2005年12月発売
リーガルサスペンスの巨匠ジョン・グリシャムが、ハート・ウォーミングなホームコメディーに挑んだ異色作。感謝祭直前、会計士ルーサーとその妻ノーラは、海外ボランティアに行く一人娘を見送り、ふたりきりになった。これを機にルーサーは、今年はクリスマスを「スキップ」しカリブ海旅行に出かけようとノーラに提案する。だが、この決断は町中に大きな波紋を投げた。各種寄付金は?恒例のパーティは?町内一丸のクリスマス・コンテストはどうする?数々の妨害やプレッシャーをはねのけ、明日は出発というクリスマスイブの朝、大騒動が…。
二〇〇三年春、日本の株式市場は壊滅的に売り込まれ、破綻寸前まで追いつめられていた。そこに“代行返上”による更なる売り圧力がかかる。そんなカネの匂いに蠢ぎ始めた外資系ヘッジファンド。ハゲタカのように日本市場のクラッシュもいとわず、儲け優先で狙いをさだめた。その他、代行返上に伴う年金基金関係者の途方もなく煩雑な業務から浮かび上がる企業年金管理のずさんさ。厚生労働省、企業、サラリーマン個人、それぞれの視点から多角的にあぶりだされた“企業年金の実態”。企業人必読の問題作が、ついに文庫化。
七世紀後半の大和。修験者・役小角は、厳しい律令制度に虐げられる人人を救うために、異能を駆使して権力者に立ち向かう。鬼神の如き活躍を慕って多くの弟子たちが葛城山中に集結、遂に一大勢力の中心となった役小角を狙って、時の権力者・持統天皇や藤原不比等、物部氏率いる刺客の群れが迫り来るがー。傑出したパワーで古代史に名を轟かせた異才の半生を描く古代ロマンの巨編。
深更に響くノックの音ー。それはキャスリンを絶望の淵へと追いやる序奏だった。夫が操縦する旅客機の墜落。ひとり娘と悲嘆に暮れる間もなく、不穏な情報が次々と彼女を苛む。さらに、夫が遺したメモからは耐えがたい現実が浮き彫りにされてゆく。平凡な暮らしを営んできた妻に問いかけられる家族の絆、そして“人を知る”ということの意味。全米で280万部を突破した痛切な長篇。
米国のハイテク企業に勤務するアダムは、いわゆるダメ社員。待遇の低さにも嫌気が差し、遅く出社、早く帰宅がモットー。ある日、友人の退職パーティを企画するが、経費は会社のコンピューターを不正に操作し捻出する。しかし、それがバレて上司から厳しい選択を迫られる。横領罪で55年の服役か、ライバル会社にスパイとして入社するか。アダムはこの窮地を切り抜けられるのか。
企業スパイとなるべく、アダムの特訓が始まった。よれよれのジャケットを捨て、一流ブランドのスーツを着こなす。上司から経営学、ハイテク知識、盗聴などのスパイ技術を叩き込まれる。そんな努力が実り、アダムは見事にライバル会社への再就職に成功。そこで意外な才能を発揮し、出世街道を爆走する。そして夢のような生活を手に入れたと思ったのだが。新感覚の企業スパイ小説。
縁あって佐倉で寺子屋の師匠として暮らすことになった旗本の次男・結城拓馬は、大店の娘・なおと成田山に詣でた帰り、茶屋の娘を助けるために浪人と立ち会い、討ち果たす。はじめて人を斬った異様な昂りのなか、拓馬は川原でなおに荒々しく挑みかかっていった。佐倉に戻ってからも自分のなかに潜んでいた獣のような激情に気づいた拓馬は、教え子の母・忍や寄宿する立花家の妻・鈴を相手に、自らの男らしさを示すかのように、激しく濃厚な蜜戯を繰り広げていくのであった…。好評「やわひだ」シリーズ第2弾。
幼い頃に両親を亡くした中学教師の俊介は、顔は瓜二つ…だが性格は最強の美人の姉、幸子にずっと振り回されっぱなし。そんなある日、大企業の社長夫人の座に納まっていた姉に突然起きた離婚騒動…。十億の慰謝料をもぎとる!…と姉が雇ったやり手弁護士、真崎は銀縁眼鏡の超エリート然とした色男。が、彼の狙いは俊介の躰で…。せめぎあうインテリジェンスとインモラルと…。書き下ろしハイスピード・エロス。
卒業旅行で訪れたオランダー洋平は伯爵家の城で催されたパーティで、妙ないきさつからその家の後継者、クラウスとダンスをすることに…。それから数ヶ月…失業中の洋平のもとに、祖父の経営する企業の日本支社長に就任したクラウスから自分の屋敷で住込み家政夫をしないかという話が…。だがその条件とは…クラウスに抱かれること!?メイドの夜のお勤めは羞恥と快楽に染まり…書き下ろし蜜色ラブ。
幕末、小藩の大番頭の娘・明世は南画の自由な世界に魅せられるが、世間の仕来りは女子が絵を描くことを許さない。結婚して夫と姑に仕えることを強いられた二十年を経て、明世はついに自らの情熱を追う決心をするー封建の世に真の自立の道を歩もうとする一人の女性の、凄まじい葛藤と成長を描いた感動長編。
大きな荷を背にした男が『かわせみ』の軒先で雨宿りをしていた。三十数年前に生き別れた兄を尋ねて、本所深川の寺を廻っているという。兄弟は再会を果たすも、雨の十三夜に永久の別れが待っていた…。表題作ほか「春の鬼」「百千鳥の琴」など全八篇を収録。おなじみ、御宿『かわせみ』の面々による大人気の人情捕物帳シリーズ。
時は寛政の改革の世、版元の若旦那二三は、芸者卯兵衛の部屋で見た役者絵に魅入られる。斬新な構図、デフォルメの奇抜さ。絵師の正体を探る内に、幕府と禁裏を揺るがす大事件が浮かび上がり…。芝居、黄表紙、川柳、相撲、手妻にからくりなど、江戸の文化と粋を描き、著者の全てを注いだ傑作長篇、待望の復刊。
父の目の前で自殺した息子。我が子の幻を求めてさすらう父。そこに息子の目に似た一匹の犬が…「ラビット君」、血が繋がっていなくとも祖父は孫に、彼の人生の象徴である傷ついた時計を贈った「時計の傷」、六十数年、胸に秘めていた恋情と美しい鯉との再会が織りなす話「眠る鯉」など、人の想いを彩る七つの短篇集。
幕末から明治を駆け抜けた新選組の中には、志を貫いた者もいれば、目先の利に惑わされ変節した者もいた。近藤勇の狙撃者・富山弥兵衛、討幕派との全ての戦いに奮闘した寡黙な巨漢・島田魁、謎の切腹を遂げた最後の新選組隊長・相馬主殿など、新選組隊士の光と影を新しい切り口で描いたアンソロジー。山内昌之氏との対談も収録。
スーパーモデルが選んだ究極のストーカー撃退法、オタク少年の逆襲譚、未亡人と詐欺師の騙しあい、釣り好きのエリートの秘密の釣果、有閑マダム相手の精神分析医の野望など、ディーヴァー度が凝縮されたミステリ16作品。リンカーン・ライムとアメリア・サックスが登場する「クリスマス・プレゼント」は書き下ろし。
小学校の卒業記念に埋めたタイムカプセルを開封するために、26年ぶりに母校で再会した同級生たち。夢と希望に満ちていたあのころ、未来が未来として輝いていたあの時代ーしかし、大人になった彼らにとって、夢はしょせん夢に終わり、厳しい現実が立ちはだかる。人生の黄昏に生きる彼らの幸せへの問いかけとは。
サラリーマンから探偵に転身した仁木順平と助手の美少女・安梨沙が営む小さな探偵事務所には今日も奇妙な事件が持ちこまれる。育児サークルに続く嫌がらせ。猫好き掲示板サイトに相次ぐ、飼猫が殺されたとの書き込み。仁木の息子の恋人につきまとうストーカー。六つの事件の後で、安梨沙が心に決めた決意とは。
十七歳の少年に妻を凌辱され殺された男、真鍋。警察官である夫の家庭内暴力に苦しみ、家を飛び出した女、祐子。やがて二人は同じ職場で働くことになる。ある日、少年の出所を知った真鍋は復讐を決意。一方、祐子にも夫の執拗な追跡の手が迫っていた。少年犯罪と復讐権、さらに家族のあり方を問う長編。
ウェディング・コンサルタントのユン・ヒョンスは、空港に客を迎えに行く途中、やはり空港へ急いでいるらしい得体の知れない青年に「財布を忘れたから」という勝手な理由で、自分の乗るタクシーに強引に便乗されてしまう。身勝手な上に、遊び人風のその青年に嫌悪感を覚えたヒョンスは、二度と会うこともないと思っていたその青年と再び顔を合わせることになる。その青年イ・ヨンフンが、ヒョンスの働く会社に、新しいカメラマンとしてやって来たのだ。カメラマンとしての腕はいいが、傲慢でマナーに欠けるヨンフンのせいで、一緒に働かなければならないヒョンスは何かと迷惑をこうむる。が、ヨンフンとヒョンスの亡き父に、ある共通点を見つけたことで、ヨンフンへの態度を軟化させたヒョンスは、急速にヨンフンと親しくなっていくが…。互いに打ち明けられない秘密を持った一組の男女の切ない恋物語。
ヨンフンを愛しながらも、愛されることを恐れるヒョンス。ヒョンスには、弟のチャンスにも話すことができない秘密があり、その秘密が、ヒョンスの中でヨンフンとの愛に歯止めをかけている。一方、日増しにヒョンスへの想いを深めるヨンフンは、自分の大事なカメラを売ってヒョンスのために指輪を買う。そして、ヒョンスと出逢って100日の記念日に、その指輪をヒョンスに渡しプロポーズする。ヨンフンから考える時間を3日もらったヒョンスは、自分の秘密とヨンフンへの愛との間で苦悩するが、やはり自分の運命には抗えず、ヨンフンのプロポーズを断り指輪を返す。はっきりした理由も言わず、ただヨンフンの愛を拒もうとするヒョンスに傷ついたヨンフンは、やがてヒョンスのもとを去ろうとするが、ある出来事から突然ヒョンスの秘密を知ってしまい…。互いに打ち明けられない秘密を持った一組の男女の切ない恋物語。