2002年2月20日発売
本書は、日進月歩の最新医療現場を舞台に、医学とは何か、という根源的テーマを扱った最も今日的な医学小説である。小児ガンを患い顔の半分を失うことになった子どもをめぐり、医療行為の迷路に踏み込んだ青年医師と、その両親を中心に、医療現場の関係者たちの緊迫したドラマが重厚かつクールな筆致で描かれる医学恋愛長篇である。人間の顔とは何か?北海道を舞台に、小児ガンの子をもつ飛びきり美しい母親と青年医師の悲痛な愛のゆくえをさぐる清新な筆致。
孤独な魂たちが引き起こす戦慄のテロリズム。若者の間で、密かにその存在を囁かれる“おやじ殺しゲーム”。体験者はやがて妄想に取り憑かれ、実際に無差別殺人を始めるという-現代社会の闇を抉る、渾身の書下ろしサスペンス900枚。
ある地方に伝わる奇妙なゲーム。秘密裏にゲームを引き継ぐ“サヨコ”のほかに、鍵を渡すだけのサヨコがいた-。もうひとつの小夜子の物語「図書室の海」ほか、あるウエイトレスの殺意と孤独を描くぞくっとする話、記憶を刺激する懐かしくも切ない物語、異色SFと、様々な物語を次々と紡ぎ出す恩田陸の世界を堪能できる1冊。
ポルシェ、グッチ、カルティエ、パークハイアット、東京シティクラブ…、特有の輝きを持つ固有名詞がいくつも、正博の日常にまぎれこんだ。けれど、まだ物足りない。いろいろな物事を手にすればするほど、強烈な飢えが湧いてきた。もっと金が欲しいのか、街での特別扱いなのか、見かけのいい女か、自分が何に飢えているのか、よく判らなかった。きらびやかな都会の表情にはもうすっかり慣れていたはずなのに、正博は、キャンティのドアに気後れしてしまった。東京レストラン・ストーリーズ。きらびやかな都会の夜にちりばめられたあやふやな恋、苦い野心、切ない男と女の物語。
ひと夏の狂おしく濃密な恋を描く「鶴」、パートナーを失った女性のひと夜の出来事「七夕」、別れた亭主が転がり込んだことから始まる再生の物語「花伽藍」ほか、いつか必ず別れが訪れると知りながら身を焦がしつづける女性達を鮮烈に彩り豊かに描く、珠玉の短篇集。
「一九三九年四月一日、ドイツ第三帝国、アメリカ合衆国に併合」平和バランスを崩壊させるこの歴史的な大事件に全世界は震撼した。総統兼州知事ヘス、米大統領ゲッペルスらによる世界征服遊戯の始まり。一投目の賽をしなやかに振る実業家ヒトラー。自由世界の雄、フランスは降伏し、パリは鉤十字の旗に蹂躙された。孤立するイギリスはかつての盟友、日本に援兵を請う。欧州に向けて出航する遣英義勇艦隊。率いるは小沢治三郎少将。エピソード3より遡ること二六〇年。日本人が選んだ亡国に直結する選択肢とは?すべてはここから始まった…。『新世界大戦』シリーズにおける第二次世界大戦の全貌を描く、大河架空戦記の冒頭を飾る真の第一巻、堂々の刊行開始。