2003年10月発売
突然、人界と魔界が遊離し始めた。神州の「会」ポイントは全て虚無へ落ち、魔都パリも地殻変動に呑まれていった。一方、クトゥルーの本殿ルルイエへと到達した加賀と安西。そこには、みづちの若長・北斗多一郎の変わり果てた姿があった。加賀の弁舌に感応し悟入した多一郎と安西は、自らの姿を超エネルギー体へと変貌させていく。時間と空間が目くるめく奔流に巻き込まれ、世界は再び大いなる滅裂へと向けて胎動しはじめるのだった…壮大なるSF伝奇シリーズ、待望の第17弾。
ニューヨーク市の目の前、ハドソン川に浮かぶかつての移民の島・エリス島に、歴史記念物のパトロールで転勤したアンナ。病の癒えつつある姉の見舞いを兼ねてニューヨークを訪れた彼女は、自由の女神の島で、一人の少女が転落死したのに遭遇する。かつてアンナの恋人だったFBIのフレデリックは姉に心を移し、落ちこんでいた彼女は地下鉄で何者かに命を狙われる。四面楚歌の中で少女の死から、その真相を探ろうとする彼女が見つけた恐るべき犯罪計画とは…。全米で大人気の女流作家のアウトドア・ミステリ最新作。
マジック愛好家の少年・椎橋彬は母親の逮捕を機に家出、上京する。飢えとの戦いのなか、テレビのニュース番組で万引きGメンヘの密着取材を目にしたとき、椎橋は閃いた。マジックのタネを利用すれば、完全無欠の万引き犯になれるのでは。やがて、奇跡のような万引きを成功させる神出鬼没の万引き犯の存在が、小売業者たちを騒然とさせる。万引き稼業ひと筋で財をなすまでになった椎橋。防犯カメラをも欺く彼の「ショービジネス」に疑いを持ったのは、かつて天才少女・里見沙希からマジックの手ほどきを受けた、舛城捜査二課警部補だった…。少年が犯罪を引き起こす複雑な深層心理のからくりと、少年法の在り方を世に問いながら、巧妙なトリックの連続と息もつかせぬスピード感で一気に読ませる、ヒューマン・サスペンス・ノベルの感動作。
目を閉じたまま、みき子の首に手をかけていた。みき子が若く見えるのは、そうだ、このすべすべとした首筋のせいなのだ-。主役は、どこにでもいるような、男と女。彼らはどうして血の匂いを放つようになったのか。実はすべて、運命の定めだったのか。その経緯を生々しく、時には幻想的にえぐり出す短編集。
ついに父を殺してしまったヒカルは、組織に追われる一匹狼のヤクザ・鉄男に導かれ、ともにオートバイで放浪の旅に出た。西へ、北へー。二つの孤独な魂の果てしない逃避行は続く。そして、ひたすらに走り続ける鉄男との旅はヒカルをいつしか大人の男へと成長させるのだった。一方、残された萌子や夏美、母の真莉子にもさまざまな転機が訪れ、やがて悲劇の歯車は少しずつ回り始める…。
家賃12000円。早稲田の超ボロアパート野々村荘はケッタイな住人だらけ。三畳一間の私の部屋は探検部のタマリ場となり…。限りなく「おバカ」な青春を描いた書き下ろし傑作。(解説・吉田伸子)
臣従を申し出た呉の孫権が蜀と同盟した。魏の曹丕の怒りはおさまらない。魏軍は南征するが、長江を前に愕然とする。対岸一帯に戦闘用の楼郭が聳え立っていた。疑城であるとは知らず、魏軍は撤退を余儀なくされる。さらに翌年も猛烈な寒波に襲われ、またも敗退せざるを得なかった。一方、蜀の孔明は魏への北伐を決意し、劉禅に「出師の表」を奉じる。連携して、呉の陸遜は淮南に兵を進めた。
地方。小さな町。閉鎖的なあの空気。 班。体育館の裏。制服。 渡り廊下。放課後。 痛いほどリアルに蘇るまっしぐらな日々--。 給湯室。会議。パーテーション。 異動。 消し去れない痛みを胸に隠す大人達へ贈る、 かつてなかったピュアロマン。 恋とは、「堕ちる」もの。
駅のホームで突き落とされそうになる。見知らぬ車に乗せられて誘拐されそうになるー。有数の財閥・山上グループの社長令嬢・山上かおりは何者かに命を狙われていた。困り果てたかおりが逃げ込んだのは、社会からドロップアウトし、奇妙な経歴を持つ八人が住む“梁山荘”というアパートだった。八人はそれぞれの特技を生かして襲撃犯からかおりを守り始める。かおりは目撃者として、棟居刑事の捜査する殺人事件の参考人に挙がっていた。事件は意外な接点で繋がり始める…。都会で蠢く人間の友情と殺意を描く、傑作社会派ミステリ。
サラリーマン・利根は、大学時代の同級生・野川からドイツ土産に“ベルリンの壁のかけら”を受けとった。壁が崩壊してから十年が経過している。なぜ、今頃ー。不審に思う利根の周りで、次々に不可思議な出来事が。目撃した射殺死体が消滅。親友・永井は「おれは、殺される!」と言い残し失踪。そして永井の妻は死体で見つかった。あの壁のかけらが、悲劇を巻き起こすのか?統一前のドイツと現代日本を結ぶ、壮大なサスペンス・ホラー。
「新選組」を描いた名作・秀作の精選アンソロジー。津本陽、池波正太郎、三好徹、南原幹雄、子母沢寛、司馬遼太郎、早乙女貢、井上友一郎、立原正秋、船山馨の、名手10人による「新選組」競演!
DV(ドメスティック・バイオレンス)と悪徳マルチ商法。無関係に見えた二つの事件が捜査線上で繋がった時、青山署刑事・鳴沢了の長く熱い夏が始まった。NY市警の旧友との邂逅、関係者の怪死、ちらつく中国系マフィアの影。人間の欲望が渦巻く修理の世界を、鳴沢は一歩ずつ事件の核心へと近づいていく。その先に待つ哀しい真相に向かって-。鳴沢了シリーズ第三弾。白熱の警察小説。
ぼくたち夫婦は引っ越し運が悪い。今回の新居は完璧、だったはずなのに…ディンクスの夫婦は互いにぶつかりながら、隣家とまじわりながら、共に生きることを確かめあっていく。四季折々に紡がれた連作短篇『となりの花園』を縦糸に、いとおしい毎日のくらしを横糸に、カラフルに織りあげた12の物語集。
扉をあけるとオジギソウが挨拶をしてくれる、花に彩られた喫茶店。美しくミステリアスな店主とその娘が、悩める客が持ち込む謎を鮮やかに解き明かす。遠隔殺人、見えない密室、同時に4つの場所に出現した男…驚くべき不可解な現象の数々。その不可能が可能になるカタルシス。そして最終章で明らかになる壮大なる仕掛け。柄刀一は、本格を踏まえ、本格を超えた-。