2002年2月発売
マイラインの営業に力の入らぬ青柳敏郎は、町おこしのアイディア募集を見て「お化け屋敷のテーマパーク」を思いつき、応募すると見事採用に。だが、その町では反対運動が起きて、住民投票で決着をつける事態へ。敏郎たちが反対派の素性を探ると、謎の集団に行き当たった。あるカルト教団が町に道場建設を目論んでいたのだ。破天荒な犯罪をポップなノリで描く著者の衝撃的デビュー作。新潮ミステリー倶楽部賞受賞作を加筆・補強した決定版。
現代が喪失した「聖性」に文学はどこまで肉薄できるのか。舞台は異端信仰の嵐が吹き荒れる十五世紀末フランス。賢者の石の創生を目指す錬金術師との出会いが、神学僧を異界に導く。洞窟に潜む両性具有者、魔女焚刑の只中に生じた秘蹟、めくるめく霊肉一致の瞬間。華麗な文体と壮大な文学的探求で「三島由紀夫の再来」と評され、芥川賞を史上最年少で獲得した記念碑的デビュー作品。
ニャンコにこたつを与えよ、しからずんば死を与えよ。ニャー次郎司令官率いる最強日本猫軍と、イヌ、サル、カラスに援軍を頼む人間軍との、壮烈な戦いの火蓋がきって落とされた!ニャンジャー部隊の運命やいかに!?国連の戦争撤廃条約により、世界から戦争・紛争がなくなった。しかし、戦争大好きな人間たちは、動物たちを代理にたてた「代理戦争」をはじめるようになった。歴戦を勝ち抜いたわが日本猫軍たち。しかし、猫嫌いの時の総理大臣の一言が、種のプライドと意地をかけた闘いへとニャンコたちをかりたてる。
こんな凄い作家がいたとは!大正末期から勃興しつつあった探偵小説界に、医学者としての知識を駆使した作品群で多大な影響を与えた小酒井不木。安楽死、毒薬、人工心臓、人体実験など今も古びないモチーフと意外な結末。科学と神秘的世界が結合した世界をみごとに描き切った作風は、新鮮な輝きを放っている。好評「怪奇探偵小説傑作選」につづく、新シリーズ刊行開始。
絶海の孤島に隠れ棲む財閥令嬢が“科学・絵画・料理・占術・工学”、五人の「天才」女性を招待した瞬間、“孤島×密室×首なし死体”の連鎖がスタートする!工学の天才美少女、「青色サヴァン」こと玖渚友とその冴えない友人、「戯言遣い」いーちゃんは、「天才」の凶行を“証明終了”できるのか?新青春エンタの傑作、ここに誕生!第23回メフィスト賞受賞作。
明治維新とともに出発した新しい政府は、内外に深刻な問題を抱え絶えず分裂の危機を孕んでいた。明治六年、長い間くすぶり続けていた不満が爆発した。西郷隆盛が主唱した「征韓論」は、国の存亡を賭けた抗争にまで沸騰してゆく。征韓論から、西南戦争の結末まで新生日本を根底からゆさぶった、激動の時代を描く長篇小説全十冊。
西郷隆盛と大久保利通ーともに薩摩に生をうけ、維新の立役者となり、そして今や新政府の領袖である二人は、年来の友誼を捨て、征韓論をめぐり、鋭く対立した。西郷=征韓論派、大久保=反征韓論派の激突は、政府を崩壊させ、日本中を大混乱におとしいれた。事態の収拾を誤ることがあれば、この国は一気に滅ぶであろう…。
突然、燃え上がった若者の頭、心臓だけ腐った男の死体、池に浮んだデスマスク、幽体離脱した少年……警視庁捜査一課の草薙俊平が、説明のつかない難事件にぶつかったとき、必ず訪ねる友人がいる。帝都大学理工学部物理学科助教授・湯川学。常識を超えた謎に天才科学者が挑む、連作ミステリーのシリーズ第一作。解説・佐野史郎 第一章 燃える もえる 第二章 転写る うつる 第三章 壊死る くさる 第四章 爆ぜる はぜる 第五章 離脱る ぬける 解説・佐野史郎
舞台は17世紀イタリア、トスカーナの小都市。思わぬことで殺人犯となったジャコモは、斬首刑に処せられる直前、面会に来た若妻エレナの鼻を食いちぎった!遺された妻が送ったその後の人生とは?地中海に面した町で繰り広げられる、この上もなく美しくグロテスクで恐ろしい物語。
自らの全知力と肉体を振り絞って作り上げた完璧なコカイン密輸のシステムー悪のヒーロー・朝倉恭介の完全犯罪が、ついに白日の下に…。追う警察、暗殺を企てるCIA、そして訪れた川瀬雅彦との決闘。はたして恭介は逃げ切ることができるのか?『Cの福音』で颯爽と登場した優雅なる野獣・恭介。闇に生きる者は闇に消えるー待ち受けるのは生か死か?6連作シリーズの掉尾を飾る雄篇の文庫化。
『フォーチュン・クエスト』『デュアン・サーク』に続く、もうひとつの冒険譚ー。深沢美潮が贈る最新ファンタジー・ワールド。
永遠のコンプレックスと思っていたものが、実は究極のリーサル・ウエポン『フルメタン・ジャケット』と知った草加平太郎は激変する。凶悪犯罪対策室長(列島保安官)に就任を依頼され、それを快諾した草加は、自らをガスコップと卑下しつつも、独自の武器をズボンの奥に秘め、犯罪界と対決するべく出動する。彼を襲いくる難事件、凶悪事件の数々。悩み傷つき震えながらも、草加は犯罪界を粉砕すべく単身突入して行く。だが、彼の前にはあまりにも巨大な悪が待ち受けていた。暗い世相を吹き飛ばすべく、桑原譲太郎がしたたかに撃ち放つ、小説史上空前のクライム・ファンタジー。
『修業時代』の続篇である本書は、「諦念」を主題とした、ゲーテ(一七四九ー一八三二)最晩年の豊かな英知に満ちた作品である。主筋に数篇の挿話と二つのアフォリズム群をはめこんだ独特のスタイルを持ち、底知れぬスケールを感じさせる「大作」である。新訳。