2000年6月発売
天下に覇権成り、朝鮮半島にまで領土的野心を拡げた太閤秀吉。その無謀ともいえる朝鮮出兵には、実は隠された意図があった!!秀吉のその狙いとは、朝鮮・李王朝に累代伝わる「子宝の神器」。その秘宝をめぐって、“はぐれ素破”石川五右衛門が秘術を尽くして戦い、哭き、叫ぶ時代活劇の新機軸。
慶長五年九月、関ケ原の合戦は東軍の大勝に終わる。小早川秀秋の寝返りが西軍を崩壊させた。このとき秀秋、十九歳。家康への報恩と石田三成への不信感が天下の行方を左右した。論功行賞は備前、美作五十一万石。だが、秀秋には荷が重すぎた。日本一の裏切者の、知られざる“その後”を描く長編歴史小説。
セージは、この地球上で自然発生したのだ。歌をうたうために。ぼくは、そんなセージについて、そして彼をリーダーとするぼくたちのバンド、世界のすべてと言ってもいいNEXUSについて君に語りたい…READY?魂がシャウトする衝撃のロックン・ロール小説。
スペインの小さな田舎町で教鞭を執る29歳の女性ピラールは、12年ぶりに再会した幼なじみの男性から愛を告白される。病を治す力をもつ修道士の彼は、彼女に自分と一緒に来てほしいというが、今の暮らしを捨てる決心がつかずにピラールは悩む。彼との旅を通して、真実の愛と神の力を再発見していく。すべての愛の中には成長の種子が秘められている。愛に身をゆだねることの大切さを描いた、世界的ベストセラー。 本書はブラジルの作家、パウロ・コエーリョの“Na margem do rio Piedra eu sentei e chorei”(一九九四年)の日本語訳です。パウロが自らを女性に擬して、一人の女性の愛の回復と神の再発見を描いています。そのプロセスは異なるとしても、まさしくパウロの人生に起ったことと同じだということもできるのでしょう。彼はあるインタビューの中で、「作家の役割は、人々に何かを伝えることではなく、人々が自らを映し出すための鏡となることだ」と語っています。 『ピエドラ川のほとりで私は泣いた』の主人公ピラールの中に、訳者自身も何度も昔の自分の姿、今の自分の姿を見出したものです。人に笑われるのではないか、文句を言われはしないかといった怖れや、自分の中の他者の支配から抜け出して、自分の本当の心の声に素直に従い、自分の夢とあこがれを自分に許した時、私たちは真の幸せと喜びを体験できるのだということを、ピラールの物語は私たちに語りかけているのだと思います。(訳者あとがきより)
短時間、正座しただけで骨折する「骨粗鬆症」。美人と言われてトイレにも立てなくなる「便秘」。恋人からの電話を待って夜も眠れない「睡眠障害」。月に一度、些細なことで苛々する女の「生理痛」。フードコーディネーターを突然、襲う「味覚異常」…。恋が、仕事が、家庭が、女たちの心と体を蝕んでゆく。現代女性をとりまくストレス・シンドロームと、それに立ち向かい、再生する姿を描く10話。
スキーシーズンも盛りのペンション村。その中心からはずれた位置にある白銀荘…。スキー客で賑わうこのペンションに、血腥い殺人鬼の匂いを纏った客が紛れ込んだ。多重人格に悩む彼女は、ある目的を果たすため、連続殺人をもくろんでいた!おりしも、豪雪により白銀荘は外界と遮断され密室状態に!殺戮への胎動に身を委ね始めた彼女だが…。さらなる悪夢が、白銀荘を覆っていた!今、血の惨劇の幕が開く!!謎が謎を呼ぶサイコ・ミステリー異色作、著名作家二人による超合作として、カッパ・ノベルスに登場!二人の覆面作家は誰か。
あの夏の記憶だけ、いつまでもおなじあかるさでそこにある。つい今しがたのことみたいにーバニラアイスの木べらの味、ビニールプールのへりの感触、おはじきのたてる音、そしてすいかの匂い。無防備に出遭ってしまい、心に織りこまれてしまった事ども。おかげで困惑と痛みと自分の邪気を知り、私ひとりで、これは秘密、と思い決めた。11人の少女の、かけがえのない夏の記憶の物語。
真希は29歳の版画家。夏の午後、ダンプと衝突する。気がつくと、自宅の座椅子でまどろみから目覚める自分がいた。3時15分。いつも通りの家、いつも通りの外。が、この世界には真希一人のほか誰もいなかった。そしてどんな一日を過ごしても、定刻がくると一日前の座椅子に戻ってしまう。いつかは帰れるの?それともこのまま…だが、150日を過ぎた午後、突然、電話が鳴った。
新完訳「赤毛のアン」(集英社文庫)によって、原作にちりばめられた英米文学の引用を解き明かした著者が、さらに進める新次元の探究。19世紀末という時代背景、新興カナダという社会的要因、随所に描写されるおびただしい花々、草木。そして、作者モンゴメリの、知られざる人生。画期的解読に満ちたファン必読の書。一歩踏み込んだ、大人のための「赤毛のアン」読本。
時は平安時代。西域の血を引く超能力者の少年楽師とともに、二十代半ばの藤原道長が大活躍。どの話にも雅楽の珍しい楽器が登場し、物の怪が引き起こす事件の解決に重要な役割を果たします。桜の老木の精が摂政兼家の生気を奪う「花と楽人」から、「春の館」まで全十篇。著者会心の王朝伝奇小説。
沖縄本島北部のひなびた漁村に、ある時“火葬場建設”という名目で海岸埋め立て計画が持ち込まれた。小さな集落は賛成・反対に分かれてさまざまな軋轢の舞台となり、ついには住民投票で計画の是非が問われることに…“基地の島”沖縄のリアリティを、痛みと哀しみ、そして独特のユーモア感覚に包み込んで描く人間喜劇。芥川賞作家、待望の長編。
1958年、ロングアイランド。4歳の少女ルースは、母がアルバイトの少年エディとベッドにいるところを目撃する。死んだ兄たちの写真におおわれた家。絵本作家で女ったらしの父。悲しみに凍りついたままの母は、息子たちの写真だけもって姿を消う。母を失ったルースと、恋を失ったエディがのこされた。夏が終わろうとしていた-。母の情事を目撃してから37年。こわれた家族とひとつの純愛の行きつく先は?『ガープの世界』以来の傑作と各紙誌絶賛。20世紀最後のアーヴィング最新長篇。
1990年、ニューヨーク。いまや世界的人気作家のルースは、冴えない小説家のエディと再会する。アムステルダムで彼女は、父の絵本のモグラ男そっくりの犯人が、娼婦を殺害するのを見てしまう。5年後。ルースは幼子を抱えた未亡人。エディは相も変わらぬ独身暮らし。謎のカナダ人作家の存在が二人をゆすぶり、オランダ人の警官まであらわれて…。遠い夏の日から37年。毀れた家族と一つの純愛の行きつく先は?圧倒的ストーリー展開、忘られぬ人物造形、緻密なディテール、胸を打つエピソード、そして登場人物の手になる小説内小説-。長篇小説の愉しみのすべてがここにある。