2004年3月発売
いい人であることが規制業種の典型である銀行の中で出世する一番の能力だったのだ。ところが桧垣がトップになった時には、護送船団は崩れ、トップは生き残りをかけて自分の判断を求められるようになった。危機的時代!組織に埋没せず、個を貫く。銀行員生活26年に終止符を打った著者の最高傑作。
俺たちバルトラングは、サーカスの裏方だ。テントの設営と解体が俺たちの仕事。華やかな舞台の陰で、興行が無事にすむように汗水たらして働いている。ある日、テントにやせこけた灰色の犬が迷い込んできた。シェパと名づけたその犬は、俺たちのアイドルになった。だが、それだけではなかった…。実はシェパは、ショーのために生まれたような天才犬だったのだ。シェパをスターにして、俺たちのサーカスを作ろう!バルトラングの男たちの夢が始まった。年間最優秀作品とフランスの文学界が絶賛!!カルフール・サヴォワール新人賞、2003年シネレクト賞受賞。
新聞で人生相談のコラム“心の友”を執筆して高い人気を誇るグレース・ドリアン。彼女は娘のフランシーンや孫のソフィをアシスタントとして、コラム執筆を一家の事業として成立させていた。しかし、ある病魔がグレースを襲いはじめていた。その名は、アルツハイマー病…。グレースはコラムを降り、自伝執筆にとりかかる。だが、彼女の病状の進展が、ドリアン家を大きく揺るがすことになる。だれにも起こりうる身近な問題をテーマに、巨匠が家族愛の姿を描き出したドラマ巨編。
グレースのアルツハイマー病は進行し、日常生活にも支障をきたすようになった。自伝口述に応じつつも、前半生について語ることを拒むグレース。夫は早く亡くなり、故郷は水没したという。亡き夫の親族が口を閉ざすグレースの過去にフランシーンが抱いた疑惑とは?母親の主治医デイヴィスとの愛に目覚めたフランシーンは、彼に励まされ、困難な状況に立ち向かう。女性小説の巨匠デリンスキーが、三代にわたる女性の生き方を通して、家族の絆について問いかける感動の大作。
世界中に愛好家を持つ、大好評の『5分間ミステリー』シリーズ最新刊!運送中の荷物を奪われたという宅配業者の訴えを、警官はなぜ狂言だと判断したのか?殺人事件の現場写真から、検死局員が発見した思わぬ証拠とは?連邦捜査官は、ショッピングセンターに潜入した爆弾魔の扮装をいかにして見やぶったのか?海難審判の法廷は、船舶同士の衝突の隠された真相をどのような推理でつかんだのか?-等々、あなたの挑戦を待つ、バラエティに富んだ難事件の数々。ミステリークイズの頂点。
伝説の魔女ファイヤーの血を引くミアは、かつて恋人のサムを深く愛していた。しかしサムはある日突然、一方的にミアを捨てて島を出ていった。心に深い傷を負いながらも、強く生きる道を選んだミア。そんな彼女のもとに、長い年月を経て、サムが舞い戻ってくる。今も胸に熱い思いを秘めているミアは、ふたたび彼の愛を受け入れるべきか、あるいは彼を拒むべきか、選択を迫られる。その選択によって、この島の運命も決まる。伝説の謎がいよいよ解き明かされる“魔女の島トリロジー”完結編。
これは愛なのか?壮大な冗談に仕組まれた罠なのか?禍のど真ん中へ歩を進めたフクスケに、果たして神のご加護は訪れるのか!?松尾スズキ初の長篇小説。完成を危ぶまれた傑作、5年の時を経て、ついに刊行。
パラダイスの住民を戦慄させる連続射殺事件が発生した。犠牲者には何のつながりも認められず、犯人は無作為にターゲットを選んでは犯行におよんでいるらしい。犯行に使用されたのは二挺の22口径。いったい誰が、何のために?町はパニック寸前となり、警察署長のジェッシイは窮地に立たされた。やがて捜査線上に一組の夫婦が浮かび上がる。だが、確たる証拠はない。ただ、ジェッシイの長年にわたる警察官としての勘が、その夫婦が犯人だと告げていた。だが、彼を嘲るかのように、深い仲にあったアビイがさらなる犠牲者となってしまう。そして、ジェッシイの周囲にも犯人たちの影が…。クールな正義漢、警察署長ジェッシイ・ストーンがパラダイスの町を恐怖に陥れた事件を追う!巨匠パーカーが贈るシリーズ最新作。
デズデモーナとレフティーは姉弟でありながら、深く愛し合っていた。1922年、ギリシャとトルコの戦争で村が壊滅し、二人はいとこ夫婦を頼りにアメリカ、デトロイトへ夫と妻として渡る。やがて、二組の夫婦の子供、ミルトンとテッシーが惹かれ合うようになる。1960年、そこに生まれた待望の女の子がわたし、カリオペだ。車産業が隆盛を誇る街デトロイトで、祖父が始めた食堂を父が繁盛させ、わたしは大事に育てられた。女子高に通うようになったわたしは、自分の体つきに悩み、ある同級生への熱い想いに苦しんでいた。そんなある日、自分がふつうの女の子ではないことを知ったわたしは、激しい衝撃を受け、家族のもとを飛び出すが…。あるギリシャ系一家で紡いできた稀有な歴史を壮大に描く、現代の神話。女と男、二つの性を授かった一人の人間の数奇な運命を描くピュリッツァー賞受賞作。
江藤雅典はラブホテルのクイーンサイズのベッドの上で二五歳のみずみずしい肉体を堪能していた。若い恋人、野中秀美とのセックスはとても相性がよかった。性的な相性がいいだけではない。八歳年上という年齢差も影響しているかもしれないが、彼女との性格の相性もよく、あけすけなセックスの会話もすんなりとできた。そんな彼女とエクスタシーをむかえる瞬間、江藤は悪夢をみた。突然、別れた妻の大山香奈に会ってみたい、という思いに囚われたのだ。その瞬間から、江藤は秀美と元妻の二人の女の間で、揺れ動いて-。
六本木ヒルズ森タワー五階のしゃれた中華料理店にファッション誌から抜け出したような黄色のサマーセーターと黒のパンツ姿のすっきりしたスタイルの女性。セミロングの髪に透き通るような肌、魅惑的な瞳。だが、チラッと見せる鋭い目つきは只者ではない。円道寺きなこ、警視庁国際部国際二課の女傑デカだった。見た目とは違い、性格はがさつで男勝り。酒は強く口達者で、少林拳の達人だ。そのきなこの目の前で、窓際の男が射殺された。スナイパーの手による連続射殺の始まりだった。殺しには香港の闇組織1211がかんでいるようだったが…きなこと伝説のスナイパー王凱歌はまた出会えるのか?あの人気テレビ番組の続篇が劇場版となった。
あの日おとずれた、長いお別れの後…、かけがえのない存在だったひとりの女が消え去った街に、その広すぎる世界に、彼はいた。ほとんどが機械となった強靭な身体をもてあましながら。生きているーいや、生きていられるとはどういうことなのか?話題のアニメーション映画『イノセンス』へといたる、孤独のなか、ただ懸命に何かを求めた男のもうひとつの物語。