2003年1月20日発売
失恋の痛みと都会の疲れを癒すべく、故郷に舞い戻ったほたる。雪に包まれ、川の流れるその町で、これまでに失ったもの、忘れていた大切なものを彼女はとりもどせるのだろうかー。言葉が伝えるさりげない優しさに救われるときはきっとある。人と人との不思議な縁にみちびかれ、自分の青春をあらたにみつける静かな回復の物語。
密命を帯び、主どのが消息を絶って一年余り。御鷹場を巡邏し、かげで諸藩を探る幕府隠密お鳥見役。留守を預かる女房珠世に心休まる日はない。身近で暮らす子供たちのひと知れぬ悩み、隠居となった父の寂寥、わけあって組屋敷に転がり込んだ男女と幼な子の行く末。だから、せめて今日一日を明るく、かかわりあった人の心を温めたい-。人が人と暮らす哀歓を四季の移ろいのなかに描く連作短篇集。
浅井亮政の美濃出兵に端を発した争いは、それぞれに思惑を秘めた諸勢力を巻き込んで大永の動乱へと発展した。新左衛門尉と新九郎は闇の住人を操り、知略の限りを尽くしてこの争いを勝ち抜いていく…。策略と陰謀のドラマをダイナミックに描いた超話題作。
藍子叔母は、いつも物憂げで無関心で孤独だった。まるで、心の内部に暗くて深い裂け目が横たわっているかのように。ふとしたきっかけで叔母の謎多き過去を調べるようになった私は、叔母の旧友という老婦人から、古ぼけた八ミリフィルムを見せられた。そして、その中に写し撮られていたのは、初々しく、朗らかで、健康的な美しさを持つ、女学生時代の叔母の姿だった。いったい何が叔母を変えたのか。香気あふれる文芸ミステリー。
三十三歳の若さで、ゲームソフト業界の雄にのし上がった日系人経営者、デービッド・イマキタは、ひょんなことから“謎の美女”クロエ・デュボワと出逢う。彼女はじつは、自社のCGアニメキャラのモデルだった。デービッドの日本式豪邸で、出張先の東京で、本番ショークラブで、次々と明かされる彼女の秘められた過去…。そして事故によるクロエの記憶喪失。デービッドは戸惑い、魅せられながら、しだいに彼女の壮絶な世界に…。
セックスを謳歌する娘・レイチェル。悦楽の知恵にかけては経験豊富な母・リズ。自分のルーツ探しに執心するアメリカ人大富豪・ロバートとの仕事の契約成立を目指し、母はスコットランドへ。また娘は、ロバートの祖先の家系調査を依頼され、奮闘する。女の武器を最大限に利用する母娘。そして、レイチェルが大英図書館で探し当てたロバートの祖先の日記。読み進むうちにレイチェルは、その堕落と退廃に満ちたセックスの虜に…。