1999年発売
不可能犯罪に挑戦する鬼貫警部の名推理!本格ミステリの名手・鮎川哲也の初期傑作短篇集!「楡の木荘の殺人」「碑文谷事件」等、全8篇!幻の「人それを情死と呼ぶ」中篇バージョンを特別収録。
難攻不落のアリバイトリックは崩れるか?鬼貫警部が活躍する本格短篇を全3巻に完全収録!江戸川乱歩絶賛の傑作「五つの時計」他、全12篇!「死のある風景」と「偽りの墳墓」の原型版も特別収録。
作者は本書で、昭和前期を過去の歴史とは扱っていない。松岡洋右を通して外交とは何か、日本人の外交とはどんなものであったかを検証しているのである。そして、その検証から浮かび上がってくるさまざまな問題点は、現代日本の外交の問題とも密接につながっている。
わがままゆえに病気になった男の子。息子の死後、その墓を訪れた母親が行った仕打ちとはー。完成から百年以上の時を経ても、今なお多くの人に読まれているグリム童話。そこには「エゴ」「欲望」「悪」「死」といった人間にとってもっとも根源的な問いかけに対する答えが、散りばめられている。グリム兄弟が各地を廻って収集した民話・昔話を幾度にもわたって改訂し、完成させた完全版の初完訳、第二弾。
ロンドンで書店づとめをしながら、一人暮らしをしていたレベッカに、病篤い母は、今まで話すことのなかった自分の家族のことを、初めて聞かせる。母が静かに息を引きとった後、レベッカは、コーンウォールのまだ見ぬ祖父の許へと旅立った。祖父は、高名な画家だったが、絵筆を捨てて久しかった。同じ屋敷に住むハンサムで魅力的ないとこ。そして驚いたことに、ロンドンのアンティーク・ショップで会ったことのある、少し強引で個性的な家具職人の青年も、ここコーンウォールで祖父の家に出入りしていた。伯父の妻、その親戚の娘、祖父の海軍時代の部下、屋敷での複雑な人間関係のなかでレベッカは、急速にいとこのエリオットに惹かれていくが、閉ざされた祖父のアトリエで、彼女は思いがけない家族の秘密を発見する。そして彼女が貰うはずだった母のかたみの書き物机が消え…。激しい嵐のコーンウォールでレベッカの人生は謎めいた運命の嵐に翻弄される。
奇術師フーディーニは、ある貴族の屋敷を訪れた。知友のコナン・ドイル卿も招かれ、降霊会が催されるからだ。実は敵から身を隠すためでもある。護衛はピンカートン社の探偵だ。と、たちまち幽霊騒ぎが、謎の狙撃が、ついには密室での怪死が…相次ぐ事件にロンドンより敏腕警部が到着。これで役者はそろった。真真相を巡り、推理合戦の火蓋が切って落とされる。だが、フーディーニを狙う人物はすぐそこに。かくも愉しき『探偵小説』。
昭和19年10月、日本陸海軍の連合部隊がサイパン島の再奪還に成功する。同じころ本土では、講和のタイミングのラストチャンスを模索し、海軍大臣官邸に、海軍首脳と陸軍参謀本部の面々が集められていた。山口多聞中将の命と引き換えに手に入れたマッカーサーの身柄。彼の返還をきっかけに米大統領を交渉の席につかせるつもりであるが、マッカーサーの身一つでは圧倒的な優勢を誇るアメリカに対し、切り札にもならない。「アメリカが唯一我々と講和を結ぶ可能性があるとすれば…」米内海相の目が光り、逆転和平への驚くべき秘策が語られた。源田が伊藤の戦艦部隊を守るべく機動艦隊を遊弋させるサイパン沖。角田が米戦艦部隊へ連山の出撃命令を下した父島。闘将たちの最後の大舞台。その幕が切って落とされた。シリーズ大団円。
「仮にこの決戦で太平洋艦隊の戦艦群が大損害を受けても、連合艦隊の主力を相打ちで倒せば、国力に勝る米国側に勝算がある」キンメル司令長官の自信は、依然揺らぐことはなかった。一方、連合艦隊を率いる古賀峯一の小笠原沖で一大決戦に臨む決意は、キンメルと同様だった。ただし、古賀はキンメルが予想もしない奇策を多数用意し、艦隊決戦前に仕掛ける腹づもりだった。その第一弾、水上機母艦が米太平洋艦隊の針路上に遊弋する…。その頃、小沢治三郎率いる第一航空艦隊は、遠く離れたハワイ沖にあった。黎明時、艦戦・艦爆・艦攻からなる淵田美津雄が指揮する第一次攻撃隊が、オアフ島パールハーバー軍港へ向け飛び立つ…。日米両国の戦艦が真正面から戦いを挑む大海戦-壮絶なるクライマックス。
1985年、呼人は12歳だった。友人たちとともに未来は光り輝いていた。ところが呼人だけ身体も心も12歳のまま、決して成長しなかった。「大人になるって、どういうことなんだろう?」呼人は自分自身を見つけるため、赤ん坊のときに別れた母親探しの旅に出た。
父は、一高でバンカラを演じ、療養所では悩めるインテリ青年となり、経営者にまで昇りつめた会社では偽悪家・変人・趣味人を気取った。そして晩年、「緩慢なる自殺」を図る。戦争と結核に行く手を阻まれ、それでもなお、自分の可能性を求め続け、最期まで苦闘する父。時代に、運命に、抗い続けたひとりの男を描く長篇小説。
5歳児ほどの小さな身体。異星人みたいなへんてこな声。ぼくの親友オウエンは、神が遣わされた天使だった!?宿命のファウルボールによる母の死。前足を欠いたアルマジロの剥製。赤いドレスを着せられた仕立用人台。名人の域に達した二人組スラムダンク。-あらゆるできごとは偶然なのか?それとも「予兆」なのか?映画「サイモン・バーチ」原作。
名門プレップ・スクールの学校新聞編集長として活躍するオウエンと、なにかと彼に頼りっきりのさえないぼく。ヴェトナム戦争が泥沼の様相を呈しはじめるころ、オウエンは小さな陸軍少尉として任務につく。そしてぼくは、またもや彼のはからいによって徴兵を免れることになる。椰子の木。修道女。アジア人の子供たち。-オウエンがみる謎の夢は、二人をどこへ導くのか?映画「サイモン・バーチ」原作。
わたしは司書、影のような。彼は少年、巨人症の。初めて会ったとき、彼はまだ十一歳。悠然としたとびきりのノッポの少年、実はその体の中では、ある病が進行中だった-いきなり全米図書賞にノミネートされた、実力派新人の処女長編。