2003年5月20日発売
笑顔が見たかっただけなんだ-。ただ、一緒にいたかったの-。きっかけは些細なことだった。自分だけは堕ちるはずがないと思っていた。しかし、いつしか夢想は妄想へと変貌し、熱烈な愛情は純粋な狂気に姿を変えた。欲望という脳内麻薬が炸裂するとき、人は想像を超えた行動に出る!鬼才が描く、心の壊れてゆく九つの風景。
新進アート系ナイトクラブの美人店長ベスが、英国のブライトンにあるフラットの2階に引っ越したばかりのある夜、通りを隔てた部屋の窓から見知らぬ男の視線が…。やがて男は挑むように裸体を晒し、下半身までも…。窓辺越しのパフォーマンスからテレフォンセックスへと、しだいにその男の虜になっていくベス。そしてついに、正体不明の男との対面。あらゆる欲望の限りを尽くす、“超官能ゲーム”に溺れていくのだったが…。
ニューヨークの有名美術館に勤務するジュリアは、ウォール街で成功した夫のおかげで、超ゴージャスな暮らしをしていた。が、夫の浮気とドラッグに耐え切れず、家出を決意。友達夫婦のロフトに転がり込んだ彼女は生活費を稼ぐため、性を売り物にした深夜キャバレーのシガレット・ガールやポルノ写真のモデルさえも体験する。そんな大都会の陰に蠢く金とセックス、そこに息づくさまざまな欲望の果てにジュリアが見たものは…。
「私、変な男の人を、見たの!」楽器店二階の音楽教室で、生徒の小学生ユイカが泣き出した。商店街周辺に変質者が出没していた矢先の事件-だが、少女と弟の証言が微妙にズレて…(第一話「バイエルとソナチネ」)。ピアノ教師杉原亮子が解きほぐす生徒たちの心の襞と綾。そして音楽大学を首席で卒業しながら、人前で演奏できなくなってしまった亮子自身の過去の秘密。些細な事件や奇妙な悩みを、亮子先生が穏和な推理で鮮やかに解決する癒しのミステリー連作。
“クトゥルー”と名づけられた世界初の霊的発電所の周辺で呪的災害が頻発した。緑色に腐敗した巨大な赤ん坊が近隣の街を破壊したのだ。この種の災害や違法な呪的犯罪を取り締まる呪禁局特別捜査官に緊急出動命令が下る。新人の葉車創作(ギア)は、災害の裏に、大鴉を操って先輩の龍頭麗香を殺したサイコムウの暗躍を知る。その狙いが発電所の破壊と気づいた葉車たちは厳戒態勢に入る。そこへ狂信的な科学武装集団が侵入。世界の破滅を目論む邪悪な生命体と壮絶な魔戦が始まった…。
大手商社に勤める松浦課長は34歳の優しげなハンサムで、社内では『恋の達人』と呼ばれている。そんな松浦の下に中途入社の古城が配属された。26歳の、長身で精悍な印象のある彼は実はバリバリのゲイ。そんなことを知らない松浦は思うよりも素直な古城を気に入るが、松浦に一目惚れした古城に『恋の達人』ならセックスを教えてくれ、と迫られてしまう。松浦は拒みきれずに身体を繋げてしまうが…。