2005年11月10日発売
突然、舞い込んだ絵はがき。差出人は三年前に、南極で死んだ兄だった。法の手がはるか及ばない、美しく残酷な極寒の地。そこで、兄貴の亡霊が、おれを誘っている。江戸川乱歩賞の「常識」をぶち破る、受賞第一作。
姉の仕事を手伝うためにフランスへ渡った一馬。三つ星レストラン「ル・コント・ブルー」で働くことに。ある日オーナーからマルコを買いつけてきてほしいと頼まれ、わずかな手がかりをもとに日本に戻り動きだす。幻のマルコ、はたして一馬はたどりつけるのか…。マルコとは?奇妙な冒険譚。
一日中稽古事に追われている大店和泉屋の娘にとって、湯屋での長居が息抜きだったが、土用の桃の湯でにぎわう大黒湯で、同心が刺殺される。八丁堀七不思議の一つ、“女湯の刀掛”が生んだ悲劇を描く表題作ほか、「ひゆたらり」「びいどろ正月」など全八篇。大川端の御宿『かわせみ』の面々による、大好評江戸人情捕物帳シリーズ。
ネス湖畔の寒村ティモシーで、突如として発生した凄惨な連続バラバラ殺人。空にオーロラが踊り、魔神の咆哮が大地を揺るがすなか、ひきちぎられた人体の一部が、ひとつ、またひとつと発見される。犯人は旧約聖書に描かれた殺戮の魔神なのか?名探偵・御手洗潔の推理がもたらす衝撃と感動…。ロマン溢れる本格ミステリー巨篇。
21年ぶりのご開帳の準備に追われる僧侶・無状は、「あのお薬師さまは偽物だ」と言われて困惑する。昔、火事から少女が助け出した際に折れたはずの指がある、というのだが。芥川賞作家が記憶の謎、「心」というミステリーに挑む表題作。人工透析で生きる妻の願いと夫の愛を描く「ピュア・スキャット」を併録。
昏い不気味な中庭のベンチに女が哀れな姿ですわっている。亡霊の魔力に魅入られた男はその顔を見ずにはいられなくなる…恐ろしくも忘れがたいバレージの傑作「見た男」、キラ=クーチ「蜂の小箱」、マッケン「地より出でたる」、ボウエン「罌粟の香り」、トムスン「闇の桂冠」など、恐怖の深い味わいが読者を魅了する英国怪奇小説傑作コレクション。
「かなしき女王」とは、ケルト神話の女戦士スカァアのこと。スカイ島の名の由来となったとされる、この美しく猛々しい女王と英雄クウフリンの恋と戦いの物語こそ、スコティッシュ・ケルトを代表する物語である。輪廻転生を信じる土着信仰ドルイドと古代キリスト教が入り交じった幻想的な短篇12篇に、新たに戯曲「ウスナの家」を収録。いずれも松村みね子の名訳による。
懐かしい町「月舟町」の十字路の角にある、ちょっと風変わりなつむじ風食堂。無口な店主、月舟アパートメントに住んでいる「雨降り先生」、古本屋の「デニーロの親方」、イルクーツクに行きたい果物屋主人、不思議な帽子屋・桜田さん、背の高い舞台女優・奈々津さん。食堂に集う人々が織りなす、懐かしくも清々しい物語。クラフト・エヴィング商會の物語作家による長編小説。
その男は「陰」を引き連れて現れた。「君の願望はー何だね?」人の噂に聞いたことがある。この都市に棲むという魔人の事を。曰く、暗闇より現れ、人の望みを叶えるという生きた都市伝説。夜より生まれ、永劫の刻を生きるという昏闇の使者ー。彼は夜色の外套を身に纏い、陰と共にそこに立っていた。鬼才・甲田学人が描く幻想奇譚。
魅力にとぼしい地味な男ジェリーの取り柄はエンジニアとしての資質とひらめき。おとなしい彼がわけあって怒った!復讐を誓った!相手は、互いを動物の名で呼び合うロス最強のギャング団。命がけのリベンジは成功するか?あてにならない警察。頼れるのは自分のひらめきと実行力のみ。一人ずつ、少しずつやるしかない…。大好評!シェルダンの中編シリーズ第三弾。