2004年3月発売
東京・三田の女子大生殺害事件を発端とする殺人事件で、刑事・堂島完三はコック見習いの片瀬涼に目をつける。彼には見たものを一瞬にして記憶する特殊な才能があった。完三の妹・堂島優子は、西原グループの令嬢で彼女の親友の美羽とつきあっていた涼に、しだいに惹かれていく。不思議なことに、涼と優子には、同じような火傷の跡があった。第二、第三の事件が発生し、失われていた涼の記憶のパズルが合わさっていったー。
乱闘事件で男子生徒が逮捕された。それを知った一人の女生徒は「罪にならないためにわたしたちはなにができますか」と、先生に問うた。その言葉に心を動かされた倫太郎たちは“一年七組からの手紙”として意見をまとめ、廊下に貼り出した。だが、学校側はそれを取り外し頑な態度をとる。誰かの問題ではなく、自分たちの問題として学校を変えていく。そう決意した倫太郎はルイ、青ポン、ミツルたち仲間と、生徒、教師、保護者の三者集会を開こうと動き出す…。シリーズ第七弾。教育とは、生きることとは何かをみずみずしく問う、感動のライフワーク。
人は、一度巡りあった人と二度と別れることはできないー。午前二時、アダルト雑誌の編集部に勤める山崎のもとにかかってきた一本の電話。受話器の向こうから聞こえてきたのは、十九年ぶりに聞く由希子の声だった…。記憶の湖の底から浮かび上がる彼女との日々、世話になったバーのマスターやかつての上司だった編集長の沢井、同僚らの印象的な姿、言葉。現在と過去を交錯させながら、出会いと別れのせつなさと、人間が生み出す感情の永遠を、透明感あふれる文体で繊細に綴った、至高のロングセラー青春小説。吉川英治文学新人賞受賞作。
乞丐相ー民俗学者の折口信夫博士は自らの鼻梁にある青インキの染みの如き痣をそう呼んだ。それはロールシャッハテストの如く、見る者の闇を映し出した。正史と偽史の隙間に浮かんでは消えるあってはならない物語を、仮面の古書店主・木島平八郎が“仕分け”する。『八つ墓村』のモデルになった津山三十人殺し事件。心中ブームと人間避雷針。迷い子塔と優生政策。昭和初期の世相を記録した『木島日記』から、あってはならない物語が平成の世に浮かび上がる…。超民俗学伝奇小説の傑作。
グラハム卿ら西部領主たちが反旗を翻した。身内の裏切りによりウィンザに出陣していた国王ウォルの軍は大敗、ラモナ騎士団も壊滅する。タンガ・パラスト両国はデルフィニアに宣戦布告し、ウォルは囚われの身に…。しかし、この一大事に何故か王妃リィは姿を消し、残された人々は国王救出に奔走する。
ボビー・ペンドラゴン、14歳。憧れのコートニィとファースト・キスを交わしたその日から、スペース・トラベラーとしての苛酷な運命が始まった。世界は10テリトリィにわかれている。各テリトリィは異なる時間と、異なる空間をもつ異次元だ。そこを行き来できるのは、〈トラベラー〉と呼ばれる選ばれた者のみ。テリトリィの存在を知るのも彼らだけ。そして今、それぞれのテリトリィはかつてない崩壊の危機を迎えようとしていた。悪を目論むのは〈セイント・デイン〉と呼ばれる謎の人物。姿を変えることのできる彼は、各テリトリィに侵入して凶悪な企みを謀っている。空間に巣食う悪魔のように、内側からテリトリィを破壊し…その手にすべてをおさめようとしているのだ。平穏な暮らしから突如、異次元の世界に連れてゆかれ、闘いの使命を知らされたボビー。逃げ腰になりながらも、逃げられる場所はどこにもない。闘う以外に生きのびる道はないーボビーは〈トラベラー〉として、闘いの運命に立ち向かう。
アスカ島に残る七星剣の伝説。-百年に一度の赤き月の夜、大いなる力が剣に宿り、闇が支配するーアスカ島に立ち寄ったルフィたちの前から、忽然と姿を消すゾロ。そして再び現れたとき、ゾロは仲間に刃を向けた!ルフィとの対決は避けられないのか?ゾロは約束の友を、ルフィは島を、救えるのか!?劇場版アニメ第5弾が、ノベルで登場。
巨大スーパー・一風堂を襲った連続爆破事件。企業テロを示唆する犯行声明に株価は暴落する。白水銀行審査部の板東と企画部の二戸は、一風堂の巨額支援要請をめぐって激しく対立する。乱歩賞作家が放つ、傑作金融エンタテイメント。
貞淑な妻と穏やかな生活と年若き愛人との濃密な情事を手にした瞬間、人生のカウントダウンは始まっていたのかー死を覚悟しながらも、官能と恍惚を求める男の性。生と死の狭間にしか存在しない悦楽の先に待っていたものは…。文学史上かつてない、桜をモチーフに日本人の深層心理をえぐった究極の官能世界。
武田軍に平穏な暮らしを奪われた市郎太は、軍師・三浦雪幹の弟子となった。彼は師とともに全国を遍歴するが、早くから、城造りの才能を発揮しはじめる。雪幹の遺志を受け継ぎ、軍師として身を立てようとした市郎太だったが、運命は彼を近江の石積み集団・穴太衆のもとに導いたのであった-。
有名人のサインを売買し、そのあがりで悠々暮らす“直筆商”アレックス。密かな哀しみを抱きしめたまま、お気楽かつ自堕落に生きている。亡父が縁を結んでくれた古なじみの友人たちに十年越しの恋人。ロンドン郊外での代わりばえのしない日常に、少年時代から純情を捧げてきた伝説的映画女優の直筆サインが大嵐を巻き起こす。一行おきにはじける笑い、なのにじんと胸にしみる読後感。衝撃のデビュー作『ホワイト・ティース』から3年。現代社会と“シンボル”という壮大なテーマに、とめどなくコミカルな表現で挑んだ世界中の読者待望の最新作。
4人の写真家×8人の出演者による、映画「きょうのできごと」が綴った一日の、「その後」の風景。撮り下ろし写真+原作者が書き下ろした4つの短編小説。映画「きょうのできごと」の、もうひとつの物語。