2007年11月発売
ドストエフスキーは最初から「ユーモア作家」だった! 怪しい色男を巡る、2人の紳士の空疎な手紙のやり取り。寝取られた亭主の滑稽かつ珍奇で懸命なドタバタ喜劇。小心者で人目を気にする閣下の無様で哀しい失態の物語。鰐に呑み込まれた男を取り巻く人々の不条理な論理と会話。19世紀半ばのロシア社会への鋭い批評と、ペテルブルグの街のゴシップを種にした、都会派作家ドストエフスキーの真骨頂、初期・中期のヴォードヴィル的ユーモア小説4篇を収録。 沼野充義 ここに収められた初期から中期のドストエフスキー作品の基調ともいうべきものは、延々と続く形而上的議論の底知れぬ深みに下りていく手前で踏みとどまり(いったん呑み込まれたら這い出すことができないような深みがあることはすでに予感されるとはいえ)、あえて表層で戯れ続けているような感じさえ与える過剰な言葉と自意識のドタバタ劇場であって、ドストエフスキーは明らかにユーモア作家でもあった。--<「解説」より>
二人には、どんな相手にも告白できないほど良心に恥じる過去があったー。母親の自慢だった、何もかも優秀な兄の死に囚われている完璧主義者の女医、三八歳。自分でからだを動すことができず、ヘルパーの手を借りずには生きていくことができない異常な肥満で部屋に閉じこもった皮肉屋、五〇代女性。深刻なトラウマのせいで、他人を信じることができないという孤独を抱えた二人が、人生の歯車を狂わせた先に出会った時…。ベスト北欧推理小説賞受賞実力派女性作家が描く、スリリングなサイコサスペンス、待望の第四弾。
20世紀を代表する児童文学作家アストリッド・リンドグレーン(1907-2002)の一生を秘蔵写真でつづる愛蔵版。スウェーデンの田舎で遊んで遊んだ幸せな少女は、未婚のまま妊娠して故郷を離れ、やがて世界的な人気作家となった……。ここには、みごとに生きた一人の女性の生涯が凝縮されていて、感動的である。
娘はかつての自分と同じように、家を捨て恋に走った。妻としての幸せも、母としての幸せもつかめなかった世津に、女の幸せは訪れるのか…。女は何事にも忍従し、家を守らねばならないといわれた時代。あいつぐ逆境にありながら美しく強く生きた女の一生を、流麗な筆に綴って感動を呼ぶ、大河ロマン完結編。
高校の先輩、小田切孝に出会ったその時から、大谷日向子の思いは募っていった。大学に進学して、社会人になっても、指さえ触れることもなく、ただ思い続けた12年。それでも日向子の気持ちが、離れることはなかった。川端康成文学賞を受賞した表題作の他、「小田切孝の言い分」「アーリオ オーリオ」を収録。(講談社文庫) 指一本触れないまま「あなた」を想い続けた 高校の先輩、小田切孝に出会ったその時から、大谷日向子の思いは募っていった。大学に進学して、社会人になっても、指さえ触れることもなく、ただ思い続けた12年。それでも日向子の気持ちが、離れることはなかった。川端康成文学賞を受賞した表題作の他、「小田切孝の言い分」「アーリオ オーリオ」を収録。 袋小路の男 小田切孝の言い分 アーリオ オーリオ
卒業して東京へ行ってしまう才援・藤森千里と、階下に両親がいる彼女の部屋で、大地は「最後の夜」を過ごす。祖父の七周忌で出会った、血のつながりのないいとこは、国際線スチュワーデス。彼女が滞在する温泉宿に招かれ、一緒に入浴することを誘われた大地は?190万部突破の超人気官能シリーズ第17作。
遭った男 暗殺剣 蓮の音 練心館の秘密 退耕斎の正体 伊賀者 天狗の里 四番目の顔 隠密第一日 伊賀の刀法 老忍 仏国土 丹生津姫草紙 黒い影 異変 卵殻 旅へ その男 安羅井人 神奈川の宿 藤沢の本陣 流れ 青い火 三条大橋
新選組 拾う神 襲撃 幻影の城 早川夷軒 源聖寺坂 大坂蔵屋敷 薬師堂 脱出 変身 隠し国へ 大和路 国栖ノ国 月の峰 猟師小屋 高力伝次郎 変心 殺陣 岩室 安羅井国 野猿 浦島 頭上の敵 月の出の浜 年譜
もしもこれまでの人生、1冊の森博嗣も読んでいなかったら。--<西尾維新(解説より)> その死体は、Yの字に吊られていた。背中に作りものの翼をつけて。部屋は密室状態。さらに死体発見の一部始終が、ビデオで録画されていた。タイトルは「Φ(ファイ)は壊れたね」。これは挑戦なのか?N大のスーパ大学院生、西之園萌絵が、山吹ら学生たちと、事件解明に挑む。Gシリーズ、待望の文庫版スタート! プロローグ 第1章 密室の中に浮遊する死体の状況について 第2章 しだいに確固となる密室の境界条件について 第3章 記録された映像とφの謎について 第4章 予感と現実の摩擦あるいは譲歩について 第5章 通じるために開けた穴のリスクについて エピローグ
グインは闘技大会の決勝戦を勝利して、ガンダルとの大闘王決定戦へ臨むことになる。そして祭りの最終日、狂奮のさなか、二人はついに剣を交えた。究極の剣技の衝突は熾烈を極めるが、ガンダルがグインを追い込んだと見えた次の瞬間、グインは肩に深手を負いつつもガンダルの脇腹に剣を深く突き入れていた。瀕死のガンダルはグインの正体を知ることを望み、グインは、自分こそがケイロニアの豹頭王であると告げるのだった。
本書には、レイモンド・チャンドラーが1938年から39年前半にかけて発表した五篇の中短編が収められている。表題作「レイディ・イン・ザ・レイク」は、長篇『湖中の女』の原型となったもの。「ベイシティ・ブルース」もまた、同長篇に組み入れられた。「赤い風」はのちに主人公がフィリップ・マーロウに書き換えられたバージョンでお届けする。伝説のヒーロー誕生前夜の熱気を伝える画期的全集第3巻。
心に深い傷をおった私立探偵C・W・シュグルーは、愛する家族に囲まれ静かな生活を送っていた。だが、親友の精神科医マックの頼みを断わり切れず、盗まれた診療記録の行方を追うことに。危険のない調査のはずだったが、シュグルーの目の前で容疑者たちが次々と惨殺されていった。しかし犯人の尻尾はまったくつかめない。妻と息子から遠く離れ、実りのない孤独な調査に奔走するシュグルーの心は、しだいにかつての狂気に取りつかれていく-雄大な西部を背景に、男の友情、魅惑的な女たち、暴力、そして裏切りにつぐ裏切りを描く、ハードボイルドの巨匠の傑作長篇。