2000年8月発売
その夏、世紀のポップスター・ジョンは軽井沢で過ごした。家族との素敵な避暑が、ひどい便秘でぶち壊し。あまりの苦しさに病院通いをはじめたジョンの元へ、過去からの亡霊が次々と訪れ始めた…。大ベストセラー小説『最悪』の著者が贈る、ウイットとユーモア、そして温かい思いに溢れた喪失と再生の物語。
絶望から狂気へと向かっていた反町は深夜のコンビニで天才的な演技力をもつ巨大トラックのドライバー・ジュンコに出会う。ゆるぎない眼差しをもつ彼女は血管の中にサナダ虫のような等身大の異生体を宿しているという。そして、二人の奇妙な生活が始まったー。現代社会の病理を予見する村上龍の傑作長編。
千五百年に一度の周期で、仙人は「殺戒」を破る。つまり、気に食わぬヤツを私してしまう、そうである。いまから三千年前の古代中国が、まさにこの周期にあたった。仙人は人間たちの戦争に相乗りする形で、半端な仙人とできすぎた人間を殺し、仙人界でも人間界でもない「神界」に移住させようと計画、実行する。この様子を描いたのが、中国三大神魔小説のひとつ『封神演義』。実在した英雄や暴君も登場し、ノンフィクションとフィクションが折り重なるよう展開するこの歴史スペクタクルの、登場キャラクターにスポットを当てた本書は、仙人や妖怪、人造人間や暴君、英雄までもが煩悩のままに戦う可笑しさを浮き彫りにする。人気漫画家、蔡志忠の独特の解釈でユーモアと機知満載の現代の「説話」。
グッキーはリバルド・コレッロの協力を得て、超心理実験を敢行した。肉体から精神をきりはなしてエネルギー生物のハルノを探そうというのだ。実験は成功し、5週間後に意識をとりもどしたグッキーは驚くべき事実を告げた。ハルノは大群に捕らえられており、その大群は銀河の星々の強奪を企図しているというのである。驚愕したローダンはネズミ=ビーバー率いるコマンドを大群内部に潜入させることをついに決意したが…。
「期限切れの倉庫から出てきた品物に興味はありませんか?あなたに関係した品物のようですが」ある朝キンジーのもとにかかってきた一本の電話が、とっくの昔に封印したはずの思い出を甦らせた。埃まみれの箱の中身は、彼女自身の卒業証書、写真、古い手紙、洗面道具、テープレコーダー…そう、この品々はキンジーが最初の夫、ミッキー・マグルーダーと別れた時、彼のもとに残してきたものだ。当時は優秀な警察官だったミッキーだが、キンジーと離婚した後、職を失い、どこで何をしているのかは彼女も知らなかった。いや、知りたくもなかった。だが、箱の中にあった一通の手紙をきっかけに、キンジーは別れた夫を捜そうと決意する。今は疎遠となった、かつての同僚、友人を辿るキンジー。しかし、十五年振りのミッキーとの再会は、彼女が予想もしない状況で果たされることになった…。キンジーの語られざる過去、最初の夫の秘められた生活、そして明らかになる、二十年前の謎の事件-ミステリ界のトップランナーが贈る、人気シリーズ最新作。
新造空母「黒龍」誕生!真珠湾奇襲攻撃を成功させた連合艦隊は、帰路にあった山口多聞率いる第二航空戦隊に第二次ウェーク島攻撃を命じる。旗艦「飛龍」で敵航空隊を壊滅させ日本へ戻ると、新造空母「黒龍」が待っていた。これで陣容も整った第二航戦は、南方作戦支援のため休む間もなくパラオへ出撃する。一方、南方ではすでに高木武雄少将率いる第五戦隊と、高橋伊望中将率いる第三艦隊が作戦展開をしており、熾烈な闘いを繰り返しながらも快進撃を続けていた。目指すはボルネオ最大の油田基地バレンバン。対する連合国側は、米英蘭濠連合艦隊結成を画策するが…。
16歳女子高校生と、一本背筋の通った74歳の画家の相慕う魂を、夏の終わりの澄みきった空の下に描き、深い感動を呼ぶ!たぐい稀れなる恋愛小説、澄明な悲哀!道新文学賞受賞作家・桃谷方子の異様な秀作。
乱世を治める龍右衛門の女面。その真贋を見極める眼を持つのは能楽師・浩次郎のみ。砕動風の足捌きを唯一の武器に、“飛びの道”をひた走る。行く手に現れるのは太閤秀吉、柳生宗厳、石川五右衛門…。いずれが敵か味方か。謎が謎を呼ぶ壮大な書下ろし伝奇長編。
藩主への諫言を胸に、男は許嫁に別れを告げた。女は失意のうちに、違う男の許へ嫁いだ。そして五年の時が流れ、自分の短慮を振り返る男。ついに男のことを忘れられなかった女。うららかな春の日に再会した二人は…。深い人間洞察と温かな視線に満ちた表題作など全五篇を収めた傑作短篇集。
シンクタンクを経営する椎名に、プロ野球球団社長・西村から調査依頼が入った。極秘の球団売却交渉中、中堅不動産会社が政治家を使って強引に割り込んできたのだ。調査をするにつれ、球団買収の意図の不可解さの裏に、巨大な利権が渦巻くさまを見る椎名。そして、ある都銀関与の事実を掴んだ直後、西村が謎の死を遂げた!「椎名達郎」シリーズ第1弾。
元総会屋の武藤修治は、昔、面倒を見てやったことのある台湾人・曹東雲と組んで、ある男を誘拐した。成功すれば、五千万円の報酬ー。割のいい仕事だ。ところが、突然、正体不明の男たちの襲撃を受け、肝心の獲物が奪い去られてしまった。東京に戻り敵を探しはじめた武藤と曹だったが、逆にその周囲で不気味な影が蠢きはじめる。果たしてその正体はー。
羽生丈二。単独登頂家。死なせたパートナーへの罪障感に悩む男。伝説の男が前人未到のエベレスト南西壁冬期無酸素単独登頂に挑む。なぜ人は山に登るのか? 永遠の問に応える畢生の大作!(解説・北上次郎)
大正の頃、木戸辰也は日本人娼婦を母にシンガポールの日本人街で育った。伯父の孝作にひきとられて、マレーの鉄鉱山で働き始めるが、労働争議に巻きこまれて孝作が殺される。辰也はただちに報復して、矯正院に送りこまれる。出所後シンガポールに戻り、辰也は暗黒街で頭覚を現していく。しかし、南国をも戦争の翳が覆い始めた。流転の人生を綴る波瀾の大河冒険小説。
木戸辰也は、シンガポールの暗黒街で名を上げていった。ハリマオと組んでの列車強盗。日本人暴力組織との抗争。混血のシンディとの恋。一家を構え、「裏総督」と呼ばれて怖れられる存在になった。しかし、日中戦争から中国系組織との抗争が始まる。さらに、太平洋戦争勃発、日本軍のシンガポール占領、そして終戦。戦争に翻弄される流転の人生を綴る波瀾の大河冒険小説。
北海道でヒグマに襲われた動物写真家・吉本を救ったのは、クマを自在に操る能力を持つ謎の女だった…。野生のヒグマと人間の壮絶な戦いを描く、第10回小説すばる新人賞受賞作。(解説・阿刀田高)
盗賊の小頭・弥平次は、記憶喪失の浪人・谷川弥太郎を刺客から救う。時は過ぎ、江戸で弥太郎と再会した弥平次は、彼の身を案じ、失った過去を探ろうとする。しかし、二人にはさらなる刺客の魔の手が……。
盗賊の小頭・弥平次は、記憶喪失の浪人・谷川弥太郎を刺客から救う。時は過ぎ、江戸で弥太郎と再会した弥平次は、彼の身を案じ、失った過去を探ろうとする。しかし、二人にはさらなる刺客の魔の手が……。