2000年3月発売
前漢の武帝の時代。侵略をくりえかす匈奴を討つために北辺の地へ向かった李陵であったが、やむなく捕虜となってしまう。そしてその李陵を弁護した歴史家・司馬遷は、宮刑に処されー。時代の波に翻弄される男たちの姿を描き、“人間の真の美しさ”を問う「李陵」、己の自尊心のために虎の姿になってしまった詩人・李徴の苦悩を綴った「山月記」など、漢籍に材を採った作品全七篇を収録。
不幸に襲われたとき、心のよりどころになるものは何か。老いて死を間近に感じたとき、不安から救ってくれるものは何か。生涯をかけて厳しく宗教を追求してきた著者は、実人生の中で、傍らにいる妻の苦悩と哀しみを受け入れるために、信仰とは相反する行動に出た…。生身の人間だけが持ちうる愛と赦しの感情を描いた表題作ほか、心の光と闇の間で逡巡する人間の姿を描いた短編集。
「なぜなんだ、アーセナル!」と頭を抱えて四半世紀。熱病にとりつかれたサポーターの人生はかくも辛い。すべてのスケジュールは試合日程次第。頭のなかでは自分とチームとがこんがらがっている。人生設計なんて立てられたもんじゃない。そんなひどい生活だったけど、ぼくには見えてきたことがあったー。英国で百万部を突破し、WHスポーツ・ブック賞を獲得した鮮烈なデビュー作。アーセナルにとりつかれてミリオンセラー作家となった男の魂の記録。
ロシア・マフィアの超大物“クルパティン”がヒューストンにやってくるー。FBI特別捜査官のケイトはおとり捜査を命じられた。色仕掛けでクルパティンに近づき情報を入手しろというのだ。極めて危険な任務であるにもかかわらず、ケイトは同僚でもあった夫の死を乗り越えるために、任務を引き受けることを決意する。そして、彼女の腕には最新鋭の極小盗聴器が埋め込まれた…。情事のベッドは血塗られた。美貌のロシア女性は淡々と男たちを闇に葬っていく。
クルパティンのかわりにヒューストンにやってきた女性の美しさに一同は息を呑んだ。イリーナというこの美女はクルパティンの愛人だった。ケイトはイリーナへの接近を試みる。しかし彼女はただの愛人ではなかった。ケイトはイリーナの信用を得る一方で、彼女の殺し屋としての才能を目の当たりにし戦慄を覚える。が、次第に彼女を愛するようになる。イリーナの決死の計画を知らずに…。完全無欠の暗殺者にFBI女性捜査官が仕掛けた罠…女と女、命懸けの心理戦。
戦国以来の武勇の名門里見家改易の真相とは…滝沢馬琴の『南総里見八犬伝』によって有名となった里見家改易事件の真相を地元在住の筆者が綿密な史料調査と現地踏査によって描く渾身の歴史長篇力作。
里見家改易!遺臣百八十名館山城に籠城、幕府軍を迎え討った…慶長十九年、江戸城に出仕した里見忠義を待ちうけていたのは、里見家改易、伯耆国倉吉への配流であった。改易の裏に何が隠されていたのか…。鬼才が放つ歴史長篇。
哲学する動物たち、ひっくり返れないことにコンプレックスをもつサギ、とまどいながらタコとお茶をするリス、理屈っぽくてナイーブなアリ、思い出をとっておく箱、風が運んでくれる木の皮の手紙…。大人のための哲学童話、待望の出版化。オランダ児童文学の金字塔、ついに翻訳刊行。
一枚の写真。たとえば古いアルバムのなかの。いつ、どこの、どんな物語のひとこまなのか、写っている人にしかわからない。写っているその場面の前後に流れた時間のなかに、被写体となった人たちの人生がある。どれもみな写真のような、二十八篇の物語。片岡義男の一人称によるハワイ小説の、待望の第四作。
警視庁捜査一課特殊犯捜査五係。立件困難なものや、迷宮入りした事件専門のこの部署を、人は「リサイクルビン」と呼ぶ。配属されたばかりの女刑事を待っていたのは、サラ金の無人契約室から女性が消えうせるという「密室誘拐事件」だった!この前代未聞の異常事件も、さらなる巨大犯罪の幕開けでしかなかった。
尾藤和義(兄)・義和(弟)と義兄弟になった司の生活は夜になるとエッチな狼に変身する二人によってにぎやかになった。そんな最中、和義がテストを全科目、白紙でだす騒ぎを超こす。何とか和義を説得する司だが、和義にはある目的があって!?狼シリーズ第2弾!!可愛い司が選んだ恋の相手とは。
大陸中原は神々が君臨した神話時代から堯、〓の伝説時代へ。夏・殷と歴史は重なり、暴君紂王を周が倒すが東西に分裂し、春秋戦国の大動乱へ。始皇帝が統一した秦もあえなく滅び、項羽を破った劉邦が漢を創建。波乱万丈の中国史・開巻。
2000年秋、北朝鮮テポドン2発射、第2次朝鮮戦争が勃発。そして、日本海上空には国籍不明のロシア製戦闘機が飛来した。周辺事態法を発動するも、土壇場のところで米軍の後方支援を躊躇し、見殺しにする日本。アメリカ国内では、ジャパン・バッシングの嵐が巻き起こり、日米同盟は事実上消滅した。…国内で多発する北朝鮮によるテロ、膠着する朝鮮半島の戦況。ついに日本政府は、集団的自衛権の行使を決意した。防衛庁元幹部が描く戦慄のカタストロフィー。
死にゆく患者たちを前に医者として、人としてとるべき誠実な態度とは…。文学界新人賞を受賞した「破水」をはじめ、人間の生と死を日常的に受け止めざるを得ない若き医師たちの苦悩と現実を、濃密に描ききった短篇五篇をおさめた、記念碑的デビュー作品集。著者自身が当時を振り返った、あとがきを新たに収録。
有名作家が筆を折った真の理由。作家とその妻、夫妻の旧友で人気脚本家の中年男女3人が胸に秘め、触れられたくない“痛い所”に、若き女性ジャーナリストが辛辣なインタビューで迫る!人生の悲喜劇を軽やかなタッチで描いた最新の傑作中篇。