2004年3月30日発売
貞淑な妻と穏やかな生活と年若き愛人との濃密な情事を手にした瞬間、人生のカウントダウンは始まっていたのかー死を覚悟しながらも、官能と恍惚を求める男の性。生と死の狭間にしか存在しない悦楽の先に待っていたものは…。文学史上かつてない、桜をモチーフに日本人の深層心理をえぐった究極の官能世界。
武田軍に平穏な暮らしを奪われた市郎太は、軍師・三浦雪幹の弟子となった。彼は師とともに全国を遍歴するが、早くから、城造りの才能を発揮しはじめる。雪幹の遺志を受け継ぎ、軍師として身を立てようとした市郎太だったが、運命は彼を近江の石積み集団・穴太衆のもとに導いたのであった-。
有名人のサインを売買し、そのあがりで悠々暮らす“直筆商”アレックス。密かな哀しみを抱きしめたまま、お気楽かつ自堕落に生きている。亡父が縁を結んでくれた古なじみの友人たちに十年越しの恋人。ロンドン郊外での代わりばえのしない日常に、少年時代から純情を捧げてきた伝説的映画女優の直筆サインが大嵐を巻き起こす。一行おきにはじける笑い、なのにじんと胸にしみる読後感。衝撃のデビュー作『ホワイト・ティース』から3年。現代社会と“シンボル”という壮大なテーマに、とめどなくコミカルな表現で挑んだ世界中の読者待望の最新作。
4人の写真家×8人の出演者による、映画「きょうのできごと」が綴った一日の、「その後」の風景。撮り下ろし写真+原作者が書き下ろした4つの短編小説。映画「きょうのできごと」の、もうひとつの物語。
ヒマラヤの壮大な旅、チベット仏教の伝説の聖地、実在の登場人物、そして奇怪な事件が…ホームズが宿敵モリアーティとライヘンバッハ滝で対決し、再び姿を現すまでの「大空白時代」を描き切った最高傑作。
いい人であることが規制業種の典型である銀行の中で出世する一番の能力だったのだ。ところが桧垣がトップになった時には、護送船団は崩れ、トップは生き残りをかけて自分の判断を求められるようになった。危機的時代!組織に埋没せず、個を貫く。銀行員生活26年に終止符を打った著者の最高傑作。
俺たちバルトラングは、サーカスの裏方だ。テントの設営と解体が俺たちの仕事。華やかな舞台の陰で、興行が無事にすむように汗水たらして働いている。ある日、テントにやせこけた灰色の犬が迷い込んできた。シェパと名づけたその犬は、俺たちのアイドルになった。だが、それだけではなかった…。実はシェパは、ショーのために生まれたような天才犬だったのだ。シェパをスターにして、俺たちのサーカスを作ろう!バルトラングの男たちの夢が始まった。年間最優秀作品とフランスの文学界が絶賛!!カルフール・サヴォワール新人賞、2003年シネレクト賞受賞。
新聞で人生相談のコラム“心の友”を執筆して高い人気を誇るグレース・ドリアン。彼女は娘のフランシーンや孫のソフィをアシスタントとして、コラム執筆を一家の事業として成立させていた。しかし、ある病魔がグレースを襲いはじめていた。その名は、アルツハイマー病…。グレースはコラムを降り、自伝執筆にとりかかる。だが、彼女の病状の進展が、ドリアン家を大きく揺るがすことになる。だれにも起こりうる身近な問題をテーマに、巨匠が家族愛の姿を描き出したドラマ巨編。
グレースのアルツハイマー病は進行し、日常生活にも支障をきたすようになった。自伝口述に応じつつも、前半生について語ることを拒むグレース。夫は早く亡くなり、故郷は水没したという。亡き夫の親族が口を閉ざすグレースの過去にフランシーンが抱いた疑惑とは?母親の主治医デイヴィスとの愛に目覚めたフランシーンは、彼に励まされ、困難な状況に立ち向かう。女性小説の巨匠デリンスキーが、三代にわたる女性の生き方を通して、家族の絆について問いかける感動の大作。
世界中に愛好家を持つ、大好評の『5分間ミステリー』シリーズ最新刊!運送中の荷物を奪われたという宅配業者の訴えを、警官はなぜ狂言だと判断したのか?殺人事件の現場写真から、検死局員が発見した思わぬ証拠とは?連邦捜査官は、ショッピングセンターに潜入した爆弾魔の扮装をいかにして見やぶったのか?海難審判の法廷は、船舶同士の衝突の隠された真相をどのような推理でつかんだのか?-等々、あなたの挑戦を待つ、バラエティに富んだ難事件の数々。ミステリークイズの頂点。
伝説の魔女ファイヤーの血を引くミアは、かつて恋人のサムを深く愛していた。しかしサムはある日突然、一方的にミアを捨てて島を出ていった。心に深い傷を負いながらも、強く生きる道を選んだミア。そんな彼女のもとに、長い年月を経て、サムが舞い戻ってくる。今も胸に熱い思いを秘めているミアは、ふたたび彼の愛を受け入れるべきか、あるいは彼を拒むべきか、選択を迫られる。その選択によって、この島の運命も決まる。伝説の謎がいよいよ解き明かされる“魔女の島トリロジー”完結編。
これは愛なのか?壮大な冗談に仕組まれた罠なのか?禍のど真ん中へ歩を進めたフクスケに、果たして神のご加護は訪れるのか!?松尾スズキ初の長篇小説。完成を危ぶまれた傑作、5年の時を経て、ついに刊行。