2002年9月25日発売
長野県中野市の小内八幡神社、その名に惹かれて立ち寄ったフリーカメラマンの小内美由紀は、全国の八幡神社を巡礼している飯島という老人に出会う。だが、不可解な言葉を残して美由紀と別れた老人は、秋田県で死体となって発見された。浅見光彦は、日本各地の美しい風景と混乱の戦後史の中に、この元文部官僚の軌跡をたどることになるが…。この国のありかたを問う著者が壮大な思いをこめて紡ぐ巨編。
殺された飯島が八幡神社を巡った理由はなんだったのか?事件を追う浅見光彦は老人の閉ざされた半生と癒えることのない戦争の傷痕に胸を痛める。愛するものと信ずべきもののために殉じた人々が、若者たちに託した戦後半世紀の誓い。それが、美由紀と婚約者の松浦に思いもかけぬ悲劇をもたらすことになろうとは…。松浦の赴任地である高知県に飛んだ浅見を最大の試練が待ち受ける。
裕福な家で大事に育てられたピュアな女ーそれが探偵パトリックの抱いた、カレン・ニコルズの第一印象だった。だが6カ月後、彼女は全裸で投身自殺を図ってしまう。この短期間に、何が彼女をそこまで追いつめたのか。調査すると、カレンは死に至る6カ月の間に、フィアンセが事故死し、失業し、住む場所を失い、最後には精神に変調を来していた。彼女を破滅させようとした明確な意図の存在を確信するパトリック。だが一体誰が、何のために!?戦慄のシリーズ最新作。
外国人娼婦が共同で住んでいるホテル。そこから、イタリア人の少年が誘拐されたという。しかも連れだしたのは、神尾の恋人、恵子だった。10歳、というそのマリオの年齢に神尾の心の底にあるものがうずいた。少年の背後にあるのはマフィアの掟と白いコカインの闇の道。何かに導かれるように神尾は巻きこまれていく。元一等航海士、神尾修二シリーズ待望の第5弾。
もしもあの時、別の選択をしていれば、全く違う人生を歩んでいたのだろうか…。平凡な会社員・元城一樹のふとした夢想が、すべての始まりだった。一人娘の和子の前に姿をあらわした不思議な少女沙羅。その名前が甦らせる、消し去ったはずの過去。やがて、今ある世界と、あり得たはずの世界とが交錯しはじめてー。表題作を含む、全10編を収録。珠玉のミステリ短編集。
ニューハンプシャーの夏のある月夜、22歳のブレットは恋人と出かけた湖畔でマリファナとワインに悪酔いし、気がつくと恋人の刺殺体を目の前にしていた。ブレットの叔母にあたる弁護士キャロライン・マスターズは、殺人の罪に問われた姪の事件を手がけるため、23年ぶりに帰郷することになる。予審が開始され、次々と検察側の主張を論破していく一方で、昔の恋人や異母姉、元判事である父チャニングとの苦い再会と、家族たちへのある疑惑が彼女を待ち受けていた-。『罪の段階』『子供の眼』に登場した辣腕の女弁護士キャロラインをヒロインに据え、本格的な謎解きに一族の愛憎の物語を盛り込んだ、法廷サスペンス三部作の完結編。
離婚歴のある三十三歳のケイトは、フィラデルフィアでロマンス専門書店を経営。一人住いを避けるため、大学生のジョーとシーンに部屋を貸していたが、二人はゲイだった。ある日、二人が全裸で絡み合っているのを目のあたりにしたケイトは、欲望に火をつけられ、思わず二人の誘いにのって、三人でのプレイに興じてしまう。その日から、奇妙な三人の生活が始まる。年上のケイトは、若い二人の関係にヒビが入ることを恐れたが、同時に三人での新しい愛のかたちが継続することも望んでいた。女と二人の男-複雑に絡み合う愛の行方は…。
広告代理店の女重役ジョアンナは、大事なクライアントに暴言を吐いてしまった。クビを覚悟していたが、支社長から呼び出され、一週間の休暇を言い渡される。その旅先で偶然、元少佐夫妻と知り合い、自宅に招かれるが、二人の夜の営みを覗き見て、驚愕する。お尻を露わにした妻のルイーズが、夫に鞭打たれて悦びの声をあげていたのだ…。ジョアンナはこの出来事をきっかけに、いままで自分の知らなかった、めくるめく倒錯の世界へと誘われていく…。エクスタシー・オデッセイの終着駅は…。
弓月藩剣術指南役・鵜飼兵馬。御前試合で藩主の不興を買い、離縁、そして脱藩。公儀御庭番宰領という闇の世界に身を投じた男が、十五年という歳月を経て知った藩の秘密とは。妻の真実とは…渾身の時代小説。
高校を卒業して家業の花屋を手伝っているヒカルには誰にも言えない秘密がある。それは、ナギサとセックスをしていること。ナギサは、ヒカルが13歳のときふらりと現れた大人の男だ。そして15歳のときからずっと体を重ねている。だが、「恋人」とは呼べないナギサとの関係にヒカルは-。