2005年1月発売
長期の薬物中毒治療から戻った北見貴秋は、幼馴染みの作家・今川出流が謎の死を遂げたことを知る。「業火」と題された遺作は何を物語るのか。ドラッグによって失われた記憶の中、真実を探す心の旅がはじまる。哀切の書き下ろし長篇サスペンス。
獅子の紋章で封じた招待状を受け、各国の使者達が大陸全土からコーラルに集う。白亜の城では盛大な和平式典が催されるが、その陰でタンガ・パラスト両大国は飽くことなき権力への執念を燃やしていた。偽りの宴と知りつつ、デルフィニアの国王夫妻は敢然と顔を上げ、互いの手を取り広間へと踏みだした。
世界一危険な運び屋兄弟、真と実に拉致されてから早数ヵ月。今では離島で診療所を開く準備をしつつ、兄弟二人から愛されながら暮らす医者の誠巳。そんな彼らのもとにマフィアのドンから、南米で拘留中の息子を救出してほしいという依頼が…。命懸けの脱出劇。さらなる追っ手が迫る。謎めいたその男、マルチェロは逞しく聡明…まさに実の好みで…。デンジャラスで禁忌な四人の旅が続く。
60を過ぎた老批評家ケペシュに美しい乳房を持つ若い愛人ができた。美しい体への執着は、せまりくる老いと生への渇望を想起させ、初めての嫉妬にとらわれる。そして大きな喪失感に苛まれた別れから8年、ふたたび彼の前に現れたとき…。「死にゆく獣」としての男の生と性への執着を赤裸々に描くフィリップ・ロス円熟の代表作。
三十歳を過ぎ、仕事への希望も見出せぬまま、東京で一人虚無的な日々を過ごすデザイナーの暁子は、祖母の遺品をきっかけに耿介という男と知り合う。命ある限りの残酷な愛の記録。真実の愛を知った大人の哀愁漂うラブストーリー。
すべての生産手段が完璧に自動化され、すべての人間の運命がパンチ・カードによって決定される世界…ピアニストの指を拒絶し、あくことなく自動演奏をつづけるプレイヤー・ピアノの世界を描く本書は、『1984年』と『不思議の国のアリス』とのはざまの不可思議な文学空間を生みだした。アメリカ文学の巨匠として熱狂的な支持を受けているヴォネガットが、現代文明の行方をブラックな笑いのうちにつづった傑作処女長篇。
レジスタンスの英雄だった老富豪が、北フランスの館に親族を呼び寄せた矢先に不慮の死を遂げた。数日後、館の地下室から、第二次大戦中のものと思われる人骨の一部が発見される。フランスを訪問中だった人類学教授ギデオン・オリヴァーは、警察に依頼され人骨を調べ始めるが、今度は親族の一人が毒殺された!骨を手がかりに謎を解く、スケルトン探偵オリヴァーの名推理。アメリカ探偵作家クラブ賞最優秀長篇賞受賞作。
家族連れや若者たちでにぎわうのどかな浜辺。その中に人目をひく赤毛の女性が独りいた。彼女はおもむろに寝そべり、くつろぎ始めた。そして、いつのまにか彼女は首を絞められて息絶えていた。周りには海水浴客が大勢いたにもかかわらず目撃情報は皆無で、犯人の手がかりは波に洗われてしまい、捜査は暗礁に乗り上げた。しかし、ダイヤモンド警視は地道な調査のすえ、女性が犯罪心理分析官(プロファイラー)だということをつきとめる。彼女は警察に協力し、殺人犯の正体を暴こうとしていた。その犯行とは、人一人を殺害し、現場に暗く情念的なコールリッジの詩の一節を残してゆくという不気味なものだった。ダイヤモンドは殺人犯の行方を追うが、まもなく次の殺人予告が…。ダイヤモンド警視と異常殺人鬼の熾烈な駆け引きを描き出したシリーズ最新作。