた彼は、家族とともに満ち足りた時間を過ごしつつ執筆活動を続ける。やがて、彼の書いた本は大ベストセラーとなるが…。世界中で最も多くの読者を持つ自己啓発書作家であるオグ・マンディーノが、「愛」を宿した選択の大切さをテーマに、ミステリー仕立てで描いた珠玉の1冊。
西暦200X年、北朝鮮はその刃を神国・日本に向けた。1999年3月の不審船の追撃以来、日本と北朝鮮の関係は一触即発だった。福井県・美浜発電所に潜入した北朝鮮の武装集団。同時に北朝鮮軍は軍事境界38度線を越えて韓国へと侵入し始めた。韓国軍は即座に臨戦態勢に入るとともに在韓米軍も戦争マニュアルにのっとり行動を取った。いつしか後方支援の自衛隊も前線に登場したのだった。
日本を、世界を闇で支配する鳥玄坊一族に襲いかかる未曾有の危機。深海に眠る神獣は魔物と化して目覚め、米韓連合軍は日本殲滅に出動し、日本を地上から消しかねない巨大地震は目睫に迫った。さらに鳥玄坊に匹敵する力を秘めた、狐寿琳の子・義円の覚醒も近い…。地球の誕生より古い巨大な神殿群がそびえる“大和空間”にくりひろげられる新創世記。人間・神・宇宙誕生の真実を明かし「永遠の今」を封印した鳥玄坊三部作ここに完結。
七つの短編全てが読者への挑戦!周到極まりない殺人者の犯したたった一つの過ちとは?あるべき場所に死体がなかったのはなぜ?最有力容疑者を潔白であると探偵、信濃譲二はいうが?あらゆる角度から「推理小説」の醍醐味を味わってください。袋綴じの中に入った解答編を読むのは全ての謎を解いてから。
怪盗アルセーヌ・ルパンの淡い恋と冒険を描いた「ルパンの慈善」。アリバイ崩しの名探偵・鬼貫警部が活躍する「風邪の証言」。ヘンリー・メリヴェール卿が密室に挑む「赤死荘の殺人」。名探偵の華麗な推理に挑戦した贋作3篇を含む5作品に、敬愛するJ・D・カーについて芦辺拓氏との熱血対談、随筆を収録した新本格作品集。
闇の世界の支配者となるべく謀略を巡らせ、暴力とカネで禿鷹のごとく敵を食い尽し、のし上がっていく加賀篤。だが、大金と権力を手中に収めたとき、悲劇と崩壊は始まり、この世界を支配する真実の「闇の貴族」が姿を現す!金融と裏社会の修羅を生き抜いた著者が、世紀末に贈る悪漢小説。驚愕の破壊的一作。
貪欲なセックスに食傷気味な俺が出会ったのは転校生の瑞穂。お嬢様で何も知らないウブなところが最高だ。周りは狼みたいな奴らだし俺が守ってやらないと。陰で見守る俺が見たものは…。「はあっ、あふぅ」。教師に犯され無心に腰を振る瑞穂の姿だった!!無知な面してヨガってやがる。幻滅した俺は、老人介護と騙し変態ジジイに犯させる事を思い付いた。上手くいったはいいが、やりすぎてジジイがぽっくり逝っちまった!やばい予感。一体俺達はどうなっちまうんだ。
世界各国の政府や、一流法人の依頼を受けて、国際的な規模の仕事を請け負うプロ集団「黄金の頭(オラ・カベサ)」。経済マフィアの大物を消し、経営陣として役員の一人に加わった楯岡久への次なる依頼は、腐敗した世界オリンピック委員会を一掃することだった。美しきスイスのレマン湖畔を舞台に圧倒的な迫力で描く、書き下ろし国際冒険シリーズ、好評の第五弾。
’98年に小説誌等に発表された約800篇もの短篇ミステリーの中から、日本推理作家協会が厳正な審査を経て選んだ20の日本で唯一最高のミステリー傑作集。
ヨハンナに続くアンナは、学歴と名声と豊かさを手に入れた。しかし、夫の不倫に悩み、ついには別居を決意する。自分自身を取り戻すため、母親と祖母の生きた時代を旅してみようと決意するアンナ。そこには信じられない事実と、連綿と続く愛の系譜があった…。「母の不幸は愚かだったことではない。言葉を持っていなかったことだ」。時代と運命の渦に翻弄された3世代の女たちが、断絶と和解を繰り返しつつ、心のなかに安息の地を見つけ出すまでを描いた「現代人必読の書」。
女三の宮、宇治の大君・中の君、浮舟など、主だった女性たちの登場で、物語はいよいよ佳境へ。複雑に絡みあう恋人たちの愛のもつれを丹念に解きほぐし、物語の女君たちに、一人称で心の内を語らせた新しい恋愛小説。千年を隔てた恋愛小説の競作。
小雨のそぼ降る朝、茨城の山中の寺が突如爆発、炎上した。同じ日、千葉・木更津付近の路上から、富津の東京湾観音へとタクシーに乗り込んだ不審な少女が-。観音像の足下で、その少女が力なく倒れたとき、ポケットから爆発事故ともつながる一冊の書物が転がり落ちる。カウンセラー・岬美由紀は少女の危機を予感し救済に立ち上がるが、行く先には想像を絶するスケールの複雑な罠が仕掛けられていた…。映画化話題作『催眠』を知る人にも知らない人にもいっさいの予断を許さない大胆な続編。抜群のスピード感で展開する、極上エンターテインメント・サスペンス。
「追われている。殺されるかもしれない。そうだ、テンプル騎士団だ」ミラノの出版社に持ち込まれた原稿が、三人の編集者たちを中世へ、錬金術の時代へと引き寄せていく。やがてひとりが失踪する。行き着いた先はパリ、国立工芸院、「フーコーの振り子」のある博物館だ。「薔薇の名前」から8年、満を持して世界に問うエーコ畢生の大作。
中世から放たれた矢は現代を貫通し、記号の海で歴史が改編される。カバラ、薔薇十字、カタコンベ、エクトプラズム、クンダリニー蛇、賢者の石、黄道十二宮、生命の樹、カンニバリズム…「フーコーの振り子」へのパスワードは何か?20世紀最後の知の巨人、エーコがおくる、極上のワインの酔いにも似た、めくるめく文学の愉悦、陶酔。