2007年1月10日発売
感染者の精神だけでなく肉体をも変貌させる奇病、A(アゴニスト)異常症患者ー俗に言う“悪魔憑き”が蔓延る世界。左腕を失った男、石杖所在と、漆黒の義手義足を纏い、天蓋付きのベッドで微睡む迦遼海江の二人が繰り広げる、奇妙な“悪魔祓い”
父の失踪の謎を求めて降り立った上海で、運命の女と出会う。女は中国政府に追われる身。「女と良心の呵責を両腕に抱いて生きる」とうそぶいた父をなぞるかのように、危険な恋の扉が開かれる。逃避行の挙句の別れと再会。大胆にして甘美、華麗なロマンスは国を越え、政治に逆らって、もっとも美しいラストへと突き進む。
恵美子はナポリ滞在中に風変わりな男を紹介された。舞台美術家・ドニ鈴木。250年前のオペラ歌手の生れ変りと称するドニは、妖しく強烈な精気を放っていた。彼の妄言を受け流そうとするも、その魔力に翻弄されてしまう恵美子。やがて恵美子の恋人をも巻き込んだ三角関係は性も時空も超えた官能へと発展する。
宝塚の娘役である千花は、歌舞伎界のプリンスと目される梨園の御曹司と、親友でライターの萌は歳の離れた評論家と、それぞれの恋を謳歌している。だが、花の盛りのように美しいヒロイン達の日々は、現実の退屈さや挫折、裏切りによってゆっくりと翳りを帯びていく。甘く苦い青春を描いた傑作恋愛長篇。
「昔の親は、家族の幸せを思うとき、何故か自分自身は勘定に入ってなかったんだよねえ…」。女手ひとつで娘を育てた母は言う。そんな母の苦労を知りつつ反発する娘が、かつて家族で行った遊園地で若かりし日の両親に出会う。大切なひとを思い、懸命に生きる人びとのありふれた風景。「親子」「夫婦」のせつない日常を描いた傑作短篇集。
「俺、何かに対して本気になれるのかな?」何事にも本気になりきれない高校生・高村コウ。そんな彼は一人のゲーマーに出会い、“己の本質”と真剣に向き合うことになる。将来の進路を考え決めていく友人や幼馴染み。変わっていく周囲の人間関係の中で、彼の答えはどこにあるのかー。「-敢えて問いますが、君は、ゲームが好きですか」。『終わりのクロニクル』『都市シリーズ』の川上稔が贈る最新作。
あらゆるゲームの中で、難度の高いシューティングゲームを縦横にプレイ出来る者だけが持てる最高の攻撃手の称号であり、そしてゲームが出来ない人々を絶対に楽しませることが可能な、…ゲームセンター最強の守り手の呼び名連射王。-と、そういうべきかしら。そして、少年は己の本気を試し始めるー。川上稔が贈る最新作。
深夜、当直の外科医・浅倉は、肩に大怪我を負った男…志波を診ることに。志波は元ヤクザで今は一匹狼の便利屋だった。「先生、男を知ってるだろ」-惚れた…と臆面もなく囁き、浅倉の心の隙間にすっと入り込んでくる志波。そんな折、浅倉のかつての恋人で研修医時代の指導医、三枝が急死。遺された研究データを巡って、浅倉はいつしか抗争の渦中にいた…。
隣に住む仲良しの老人から、“東京に行って、ある会社で働いてほしい”という依頼を受けた青年、羽曳野。そこは超一流の商社。おまけに、用意されていたマンションの隣人は会社の同僚・渋谷だった。昼は気難しいエリートリーマンの渋谷が見せる意外に優しい素顔に、心惹かれていく羽曳野。そんな矢先、老人が倒れたという知らせが…。謎の依頼の真実はー。