2006年10月25日発売
戦後間もないある夏、詩人・歌川一馬の招待で、山奥の豪邸に集まったさまざまな男女。作家、詩人、画家、劇作家、女優など、いずれ劣らぬ変人・奇人ぞろい。邸内に異常な愛と憎しみが交錯するうちに、世にも恐るべき、八つの殺人が生まれた!不連続殺人の裏に秘められた悪魔の意図は何か?鬼才安吾が読者に挑んだ不滅のトリック!多くのミステリ作家が絶賛する、日本推理小説史に輝く傑作。第2回探偵作家クラブ賞受賞作。
ささやかな社会批判をした妻が密告により逮捕され、土に植えられてしまった。次第に植物化し、感情を失っていく妻との切ない別れは…。宇宙の伝説と化した男が、二十年ぶりに帰ってきた。かつて賑やかだった鉱山町の酒場、冒険をともにしたロボット、人妻となった愛しの彼女。郷愁にみちた束の間の再会は…。奇想あふれる設定と豊かな情感が融け合う不思議な作品群。
十津川警部の旧友、原口が長崎・雲仙で死体として発見された。彼は生前、何かにひどく怯えた様子だったという。捜査が進むうちに、勤務先の音響メーカー・メディアX社に関するきな臭い噂が届く。原口は死の直前、出版社宛にメディアX社の所業を告発する手紙を出していたのだ。真相を探ろうとする十津川の前に立ちはだかる妨害の数々。そして十津川は何者かの手によって拉致されてしまうが…!?十津川警部、最大最悪の危機。
静岡の寸又峡で、TV局の記者久保と、作家を自称する男が相次いで殺された。久保の記者仲間・伴島は、遠く秋田で起きた素封家の死が事件に関係していることを掴む。だが、大曲の「庄屋様」横居家に向かった彼も忽然と姿を消してしまった。久保夫人の依頼で事件に関わった浅見光彦は、伴島の後を追い秋田へー。横居家の美少女・光葉の謎めいた瞳の奥底に宿るものとは、そして、大曲の花火大会の夜に何があったのか。
タクシードライバーの蛭間正は、深夜、一人の女を乗せる。だが、彼女は「佐賀県に連れて行って」という言葉を遺し、車内で死亡。女は何者かに胸を刺されていた…。女性の名前は香月雅代。しかも、雅代の遺族の懇願で、蛭間は死体を乗客として、タクシーを走らせることにー。東京から佐賀までの道程で発生する凄まじい豪雨、突然の落石、そして、正体不明の追跡者。タクシードライバーが未曾有の困難に挑む戦慄のサスペンス。
国家偵察局員レイチェルの仕事は、大統領へ提出する機密情報の分析。現在、ホワイトハウスは大統領選の渦中にあり、現職と争っている対立候補は、なんと彼女の父だった。選挙戦はNASAに膨大な予算を費やす現政府を非難し、国民の支持を集めている父が有利に進めていた。そんなある日、レイチェルは直直に大統領から呼び出される。NASAが大発見をしたので、彼女の目で確かめてきてほしいというのだが…。
状況が飲み込めないままレイチェルが連れて行かれたのは、北極だった。氷棚に埋まった巨大な隕石から等脚類の化石が大量に発見されたのだ。これは地球以外にも生物が存在する証拠であり、まさに世紀の大発見だった。選挙戦は一気に逆転し、大統領が対立候補の娘である自分を情報分析官に選んだ理由を悟る。だが、科学者チームと調査を進めるうちに、レイチェルは信じられない謀略の深みにはまりこんでゆく…。
東日本連合会春日組大幹部の韮崎誠一が殺された。容疑をかけられたのは美しい男妾あがりの企業舎弟…それが十年ぶりに警視庁捜査一課・麻生龍太郎の前に現れた山内練の姿だった。あの気弱なインテリ青年はどこに消えたのか。殺人事件を追う麻生は、幾つもの過去に追いつめられ、暗い闇へと堕ちていくーベストセラー「RIKO」シリーズから生まれた究極の魂の物語、ついに文庫化!上巻に本書サイド・ストーリー『歩道』を書籍初収録。
聖なる日の夜、一体何が起こったのか。ひとつの事件を通して暴かれていく麻生龍太郎と山内練に秘められた壮絶な過去。さらに事件は新たな殺人事件を招き、人間の愛憎、傲慢、悲痛な魂の叫びを曝け出していく。二人はこの暗黒の絶望の淵で何を決断したのか。息をもつかせぬストーリー、幾重にも張られたミステリ、そして人間の罪と罰を描破した孤高の大長編!!下巻に本書サイド・ストーリー『ガラスの蝶々』を書籍初収録。
東京近郊で連続する誘拐殺人事件。誘拐された子供はみな、身代金の受け渡しの前に銃で殺害されており、その残虐な手口で世間を騒がせていた。そんな中、富樫修は小学六年生の息子・雄介の部屋から被害者の父親の名刺を発見してしまう。息子が誘拐事件に関わりを持っているのではないか?恐るべき疑惑はやがて確信へと変わり…。既存のミステリの枠を超越した、崩壊と再生を描く衝撃の問題作。
江戸時代、ある晴天の日、街道沿いの茶店に腰かけていた浪人は、そこにいた、盲目の娘を連れた巡礼の老人を、抜く手も見せずに太刀を振りかざし、ずば、と切り捨てた。居合わせた藩士に理由を問われたその浪人・掛十之進は、かの老人が「腹ふり党」の一員であり、この土地に恐るべき災厄をもたらすに違いないから事前にそれを防止した、と言うのだった…。圧倒的な才能で描かれる諧謔と風刺に満ちた傑作時代小説。
1945年8月、砂漠の町ロスアラモス。原爆を開発するために天才科学者が集められた町で、終戦を祝うパーティが盛大に催されていた。しかしその夜、一人の男が撲殺され死体として発見される。原爆の開発責任者、オッペンハイマーは、友人の科学者イザドア・ラビに事件の調査を依頼する。調査の果てにラビが覗き込んだ闇と狂気とは。ミステリー界最注目の気鋭の代表作、待望の文庫化。
五年前、脊髄に銃弾を受けて能見は足の自由を失い、そして同時に、親代わりと慕っていた秋葉をも失った。車椅子に頼る身になった能見は、復讐のため、かつての仲間達の前に姿を現した。刑事、公安、協力者たち。複雑に絡み合う組織の中で、能見たちを陥れたのは誰なのか?そしてその能見の五年間を調べる桜田もまた、公安不適格者として、いつしか陰の組織に組み込まれていた。彼らの壮絶な戦いの結末は…。
その遺体、自殺じゃないな…。騒然とする現場で、ちょっとした痕跡から、死の真実を見破った男がいた。怜座彰光、39歳。数多くの遺体を回収し運んできた長い経験で培われたその鋭い観察眼は、物言わぬ遺体に残されたわずかな手掛かりを捉え死因を特定し、真実を看破する。知られざる職業、霊柩車ドライバーの舞台裏に迫り、陰謀に挑む孤高の男の大胆な活躍を描く異色の大型エンターテインメント。新しいヒーローの誕生。
十二世紀の中国、北宋末期。重税と暴政のために国は乱れ、民は困窮していた。その腐敗した政府を倒そうと、立ち上がった者たちがいたー。世直しへの強い志を胸に、漢たちは圧倒的な官軍に挑んでいく。地位を捨て、愛する者を失い、そして自らの命を懸けて闘う。彼らの熱き生きざまを刻む壮大な物語が、いま幕を開ける。第九回司馬遼太郎賞を受賞した世紀の傑作、待望の文庫版刊行開始。
晩秋の夜、高速バスが炎上。この事故で夫を失った園田萌と、娘を亡くした作家・石渡遊作が出会ったのは、二か月後の遺族会がはじめてだった。喪失の同じ痛みが、ふたりを分かちがたく結びつけてゆく。だが孤独と絶望の淵からはじまった愛は、スキャンダラスに取りざたされることに。互いに溺れ、社会に背をむけたふたりに残されているのは、この恋に殉じること。究極の道行を描く渾身の恋愛長編。
高校ソフトボール部仲間の通夜で再会した、七人の女性たち。二十五歳を迎え、それぞれが悩みやトラブルを抱えていた。過酷な仕事に疲れた看護師、厄介な職場で奮闘する栄養士、過去のあやまちを引きずる主婦…。彼女たちは、傷つき、迷いながら自分だけの答えを見つけていくー。ミステリのエッセンスを加えながら、前向きに生きようとする女性の姿を描いた、爽やかな青春群像劇。
「クリスマスの奇跡は、それを信じる人に起きる」そう聞かされた白血病の少女の願いは、人生に絶望した男に信じる気持ちを取り戻してもらうことだった。神様が少女にくれた思いがけないプレゼント。クリスマスに起きた本当の奇跡。