2001年発売
多様化する現代犯罪に対応するため新設された警視庁科学特捜班、略称ST。繰り返される猟奇事件、捜査陣は典型的な淫楽殺人と断定したが、STの青山は一人これに異を唱える。プロファイリングで浮かび上がった犯人像の矛盾、追い詰められた犯罪者の取った行動とは。痛快無比エンタテインメントの真骨頂。
パリ警視庁付の精神科医ラセーグが診断した美少女は、万国博覧会に浮かれた華の都で、恐怖に身を震わせていた。ラセーグに病的につきまとう貴婦人と、連続誘拐事件はどう繋がっているのか。被害者の女性たちに共通項はあるのか。日本ブームに沸く華の都で、精神科医の異常な二百日が始まった!パリを熟知した著者ならではの大作。
誰よりも青い眼にしてください、と黒人の少女ピコーラは祈った。そうしたら、みんなが私を愛してくれるかもしれないから。白い肌やブロンドの髪の毛、そして青い眼。美や人間の価値は白人の世界にのみ見出され、そこに属さない黒人には存在意義すら認められない。自らの価値に気づかず、無邪気にあこがれを抱くだけのピコーラに悲劇は起きたー白人が定めた価値観を痛烈に問いただす、ノーベル賞作家の鮮烈なデビュー作。
人里離れた山小屋で発見された恐怖の手術室。周辺の山林からは、さらにおびただしい数の死体が掘り出される。犯人は犠牲者を拷問して殺し、さらには彼らの臓器を闇のルートで密売していたのだ。逮捕された医師カルドーニは、すぐに腕利き弁護士のフランクに弁護を依頼してくる。フランクの娘で新米弁護士のアマンダは、父の助手として事件の調査にあたるが、依頼人カルドーニに対する不快感を抑え切れなかった。動かぬ証拠を前に、誰もがカルドーニの有罪を信じて疑わなかったが、公判は思わぬ展開に…そして、アマンダは恐るべき事件の渦中に巻き込まれていった!予測不可能の結末まで、逆転の連続が読者を襲う。サスペンスの名手がまたも放つ戦慄の話題作。
盗聴破り、錠前破り、いじめバスターズ、アリバイ屋、夜逃げ屋、名簿屋、インターネット詐欺師。およそ、人殺し以外はなんでもやるという平成の闇商売。でも、リストラ全盛のこの時代、全てが儲かるというものでもないようだ。そんな裏ビジネスの裏も表も明らかになる。小説の形で現代の世相を斬る今様のビジネス往来。小説に教えてもらうお金儲けのノウハウ。オリジナル作品。
明治撃剣家の運命は変転きわまりない。大久保利通暗殺に加わった国事犯松田秀彦、少年期を座敷牢で送った門奈正、西洋画家志望から転じた柳多元治郎、浜松勤番組からもどってきた幕臣柴田衛守。また、中井亀次郎は秘境奈良十津川にひそみ、秋山甚平は北の小樽に金毘羅大本院を開き、植田平太郎はついに讃岐宮の祭神となった。峻烈な男たちの生きざまを活写した好評シリーズ第二弾。
花火会社の次期社長として平穏な日々をおくる鐘ヶ江英世の前に、一人の男が現れた。かつて才能あふれるバイオリン奏者として英世を導き、やがて過激化した学生運動へと引き込んだ男、鹿野晋二。暴力の過去から追われる英世を、予感の少女と直情の少年は救うことができるのか。多彩な人物像が交響する華麗な花火の世界を舞台に、人間存在の意味を追求する傑作長篇小説。
なぜ凄いのか?少女を含めて、この作者は女性たち、たとえばオフィスガールでも、おミズの世界の女性たちでも、さらには海外駐在員の妻たちでも、女たちが「集まる」場の光景を実に生きいきと描き出す。女性の生命感にはずみのつく瞬間を、これほど鮮やかに明快に書く作者はそんなにはいない。パワーがあって愛嬌があり、悪意を鋭く見る。
混迷を極める紀元前9世紀イスラエル。指物師のエリヤは、子供の頃から守護天使の声を聞き、ビジョンを見て育った。ある日、私の言、「私の言葉が果たされぬ間は、雨も露も一滴も降らないであろう」という大いなる啓示を受け、エリヤは王に進言をするが、運命が彼に与えたのは、苦難と使命だった。人は自分の運命に向かって旅する時、しばしば道を変えざるを得なくなるーー。旧約聖書の時代から蘇る、愛と勇気、そして運命の獲得の物語。 『第五の山』は、作者パウロ・コエーリョの第七作目の作品ですが、日本に紹介された作品としては、第四作目にあたります。コエーリョは敬虔なカソリック信者であり、また、カソリックに属する神秘主義教団のーつであるRAM教団にも属しています。それもあって、彼の今までの作品の多くは、キリスト教の色彩と神秘主義的な香りを合わせもつものになっています。この『第五の山』はその中でも、特にキリスト教的色彩の濃い作品と言えるかもしれません。(訳者あとがきより)
ヨットレースの最中、髪の毛一筋ほどのきわどさで目撃した落雷の恐怖と眩(まばゆ)さ。海面下23メートルに広がる豪奢な水中天井桟敷。杭打ち機の何千トンという圧力を跳ね返すぼろぼろのされこうべ。ひとだまを捕獲する男。冷たい雨の夜に出会ったずぶ濡れの奇妙な男。かけ替えのない弟裕次郎の臨終の瞬間。作家の人生の中で鮮烈に輝いた恐ろしくも美しい一瞬を鮮やかに切り取った珠玉の掌編40編。
任侠団体専用(?)の不思議なホテルに集まる人々の笑いと涙の傑作コメディ。泣けます。笑えます。癒されます。浅田次郎の初期を代表する大傑作シリーズ堂々の文庫化。(解説・草野満代)
路面電車の走る町。「珈琲アリマス」と記された小さな居酒屋。隣で呑んでいた正吉さんは、手土産のカステラを置いたまま、いったい何処へ向かったのか?-荒川線沿線に根をおろした人々とあてどない借家人の「私」。その日日を、テンポイントら名馬の記憶、島村利正らの名品と縒りあわせて描き出す、滋味ゆたかな長篇。
新興量販店を狙った連続爆弾テロが発生した。犯人の狙いは曰く付きの社長・琢磨信之を標的にしたものと思われていたが、新たに琢磨とは何も関係のないショッピングセンターで爆弾テロが発生!このショッピングセンターで働く藤村幸造は、二十五年前に起きたテロ事件の捜査をきっかけに公安捜査官をやめていた。その爆破現場には二十五年前の事件で、藤村に恨みを持つ人物の姿が…。連続爆弾テロ事件の犯人の狙いは?藤村の娘の公安捜査官・早苗まで巻き込む、爆弾魔の闇が迫る!抜群のテンポで描く、元刑事と爆弾魔との息詰まる死闘!!新鋭が放つ、度肝を抜く犯罪小説の登場。