1999年発売
ヒトラー救出作戦失敗!富嶽隊、壊滅!戦局はついに最終局面に達しようとしていた。米軍は原子爆弾の開発に成功し、テニアン島に実戦配備した。原爆投下阻止のため、日本軍は試作機として残存するたった一機の富嶽で、テニアン島空爆をはかる。護衛機もない富嶽に乗った近藤正己隊長は、はたして日本の“運命の日”を阻止できるのか!シリーズ堂々の完結編。
私立光曜学園高校の二年生・高梨瞭司の恋人は、ちょっとストイックな雰囲気で超カッコいい社会科教師・友利秋洋。でも、どうもこの“教師と生徒”という禁じられた関係が邪魔をして、なんなか先に進めないのだ。なんとか友利とイイ関係になりたい瞭司だけど…。
毒リンゴの罠におちいりながらも、無理に息を吹き返した雪姫。しかし物語は、「めでたしめでたし」では終わらなかった。さて、継母の運命や如何に…。聖書の次に多くの読者に読まれているという『グリム童話』。本編はグリム兄弟の手によって幾度も改訂された後に、ついにできあがった完全版。洗練されていながらも、オリジナルの味わいが息づいている。グリム兄弟が本当に伝えたかったものがここにある。初の完訳版ついに刊行。
不知火(しらぬい)の海辺に暮す土木事業家の主とそれをとりまく三代の女たち。遊女、石工、船頭…人びとがあやなし紡ぎ出す物語は、うつつとまぼろし、生と死、そして恋の道行きー。第三回紫式部文学賞受賞作品。
その時、村は笑っていたのか-’70年代をすぎて、’80年代へ実りの予感と危機への畏れのあいだで家族は時代を見つめ続けた。名作『四万十川』シリーズの作者が女の半生を通じて問う村の運命。
職業医師として、年来、私は性的強迫観念が色濃く滲み出た情事の破局に関心を懐いている-本書の語り手、ピーター・クリーヴはそう語る。1959年の夏、精神科のマックス・ラファエルはロンドンからうらさびた土地にある、堅固な精神病院に副院長としてやってくる。並外れた美貌と知性をもちながらも孤独な彼の妻ステラは、そこで、狂気の彫刻家、危険な入院患者であるエドガー・スタークと宿命的な出会いをする。堰を切ったように情事に走る二人。そして作中人物たちはそれぞれに自らの悲劇を手繰り寄せていく…。
北九州市内の繊維メーカーに勤務するやり手の営業課長が誘拐された。家族からの知らせを受けた警察は極秘裏に捜査体制を敷くが、犯人はそれをあざ笑うかのように逆探知されない方法で連絡を寄越し、身の代金五千万円を会社に出させるよう指示。さらに人質の息子を運搬役に指名し市内を転々とひきずり回したあげく、関門海峡を挾んで奇想天外な方法で受け取りを謀る。だが、犯人の真の狙いは、五千万円というはしたガネではなかった!!期待の大型新人が、現代社会の裏を鋭くえぐった渾身の書き下ろし。
アメリカ中西部はミネソタ州スタンダード・スプリングズ。人口:4317。このスモール・タウンで最大のイベント、年に一度の“連続殺人記念祭”の季節がやってきた!毎年、町で起こる殺人事件はたったの一件。どういうわけか犯人が捕まることなく20年も続いている。大した危機感もなく、平和がしみついている人々は、恐怖を知りたい、味わいたい。ぞっとするような叫び声をあげる少女を“絶叫クィーン”の座に据え、祭りのパレードは最高潮に達する。デビイは、そんな異様な町に暮らす女子高生。今年がクィーンになるラストチャンスなのに、「恐怖が感じられない」と困り果てる日々。…ところが本番目前に、最大のライバルが戦線離脱!?コンテストの結果は?保安官は今年こそ犯人逮捕なるか?『葬儀よ、永久につづけ』の著者が再び放つ、奇想天外な田舎風アメリカン・コメディ。
絞殺された人妻の喉元にくっきりとついた五本の指の跡。犯人とおぼしき夫を追うコロンボ警部を惑わす、完璧なアリバイと動機なき殺人。“魔法の杖”(クラブ)はどこへ消えたのか?ゴルフ狂の大物フィクサーとの禁じられた賭けに端を発した殺人契約…すべてはあの“忌わしき一打”(ショット)から始まった-。王者(チャンピオン)の誇りを賭けた死のマッチプレイ。
新潟県と山形県の境界にある飯豊連峰の山荘で二人の男が向かいあって談笑していた。一人は、山荘の所有者である伝説的存在の天才相場師・山口省三。もう一人は、東大法学部の気鋭の助教授・中河英輔。この中河は、昭和陸軍最高の戦略家といわれる石原莞爾のただ一人の「孫」であった。二人の間の話題は、戦前の日本を破局に追い込んだ最大の原因をめぐってだった…。平成13年12月8日、特別国会が召集された国会議事堂に40名の武装集団が突入、たちまちにして議場の制圧に成功した。それは中河英輔をリーダーとする「クーデター」であり、体制変革をめざす「維新政権」の誕生だった。壮大なスケールで新世紀における日本の在り方を問う「世界最終戦争」新シリーズ開幕。
「猿渡」と「伯爵」のコンビが飄々として行くところ、日常世界は薄暮の幻想地獄に変貌する。鬼才津原泰水、注目の処女短篇集。怪奇と幻想の「幽明志怪」シリーズ・書き下ろし新作を含む七編を収録。
花も鳥も風も月もー森羅万象が、お慕いしてやまぬ女院のお姿。なればこそ北面の勤めも捨て、浮島の俗世を出離した。笑む花を、歌う鳥を、物ぐるおしさもろともに、ひしと心に抱かんがために…。高貴なる世界に吹きかよう乱気流のさなか、権能・武力の現実とせめぎ合う“美”に身を置き通した行動の歌人。流麗雄偉なその生涯を、多彩な音色で唱いあげる交響絵巻。谷崎潤一郎賞受賞。
鍵のかかった閉鎖空間で起きた殺人、不可能状況下に横たわる死体、忽然と姿を消す犯人と凶器、二転三転するアクロバティックな論理。なぜ犯人は密室を作らねばならなかったのか?現代日本を代表する七人のミステリ作家が「密室」をテーマに競作!ボーナストラックとして、密室への想いを綴るエッセイも書き下ろしで収録。ファン必携、究極の「密室」がここに誕生。
最後のスコットランド王を自称する荒唐無稽な独裁者、ウガンダのアミン大統領。政府に派遣された若きイギリス人医師は、アミンの侍医となり奇妙な運命に翻弄される。恋あり、内戦あり、暗殺指令あり。グレアム・グリーン、ジョーゼフ・コンラッドら先駆者たちの伝統を見事に受け継いだ、卓抜な文明論、スリリングなストーリー性。そして、絶望的な逃走、戦闘場面の圧倒的臨場感。六年をかけた周到緻密な取材に基づきつつ、史実さえたじろぐようなマジカルな想像力も縦横に駆使された、読書界の話題をさらう会心作。ウィットブレッド賞処女長篇小説賞受賞、サマセット・モーム賞受賞、王立文学協会ウィニフレッド・ホルトビー記念賞受賞、ベティー・トラスク賞受賞。