2001年3月発売
小学校6年生の村山藍は、品行方正な優等生。名門私立中学の入試をひかえ、母親のお受験熱も高まるばかりだ。しかし、当の藍は、そんな自分に疑問をもちはじめる。ある日、家に帰りたくなかった藍は近所に月光のあたる草原があることを発見する。そこで本当の自分に出会えた気がした藍は、その日を境に豹変した。口応え、不登校…家族はこのまま崩壊してしまうのか。
誰かがどこかで見ていてくれる。神秘的な星のきらめきに似た愛の奇蹟をあなたに…。近未来宇宙でくり広げられるサイエンスミステリー。度重なる危機を幾度も救ってくれる少年との運命的な出会いと悲劇的な別れ。そしてわくわくするスピーディーな展開にも感動を呼ぶ珠玉のSFノベルズ。
ニューヨークとロサンゼルスを舞台に繰り広げられる壮大なラブ・ロマンス。裕福な家庭に育ち、モデルを生業とする主人公リサの前に現れた男の正体は?リサの出生の秘密とは?すべての謎が解き明かされたとき、彼女の選ぶ道は…。
時は二十五世紀。人類の文明は失われ、心を読む“意志の力”を獲得した蜘蛛が支配する地球。人間たちはその下で、下僕または奴隷として暮らしている。砂漠で育った少年ナイアルは、ひとり人類の自由を求めて闘いを始め…。“人間の意識の在り様”を問うC・Wの思想の集大成、代表作。
ある雨の降る晩。突然、僕は佐々木千尋を思い出した。19歳だった彼女と僕がテーブルに向き合ってコーヒーを飲んだこと。彼女の亜麻色の髪、腋の下の柔らかそうな肉、八重歯、透けて見えたブラジャーの色や形…9年も前の、僕の人生のもっとも幸福だった瞬間ー。そして僕は、佐々木千尋を捜してみることに決めた。もう一度、幸せの感触を思い出したいと願ったー。それは盲目的な純愛なのか?それとも異常執着なのか?気鋭が書き下ろす問題作。
作詞家として活躍する著者のもとへ、十六年間絶縁状態だった兄の死の報せが届いたー。胸中によみがえる兄の姿。敗戦後に故郷小樽で再会した復員帰りの兄は、どこか人が変っていた。以来、破滅的に生きる兄に翻弄され、苦渋を強いられた弟が、兄の実像と兄弟のどうしようもない絆を、哀切の念をこめて描いた記念碑的傑作。
高瀬舟で江戸に戻る途上で米屋の主人が変死を遂げた。折しも古河藩から迎えた養子と娘の祝言が決まった矢先の出来事だった。東吾が探っていくうちに、主人の懐に百両もの大金が残されていたことが判明。果たして何のための金だったのかー。東吾の推理が冴えわたる表題作ほか「伝通院の僧」「名月や」「紅葉散る」など全八篇。
ある町に、一週間に一日開く映画館があった。そこでは昔の日本映画ばかり、かけていた。町の人は、氷の冷蔵庫を使い、ラジオの歌謡曲を聞いていた。私はその町で、まぶしい人に出会った。-懐かしい人の、懐かしい物語。
“百発百中のゴダール”は素晴らしい泥棒だ。その偉大な頭脳は、すべての可能性を予測し、あらゆる不可能を可能にする。水も漏らさぬ包囲網も難攻不落の金庫も、彼の行く手を阻めはしない。あるときは侵入不能の大邸宅から神秘の宝石ホワイト・ルビーを盗み出し、あるときは最新の防犯システムを破壊してウォール街一帯を大混乱に陥れ、またあるときは合衆国貨幣検質所からタンク一杯の黄金を奪取する。その華麗にして大胆な手口は、まさにひとつの芸術だ。20世紀の初め、世界の首都ニューヨークに君臨した怪盗紳士ゴダールの痛快きわまる冒険譚、全6篇を収録。
31世紀初頭、海王星の軌道付近で奇妙な漂流物が発見された。それこそは、宇宙船ディスカバリー号の船長代理フランク・プールだった。はるか1000年前、宇宙船のコンピュータ、HAL9000によってディスカバリー号から放りだされたプールは、冷凍状態で星の世界へ向かっていたのだ。地球の軌道都市スター・シティで蘇生させられたプールがたどる究極にして最後の宇宙の旅とは…『2001年宇宙の旅』に始まるシリーズ完結篇。