2007年12月1日発売
男の子には突破しなければならない関門がある。一人寝、おつかい、メンコ勝負、補助なし自転車、クロールでの25メートル、親友とのケンカ、淡すぎる恋…。宝物は秘密基地に隠していたあの頃、風の声が聞こえたあの時代、川も杜も空き地もみんな友達だった。同じ一瞬などない、日々、脱皮していく少年というはかなくも美しい季節を叙情豊かに紡ぐ感動の名品47編。
本所の一膳飯屋「井筒」の看板娘お蔦は、鬼平も一目おいた名親分の忘れ形見。顔は悪いが、情の厚い御用聞き「不動の井蔵」に溺愛されて育った。定廻り同心、遊佐清之介の屋敷で武家奉公することになったお蔦。清之介の母の厳しいしつけに半べそであった。そんなおり、清之介宅に現れた記憶のない女。謎の女性の哀しい過去を綴った一篇、母を知らぬ小盗の親孝行を描いた中篇、勘違いで巻き込まれた剣難の全三篇を収録。
船宿の船頭を表の稼業に、よろず揉め事を請け負う浪人・小佐々銑十郎。元は国家老の家柄で、直心影流の凄腕を持つ銑十郎に、蔵前の札差・大黒屋が持ち込んだのは、旗本同士の喧嘩の仲裁だった。その場を丸く収め、旧知の榊原を諍いから救ったかに見えたが、榊原の相手だった男が後日斬殺され、榊原に嫌疑が掛かる。友の窮地を救うべく立ち上がった銑十郎だったが、裏には旗本たちの醜い内輪揉めと勢力争いが絡んでいた…。好評シリーズ第三弾。
2172年、パリの街で偶然出会った路上生活者の二人の少年、ジュロームとマックスは、合気道学校長・イーブによって合気道学校“アイキ・リブリウム”へと強制的に連れて行かれる。そこでは、合気道開祖・植芝盛平が成したといわれる武道の最高技法“神技”を蘇らせる試みがされていた!二人を待ち受ける“神技”へ至るための過酷な稽古、そして残酷な運命とは?近未来を舞台に、“神技”を巡る数々の謎と少年たちの成長、そして巧みな心理描写を用いた武道極意の世界の表現を融合させた、これまでにない武道小説。