2005年6月30日発売
「お姉ちゃんは最高におもしろいよ」と叫んで14歳の妹がしでかした恐怖の事件。妹を信じてはいけないし許してもいけない。人の心は死にたくなるほど切なくて、殺したくなるほど憎憎しい。三島由紀夫賞最終候補作品として議論沸騰、魂を震撼させたあの伝説の小説がついに刊行。
人気コラムニストのタンジィは、セックス・アピール満点の負け犬29歳。結婚したがる軟なヒツジ型より、ホットな情事を楽しめるオオカミ型の男を求めている。そんな彼女の前に現れた超ダサ、ヘタレのオタッキー君。こいつが放つビビビ閃光は何?彼はヒツジかオオカミか?笑って泣いて一気に読んで、ルンルンしてくる恋愛小説。
かつての皿洗いの少年ガリオンは今や正統なリヴァ王の後継者として“珠”に認められ、西の諸王国に君臨することになった。王女セ・ネドラとも婚約し、人々に祝福されていたかれだが、ある夜、人知れず邪神が統べる東の国々へと旅立つ。それは、“予言”に定められた対決に挑むためであった。かれの身を案じるセ・ネドラが西の諸王国の連合軍を指揮し、戦争が始まった。神々をも巻きこんで、ふたつの運命がついに激突する。
劇的な出会いを果たしたハリエットとピーター卿はようやく結婚にこぎつけた。記者やうるさい親族を遠ざけて、新婦の故郷近くへハネムーンにでかけたものの、滞在先の屋敷には鍵が掛かり、出迎えるはずの屋敷の主人の姿は見あたらない。やがて、主人が死体で見つかると、甘く楽しいはずの蜜月の旅は一転、犯人捜しの様相を呈し…本格ミステリ黄金時代を築き、後世の探偵小説に絶大なる影響を与えた著者の代表作。
八月の熱気の中、女刑事が自動車に乗り込んだ瞬間、爆炎があがったー刑事だった妹が、非業の死を遂げた。上院の調査監視分科委員会で働く兄のベンジャミンは、真相を探るために帰郷する。だが分科委員会から受けた密命を遂行せねばならず、思うように真相究明はならない。やがて謎に満ちた妹の私生活が徐々にあきらかになるが…。サスペンスの巨匠の醍醐味を詰め込んだ、アメリカ探偵作家クラブ賞最優秀長篇賞受賞作。
ヴィクトリア朝ロンドン。主人、鷲見新平の旅行中、留守を預かる藤十郎は金欠で下宿を追い出され途方に暮れていた。トラファルガー広場でため息をつくこと十三回。ところが、そのため息が原因で、赤眼鏡の公爵に連れられて、報酬と引き換えに“十二人の道化クラブ”で起きた怪事件の調査を引き受ける事に。クラブの奇妙な風習や魔女伝説に隠された真実とは?古き良き探偵小説の香り息づく本格ミステリ。
「お前が俺の役目、引き継いでみねぇか」-ある日、土方は尾形に監察方の差配を命じた。探る山崎、進む伊東、醒める斎藤、そして惑う阿部…。兆し始めた「近代」に入っていこうとする、男たちそれぞれの、地を這う旅の行方。地を這う小説新選組。
幕末の九州に「からくり儀右衛門」と呼ばれた男がいた。まるで生きているかのように動く「からくり人形」を作り、人々の喝采を浴びていた彼は内心不満であった。「はたして自分の才能は本当に世の中に役に立っているのだろうか…」さらなる技術開発の天地を目指して大阪へと旅立った儀右衛門を待ちかまえていたのは、幕末維新の大波であった!「技術大国ニッポン」の基礎を作った男・田中久重の生涯を描く、著者渾身の歴史小説。