2003年10月発売
目の不自由な主人公を実体験しようと自らマスクで目をふさぎ、離れ小島・とむらい島へでかけた推理作家・高篠英麗奈。ところが、翌日、英麗奈とともに島へ渡った編集者・浅田が殺害されてしまう。島に残る海賊伝説同様、崖から突き落とされ竹に串刺しにされるという残忍な殺され方で、しかも、現場周辺にはハイヒールのあとが。だが、島には女性は英麗奈以外にいないはず…。犯人と疑われ思わず逃げ出した英麗奈だが、マスクの鍵は浅田がもったまま!絶体絶命の危機が迫る。
八年前に死んだ父親が、ある日突然帰ってきた。家族の喜びと幸せを、切なく描いた「父の帰宅」、友人宛に送られてくるストーカーの手紙を引き取った・ゆりえ。その手紙を見に集まった友だちは、手紙に記された住所をたよりに“彼”の家を探す。ストーカーの手紙からはじまる物語「愛の手紙」、さほど仲のよくない女友だち・北原さんの強引な誘いを断れず、彼女のマンションへと招待された恭子。彼女がそこで見たものは!?「彼女の部屋」ほか3編を収録。女と女、女と男。そこにあなたがいる。芥川賞作家が描く、6つの透明な物語。
北京からパリへと書き継がれ、7年の歳月をかけて完成。癌を宣告された男の放浪と魂の彷徨を描き、ホメロスの叙事詩に擬せられ、「東洋のオデュッセイア」と讚えられる。本書によって、中国人作家初のノーベル賞受賞となった待望の翻訳刊行。
梨香子は33歳のエリート銀行員。才色兼備の彼女が、ある日、年収200万円のオタクなライター・真一となぜか恋におちて、そして結婚ー。ちっとも噛み合わない二人の結婚生活に、男と女の本音が垣間見える。いまどきカップルの恋愛・妊娠・子育てとは…てんやわんやの結婚騒動記。
「今の時代、どうしてクマを食べる必要性があるのでしょうか」秋田県阿仁で行われたマタギ親睦会。都会育ちの女性編集者・佐藤美佐子の発言が、会場に波紋を巻き起こす。その後、動物写真家・吉本憲司の言葉「山は半分殺してちょうどいい」をきっかけに、マタギ取材を進める美佐子が見たものは…。峠を越え、沢を渡り、谷を跨いて生業をなす男たち。そして、彼らに対峙する美しくも厳しい自然。東北の山奥で、今、何が起こっているのか。
十二月三十日夕方、神奈川大学駅伝チームのマネージャーが行方不明になり、同じ頃、局内のモニターに女を監禁する映像が送られてきた。中継波が操られているのか?誰が?何のために?後手に回る捜査、見えぬ犯人像、刻々と迫る生中継。解決のメドも立たぬまま、ついに、選手たちは正月の箱根路へスタートを切った…。各区間で演じられる激走のドラマと、犯人側との攻防がシンクロする!一気読み間違いなしの感涙サスペンス。
暴力と許容、虚無と欲望、狂気と冷静の狭間を彷徨う男が世界を黒く染めていく-映画「ユリイカ」でカンヌ映画祭、国際映画批評家連盟賞とエキュメニック賞を、その小説バージョンで三島賞を受賞した鬼才・青山真治が、自身の劇場映画デビュー作を完全小説化。「Helpless」から続く秋彦と健次のその後を追った中編2本も収録。
江戸末期、京で流行る染付磁器は当時の最先端産業だった。この華麗な藍色の器に魅せられた男が妻の助けも借りて「湖東焼」という新事業を立ち上げる。藩主・井伊直弼も巻き込んだこの新しい挑戦に勝機はあるのか!?商いの醍醐味、職人の誇り、官と民の闘い、そして夫婦の情愛を丹念に描いた、著者初の経済歴史小説。
絹屋半兵衛が興した「湖東焼」は、職人の技術向上で素晴らしい器が焼きあがる。しかし販売ルートを牛耳る有田・瀬戸の巨大ブランドが大きな壁に。さらに融資の見返りに窯を藩に召上げられ…。幕末のベンチヤー・ビジネスは時代の荒波に翻弄される。現代日本にも通じる商売の駆け引きをダイナミックに描き出す、著者入魂の人間ドラマ。
前衛演劇、プロレタリア芸術の旗手であり『忍びの者』で忍者小説を開拓した著者の最初の長編小説。転向文学者の視点で、マルクス主義歴史観をベースに、歴史の敗者・新選組の辿った道を魅力的に描く、新選組小説の記念碑的作品。
「あなたは母の愛人だったんですか?」突然現れたパイロットのひとことから愛の地獄めぐりが始まった…。ポストモダン・ゴシックの旗手、パトリック・マグラアの描くミステリアス・ロマンス。
青学テニス部名物の強化合宿に、リョーマ因縁の相手が現れる!ジャンプフェスタで上映されたテニプリ特別編アニメのノベライズに、オリジナルストーリーがなんと4編!手塚が考えた創作劇の内容は?乾の特製野菜汁を盗んだのは誰だ!桃城と海堂の秘められた過去とは!?「テニプリ」ノベル第3弾は、ここでしか明かされない、青学レギュラー裏の活躍満載で登場。
火を吐く犬に襲われたケンとメグは、謎の人物の出現で難を逃れる。伝説の生き物“レジェンズ”を目の当たりにして興奮するケンに、メグがみせてくれた「お守り」。それは、ケンの夢にも出てきたタリスポッドだった。そんなある夜、ニューヨークに巨大な竜が現れ、ケンの母親をさらっていってしまう。翌日、町は魔の森と化していた。レジェンズとそれを操るサーガの闘いが、始まったのだ。
園原八重は、代々受け継がれた霊媒体質。人気バンドのギタリスト・十郎の霊を拾って、曲を書き、夢の印税生活を目論む。十郎は作曲の才も確かなら、腕っぷしも確か。不良どもやら怪しい祈祷師やら、危ない奴らに殺人パンチをお見舞いする!でも、八重の体なんだけどね…。ジャンプ小説大賞入選の新鋭が描くおもしろ楽しい幽霊ストーリーが、「ヒカルの碁」の小畑健とのコラボレーションで登場。
19世紀、オーストラリア。貧しいアイルランド移民の子ネッド・ケリーは、幼いころから獄中の父にかわり、母と6人の姉弟妹を支えてきた。父の死後、母はネッドを山賊ハリー・パワーに託す。だがそのせいで、ネッドはわずか15歳で馬泥棒の共犯容疑で逮捕されることになった。出所したネッドは、美しい娘メアリーと出会い恋に落ちるが、ようやくつかんだ幸せも長くは続かない。横暴な警察は、難癖をつけてはネッドや家族を投獄しようとしてくる。いまやネッドと弟のダン、二人の仲間たち“ケリー・ギャング”は、国中にその名を轟かすおたずね者となっていた。あまりの理不尽さに、遂にネッドは仲間と共に立ち上がるが…。死後百年を超えてなお人々を魅了しつづける実在のヒーローの真実の姿を、彼がまだ見ぬ娘へ綴った手紙を通して描く感動作。ブッカー賞、コモンウェルズ作家賞受賞作。