2001年発売
21世紀半ば。清潔で無機的な都市。仮想的な均一化した世界で、14〜15歳の少女だけを狙った連続殺人事件が発生。リアルな“死”に少女たちは覚醒した。…闘いが始まった。読者からの応募による未来社会の設定を盛り込んだ画期的な双方向性インタラクティブ小説。
『解剖検査所見/一成人男子屍。身長百七十八センチ、体重八十四キロ、直腸温度三十二度…死因、脳細胞の溶解』連続しておきる怪死事件。突然倒れ伏した被害者たちの共通点-それは、彼らの脳がすべて溶け崩れていたことだった。第一の事件の発見者となった警視庁刑事・飯村景。彼は捜査を続けるうちに、重ねられた犯行の裏にある、何者かの意思を感じ取りはじめる。電磁波に刻み込まれたメッセージが、置き忘れていたはずの過去を甦らせる。新鋭がおくる、鮮烈なサイコ・ホラー。
八か月の長い冬眠を生きるヤマネの夢物語、不完全雌雄同体カタツムリの愛、莫大な富の蓄積にすべてをかけるフンコロガシ、瞑想の世界に心の平安を求める元麻薬探知警察犬-ヴィスコヴィッツは彼らの生態・環境を生きつつ、情熱的な愛に燃え、野心を抱き、あるいは権力におぼれ、人生の目的を求めて悩む。残酷でペシミスティックでふしだらで、だけど大笑いしてしまう、ケダモノの魅惑!言葉の魔術師カルヴィーノの再来と各国で絶賛。イタリア文学待望の大型新人デビュー作。
三蔵法師の足跡を記した「大唐西域記」改竄に隠された秘密とは。太宗皇帝の時代から高宗へと移ろう爛熟の都長安を舞台に、歴史の大波に弄ばれながらも、ひたむきに真実を索めて苦悩し続ける若き訳経僧たち。その群像に迫る。
初の本格恋愛小説。娘の夢を見て欲しいと懇願する初老の奇術師、他人の弔辞を書きつづける女シナリオライター…他人との折合いが微妙にずれる男女がおりなす、かなり奇妙で怪しくて、チョッピリ背筋も寒くなる“四つの恋の物語”。
郊外に居を構え、孫の成長を喜び、子供達一家と共に四季折々の暦を楽しむ。友人の娘が出演する芝居に出かけ、買い物帰りの隣人に声をかけるー。家族がはらむ脆さ、危うさを見据えることから文学の世界に入った著者は、一家の暖かな日々の移りゆく情景を描くことを生涯の仕事と思い定め、金婚式を迎える夫婦の暮らしを日録風に、平易に綴っていく。しみじみとした共感を呼ぶ長編。
わすれかけてしまいそうな日々の中で、ふと思いかえし、流れの中に立ち止まって、「あの気持ち、あの気持ち」とつぶやくと、まわりからだんだん遠くまで、ゆっくりと波が静まってゆき、間違わない方向の石が輝いて見えた。それに足をかけ、次に飛び乗り、進んで行く。困ったときは、遠くを見よう。近くばかりを見ていると、迷うことがあるからー静かにきらめく16のストーリー。初めての物語集
いつでも女の人に甘え、その場をずるく言い逃れ、迷惑という迷惑をかけ通しだった。でも実は、身をよじるようにして、この国と、国民のことを案じていた。十五歳の「私」を見つめる時、まぎれもなく、母にすがる目をしていた。玉川上水に女と身を投げたあの人は…。一人の女生徒が物語る、優しくて汚くて、誇り高くて品がなくて、「無頼派の旗手」と呼ばれた小説家の「死」まで。
死の集団密航から奇跡的に甦り、命がけの凄絶な実生活を体験しながら、凋落の一途を辿る中国人女性レイの軌跡。20世紀の日本と中国の歴史的記憶のために、全身全霊を傾けて執筆した渾身の作。