1999年発売
2034年、地球の夜空から一夜にして星々が消えた。正体不明の暗黒の球体が太陽系を包み込んだのだ。世界を恐慌が襲い、球体についてさまざまな仮説が乱れ飛ぶが、決着を見ないまま33年が過ぎた……。ある日、元警官ニックは、病院から消えた女性の捜索依頼を受ける。だがそれが、人類を震撼させる真実につながろうとは! ナノテクと量子論が織りなす、戦慄のハードSF。著者の記念すべきデビュー長編。訳者あとがき=山岸真/解説=前野昌弘 *第1位「SFが読みたい!」ベストSF1999/海外篇
発展の望みを絶たれ、憂鬱なムードの漂うニュータウンに暮らす一家がいる。1歳の息子を突然失い、空虚を抱える夫婦がいる。18歳で結婚したが、夫にも義母にもまともに扱ってもらえない若妻がいる…。3組の家族、ひとりひとりの理想が、現実に浸食される。だが、どんなにそれが重くとも、目をそらさずに生きる、僕たちの物語ー。「カラス」「扉を開けて」「陽だまりの猫」。
鰹、白魚、鮭、柿、桜…。江戸の四季を彩る「初もの」がからんだ謎また謎。本所深川一帯をあずかる「回向院の旦那」こと岡っ引きの茂七が、子分の糸吉や権三らと難事件の数々に挑む。夜っぴて屋台を開いている正体不明の稲荷寿司屋の親父、霊力をもつという「拝み屋」の少年など、一癖二癖ある脇役たちも縦横無尽に神出鬼没。人情と季節感にあふれた時代ミステリー・ワールドへご招待!
祖母は言った。「ほんとにまあ、どうして作家なんぞになったもんだか」それは、ピギー・スニードがいたからだ。豚を飼い、豚と暮らしたこの男が、豚ともども焼け死んだとき、少年アーヴィングの口をついて出た嘘話。作家の仕事は、ピギーに火をつけ、それから救おうとすることなのだ。何度も何度も。いつまでも。創作の秘密を明かす表題作とディケンズへのオマージュに傑作短篇をサンドウィッチ。ただ一冊の短篇&エッセイ集。
幼い頃、父と母は離婚した。母は新しい恋人と海外へ。父もやがて再婚し…。娘をかえりみない子供のような親。抵抗のすべを知らない子供。世界を静かに覆しつつある新しい家族像を、自らの体験をもとに、柔らかな声で描いた、21世紀文学の幕開けを予感させる長篇。ドイツ語圏の文学賞を独占した23歳の新人の、繊細、果敢な話題作。
“悪く生きる”より“よく死にたい”。“モンゴル人がモンゴルで生活することが、なぜ許されないの”。希望だけを心の支えに、生き抜いてきた日々-。『草原の記』のヒロインが自ら語る波瀾に満ちた半生。
印刷屋や書籍販売店が立ち並ぶグラブ街で、出版業者のクラブとその家族らが惨殺されるという事件が起きた。クラブ家の屋根裏部屋から、斧を手にした錯乱状態の男が発見された。その男はクレイトンという詩人でクラブの店から作品集を出版したが、印刷職人によれば二人の間で支払いを巡る争いがあったという。クレイトンは治安判事サー・ジョン・フィールディングの元に引きだされるが、男は殺人が起きた時は別の人格が出現していたと主張し…十八世紀のロンドンを舞台に、盲目の名判事と助手の少年が冷酷きわまりない殺人事件の真相に挑む。
楽しいはずの独立記念祭をひかえて、アニーの心は重かった。元軍人のハッチが、図書館の理事として、記念祭の行事に横槍を入れてきたからだ。彼の差別主義的な言動には、もはや我慢がならない。ところがそのハッチが、記念祭の花火の最中に衆人環視の中で突然射殺された!容疑を受けた黒人青年の無実を信じ、アニーとマックスは、真犯人探しに乗り出す。
初の短篇作品である「強襲」、長篇も含めてグランド・ナショナルをあつかった唯一の作品である「敗者ばかりの日」、めずらしくも婦人誌むけに書かれた「春の憂鬱」などの傑作に、本書のために書き下ろされた五篇の作品を加えた全十三篇の輝きが、ディック・フランシスの魅力のすべてを照らし出す。
営団地下鉄銀座線が地下鉄ジャックされた。浅草発の六輛編成で、車内にはおよそ七百人の乗客が乗り込んでいた。勤め帰りのサラリーマンやOLだ。警視庁採用の特別捜査官・峰岸淳一も恋人のアイリーンとともに乗車していた。峰岸はテロリストの隙を見てPHSを使って上司の鰐沢賢に通報した。鰐沢は通称鰐、表向きは普通の商事会社を装った警察庁長官直属の覆面捜査機関『隼』の潜入捜査官の班長である。銃器の携帯はもちろん、自動小銃、ときには手榴弾や榴弾さえ使う。テロリストたちの攻撃にプロが挑む。
巨星・〓@68B0@小平が遺書を残した!天安門事件を謝罪し、華南の経済的独立を認めると!江沢民体制を揺るがしかねないこの遺書の真偽は?追放された人民解放軍一級狙撃手、天安門事件の美しき民主派リーダー、香港の大富豪、台湾の凄腕工作員、アメリカの天才情報分析官をまきこんで、香港返還記念式典で何が起きるのか!?中国小説の雄が初めて同時代の中国に材をとった謀略冒険ミステリー!「文芸ポスト」連載、待望の単行本化。
歌舞伎見物の客の世話をする芝居茶屋の主人・弁之助は、剣術も達者なら頭も切れるが、出来すぎの女房のせいで、暇をもてあまし気味。そんなところへ「中村座の御曹子が行方不明」という知らせが入って…。一日千両が動く芝居の町に巻き起こるさまざまな事件。ころし、誘拐、御家騒動ー。目明しの鶴吉、絵画きの友蔵、二人の友と悪に挑む痛快時代小説集。
ネッド・アレンにとって、栄光は目前だった。メイン州を出てほぼ10年、マンハッタンはいよいよ彼に微笑みかけようとしていた。だが、破滅は前触れもなく襲ってきたー失業。残された負債。不信を募らせる妻。それでも、辛酸をなめ尽くした彼にも蜘蛛の糸は下りてきた。ビッグ・ビジネスのチャンス。ところが…。『ビッグ・ピクチャー』で世界の注目を浴びた著者の再就職サスペンス。
ロシアからは法も秩序も消えていた。当局の権威は失墜し、幾多のマフィア組織が無軌道に鎬を削っていた。そしてチャーリーに未来はなかった。さらに、未来のない男に与えられたはずの任務は、思わぬ危険な方向へと彼を導いてゆく。米ロ両大国の思惑に揉まれ、屈折した愛情に揺さぶられながら、彼は因縁浅からぬ街で孤独な活動を展開する。今日的テーマと壮大な構想のシリーズ第十作。
原子爆弾数十発に相当するとされる、240キロを超えるプルトニウム。それはロシア国内に残されているのか、はたまた移送されてしまったのか?チャーリーの調査が進展する一方で、罪なき娘サーシャの身に危機が迫る。目には目を、命には命を。自らの簡潔な哲学に基づき、チャーリーは鉄壁の罠を用意した。銃弾の嵐の向こうで微笑むのは誰か。世界を危機に陥れた計画は終幕に向かう。
ヘンリー8世と愛人アン・ブーリンとの娘エリザベスは、3歳で母が処刑され、私生児の烙印を押された。21歳の時には、反逆罪の疑いでロンドン塔に幽閉された。しかし数々の陰謀や暗殺の恐怖に怯えながらも、鋭い判断力と英知で男たちを操り、25歳で自ら女を捨て、国家のために生きることを決意する。「ヴァージン・クイーン」、その知られざる素顔が、いま豪華に華麗に浮び上がる。
極寒の雪原を逞しく生きる「トナカイの民」。自然の猛威が村を襲う時、一人の男が立ち上がった。だが、待っていたのは永久追放。村を追われ、流浪の果てに待つ男の過酷な運命とは?オーロラ舞う北欧ラップランドを舞台に、人間サンタクロースの愛と苦悩を描く真実の物語。