2006年5月発売
第 三 部 第 一 篇 コラム21 歴史哲学 コラム22 ダンス コラム23 ナポレオン軍の将軍たち コラム24 ロシア軍の将軍たち コラム25 一八一一年の彗星と神秘の数字 第 二 篇 コラム26 貴族の荘園 コラム27 ロシアの農民 コラム28 平均寿命 コラム29 村落共同体 『戦争と平和』年表
ウガンダで河馬に噛まれたことから、「河馬の勇士」と呼ばれる元革命党派の若者。彼と作家である「僕」との交流をたどることで、暴力にみちた時代を描く。若者に希望はあるのか。浅間山荘銃撃戦とリンチ殺人という、戦後日本の精神史に深い傷を残した悲痛で惨たらしい事件を、文学の仕事として受けとめた連作集。
きらめきと悔恨にみちた青春の日々。 スワンとオデットの娘ジルベルトに憧れる少年の「私」。シャンゼリゼやブーローニュの森での初恋は失意に終わり、パリからバルベック海岸へ。「花咲く乙女たち」との出会いの予感ーー。
42歳の主人公裕子は、母親の介護の問題、夫の浮気への疑念から逃れるように、妻子ある男と関係を持つ。不倫ではなく、浮気やよくある情事でもない。そんな魂が触れ合うような恋愛は存在するのか。大人の女性にとってセックスの絡まない恋愛は成立しうるのか。恋愛小説の第一人者、林真理子が日本中の全女性に問いかける、魂を揺さぶる真の恋愛小説。
秋の月が鮮やかに冴え渡る宵、子供たちは往来で歌いはやしながら影を踏んで遊ぶ。糸屋の娘・おせきは、影を踏まれて以来、自分の影を映し出すものすべてを恐れるようになった。外出を怖がる娘を心配した父母は、偉い行者の話を聞きつけ、祈祷を願うが…(表題作)。英米の怪奇小説に造詣が深い綺堂の怪談ものは、時代を超えて、怖い。15編収録。
私立探偵・新堂武彦が心疾患で急死した。警視庁特殊捜査室の柏木雅彦警部補は、元同僚の死を訝しむ先輩刑事と彼が亡くなった病院へ向かう。被害者の霊と会話が出来る柏木は、新堂が死ぬ直前、担当医の医療詐欺を探っていたことを聞き出す。口封じのための殺し?新堂の秘めた想いまで知ってしまった胃弱な柏木クンが捜査にかけ回る!見守るのは可愛い女子高性の幽霊。やがて院内の巨大犯罪が浮上して…。捜査室の個性あふれる面々も加わって面白さますますパワーUP、待望の第2弾。
日曜日の朝、カナダのある町に突然、巨大な溝が出現、高速で西に向かいはじめた。触れるものすべてを消滅させながら……。世界中を混乱に陥れる奇妙な現象「刈り跡」、不可解な死の真相を街角の迷宮に追う警部「窓辺のエックハート」、想像力の罪を犯し幽閉された人々を描く表題作など、謎と奇想に満ちた二十の物語。◆解説=柴田元幸
心が壊れて捨てられた女たちを預かり、「オーバーホール」することがわたしの仕事だ。そして今、一人の女を捜して、広大な庭園をさまよっている。「明日からここに住みます」というメモを残してその人は姿を消した。彼女を譲り受けた頃、わたしには他に三人の女がいた…。官能を仲立ちに、人間はどこまで深くお互いに関与できるのか。男と女の関係性を問いかける、救済という幻影の物語。
ノルマンディ海岸バルベック、そこにはじめて赴いたときの語り手の幻滅と発見。「ゲルマントの方」の人物、ヴィルパリジ侯爵夫人やサン=ルー、シャルリュス男爵などが登場してくる。また、画家エルスチールのアトリエを訪ねた語り手は、普通に人が考えている現実とはまるで違った独創的な芸術家の表現する真実に惹かれる。そして画家の紹介で、「花咲く乙女たち」と知合いになり、そのなかのアルベルチーヌに心が傾いてゆく(第二篇第二部・続)。
高校の数学教師をしている忠彦を夫に持つ主婦・チエミは、何不自由ない平凡な生活を送っていた。真面目だけが取り得のような忠彦は、サッカー観戦が唯一の趣味といった、ちょっと冴えない男だが、チエミはそんな生活にも、そこそこ満足している。ある日、ワールドカップの予選を見に行った札幌でワカナちゃんという若い女の子と知り合い、その後、笑顔のステキなカメラマン・サカマキさんとも友だちになって、サッカー観戦を理由にみんなで集まるような関係になる。しかし、いつしかサカマキさんの存在がチエミのなかで大きなものになってくるが、忠彦はなんにも気が付かない。いや、気が付いていない振りをしているのかも…などとチエミは勘ぐったりもするのだが。
放課後の実験室、壊れた試験管の液体からただよう甘い香り。このにおいを、わたしは知っているーー思春期の少女が体験した不思議な世界と、あまく切ない想いを描く。時をこえて愛され続ける、永遠の物語!
康男と茂は幼いころからのライバル同士。しかし、今では茂は康男の経営する会社の社員である。二人の間には複雑な事情があるようで……。そして、三毛猫ホームズにも灰色・縞柄のライバル猫が出現!?
亘はテレビゲームが大好きな普通の小学5年生。不意に持ち上がった両親の離婚話に、ワタルはこれまでの平穏な毎日を取り戻し、運命を変えるため、幻界〈ヴィジョン〉へと旅立つ。感動の長編ファンタジー!
幽霊ビルの扉の向こうに広がる異世界ーー幻界。そこでワタルを待ち受けていたのは、さまざまな怪物と厳しい自然。仲間とともに困難を克服しながら、ワタルは旅を続ける!
玉川上水で男性の扼殺体が発見された。捜査陣に名乗りを上げた老刑事・滝口と相棒に選ばれた巡査部長の片桐。滝口はこの殺人事件に三十年以上前に起きた“三億円事件”との接点を見いだす。その頃、殺された男と三億円事件当時仲間だった連中がにわかに再会を果たしていた。昭和最大のミステリーに、緊密な文体と重層的なプロットで迫る!『19歳一家四人惨殺犯の告白』で読者を震撼させた著者がものした、犯罪小説の白眉。