2002年9月発売
山間の平和な村を、金塊を背負った旅人が訪れる。村で殺人が起きれば、金塊を村に提供しようという旅人の提案に、村人達の欲望が喚起されーー。異常なまでの緊張感で、人間の根元的な問題に迫る衝撃作!
倒産寸前の貿易会社社長、市川。仕事先の北京で宿痾が鍼と漢方により完治したことから、日本でインポ、ダイエット、不妊…悩める善男善女を集い「日中友好漢方旅行団」を結成!治す喜び、癒される感動、そしてなにより健康という幸せ。貴方によく効く「読む薬膳」です。
小さな町の銭湯の一人娘(水の女)は、町で有名な“雨女”。彼女の人生に何かが起こると、決まって空は雨になる。唯一の肉親の父親と婚約者を同時に失い、天涯孤独の身になったある雨の日、ふらりと現れた謎の男(火の男)を釜場に雇い、ふたりは暮らし始める。名前も過去も、何も聞かない、今ここだけの愛が綴られていく。晴れた日に降る雨のように…静かで、やさしい男と女の愛の物語。
妹の死。頭を打ち、失った私の記憶。弟に訪れる不思議なきざし。そして妹の恋人との恋ー。流されそうになる出来事の中で、かつての自分を取り戻せないまま高知に旅をし、さらにはサイパンへ。旅の時間を過ごしながら「半分死んでいる」私はすべてをみつめ、全身で生きることを、幸福を、感じとっていく。懐かしく、いとおしい金色の物語。吉本ばななの記念碑的長編。
サイパンの心地よい生活、そして霊的な体験。親しんだバイトとの別れ。新しいバイトの始まり。記憶は戻り、恋人は帰国し、弟は家を出る。そして新たな友人たちとの出会いー。生と死、出会いと別れ、幸福と孤独、その両極とその間で揺れ動く人々を、日々の瞬間瞬間にみつけるきらめきを、美しさを、力強く繊細に描き出した、懐かしく、いとおしい金色の物語。定本決定版。
複雑な家庭環境の中、これまで会わずに育った「兄妹」が出会った瞬間から恋を育むー。互いに愛する人を失った男女が出会い、やがて何かに導かれるようにして寄り添ってゆくー。運命的な出会いと恋、そこから生まれる希望や光を、瑞々しく、静謐に描き、せつなさとかなしい甘さが心をうつ珠玉の中編二作品。明るさのさしこむ未来を祈る物語。定本決定版。
ネットワークのどこかに存在する、仮想リゾート“数値海岸”の一区画“夏の区界”。南欧の港町を模したそこでは、人間の訪問が途絶えてから1000年ものあいだ、取り残されたAIたちが、同じ夏の一日をくりかえしていた。だが、「永遠に続く夏休み」は突如として終焉のときを迎える。謎のプログラム“蜘蛛”の大群が、街のすべてを無化しはじめたのである。こうして、わずかに生き残ったAIたちの、絶望にみちた一夜の攻防戦がはじまる-仮想と現実の闘争を描く『廃園の天使』3部作、衝撃の開幕篇。
フリーライターの広瀬隆二は、有名代議士の自叙伝執筆の取材で、15年前に失踪した代議士の娘・香奈の行方を追う。転々とする彼女の足跡を辿ると、そこには行く先々で女の魔性の虜になった男たちの姿があった。広瀬はいつしか、会ったこともない香奈に惹かれている自分に気づく…。何から女は逃げるのか?何を女は探るのか?男を虜にしながら…。俊英作家、渾身の書下し長篇ハードボイルド。
1966年、統一事業を任務として南下、慶尚南道で銃撃戦の末、スパイとして逮捕される。33年間の獄中での死と隣り合せの生活と出所後、北へ帰るまでの1年半の南の人々との触れ合いを記録した非転向・信念の現代史。
青島俊作29歳。脱サラして警視庁に転職。念願の刑事になったものの、配属は管轄も署員も“寄せ集め”の湾岸署。理想に燃える青島だったが、現実はパトカーで出動するにも上司の判子、犯人逮捕のおいしいところは本庁が横取り…と、サラリーマンよりマンネリで理不尽な毎日。それでも青島は、トラウマを持つ女刑事すみれや、同僚殺しを追い続ける、定年間際のベテラン刑事和久たちと、体当たりで事件に挑んでいく…。フジテレビの人気刑事ドラマ、ついに文庫化。