2001年3月発売
SHIBUYA…それはイナカモン立入厳禁の超アーバン・タウン。上京十余年目にして、ついに渋谷デビューした池袋系小説家が幻視したものは?インターネットカフェ、西麻布ナイトクラブ、国際インテリ集合パーティー、最先端無国籍レストラン等々、テクノポリスを魔界に変える新文学の誕生。
イギリスの高貴なる趣味人にして美食家が、南仏プロヴァンスを舞台として語る四季折々にふさわしきメニューの数々、幼少の甘き思い出。ブリニのサワークリームとキャヴィア添え、仔羊のロースト、桃の赤ワイン漬け、そして幾多の種類を誇るキノコを忍ばせたオムレツ…その絢爛たるレシピのあとにあなたを待つものとは?英文学界・料理界を騒然とさせた問題作。ウィットブレッド処女長篇小説賞受賞。ベティー・トラスク賞受賞。ホーソーンデン賞受賞。ジュリア・チャイルド賞受賞。
華やかに幕開けした新世紀。だがその初頭、日本の各地で奇妙な出来事が次々と起きていた。すべての事件には、突然舞い込んだ奇妙な手紙が関わっていた…!気鋭の本格推理の旗手6人が、不可解な“手紙”をもとに趣向を凝らした珠玉の連作推理の傑作。
ベトナム特儒に沸く横浜港に流れついた四人の男。ガン、サクジ、トミヤス、キサン。彼らの遊びはきまって一人が抜ける三人麻雀だった。あてどのない流謫の日々、つかのまの花見の宴。いつも男たちの胸に痞える大きな石のようなもの。悲しみと寂寥の正体は何なのか。男たちの流浪を描く傑作長篇小説。
知らなかった。祖国を永久に喪失しようとは…「わたしたち、プラハで知り合いになったのでしたね?まだ、わたしのことを憶えていらっしゃる?-もちろん」亡命していた男と女はパリの空港で再会した。まだ若く魅力的な女イレナはパリから、かつてのプレイボーイでもはや初老の獣医ヨゼフはデンマークから、20年ぶりの故郷へ「帰還」する旅だった。そしてそれぞれの故郷に帰っていくふたりを待ち受けていた残酷で哀切極まりない運命とは…。
物語は2008年のアメリカ。世界有数のバイオテクノロジー会社とFBIの女性長官は〈良心〉というプロジェクトで、男性のみが有する犯罪誘発遺伝子を破壊するため、特殊なウイルスを開発しようとする。それにより、暴力犯罪を劇的に減少させようというのだ。しかしFBI特別捜査官デッカーは、そのプロジェクトの被験者を密かにDNA鑑定し、遺伝子が異様な形で改変されていることを知る。やがて、ウイルスに感染した男性たちが次々と変死していく。事件の裏では「クライム・ゼロ」という恐るべきシナリオが進行していたのだ。悪は根絶されるべきなのか?ヒトゲノムがもたらすユートピアの悪夢を描いた傑作冒険ミステリー。
アルストーン公爵は、伯爵夫人デイジーとの情事に倦怠を感じていた。別邸でのパーティーでも刺激を求め趣向はエスカレートする一方である。ある夜、レディは仕立てられるかを巡り友人と大金を賭けてしまう。そして世間知らずのモデルとして修道院の付属学校を卒業した姪を迎える。ロレナは、牧師だった弟の一人娘で三年間で美しく成長していた。その上教養も高く、社交仲間にも臆さず次第に人気者になっていく。ロレナの清純さに打たれた公爵はデイジーに別れ話を切りだした。だが、逆上した彼女に銃を向けられる。