2007年1月発売
トラウマは本当に人の人生を左右するのか。両親との辛い別れの思い出を胸に秘め、航空機爆破計画に立ち向かう岬美由紀。その心の声が初めて描かれる。シリーズ600万部を超える超弩級エンタテインメント!
消えるマントの実現となる恐るべき機能を持つ繊維の開発が進んでいた。一方、千里眼の能力を必要としていたロシアンマフィアに誘拐された美由紀が目を開くと、そこは幻影の地区と呼ばれる奇妙な街角だったーー。
高温でなければ活性化しないはずの旧日本軍の生物化学兵器。折からの気候温暖化によって、このウィルスが暴れ出した! 感染した親友を救うために、岬美由紀はワクチンを入手すべくF15の操縦桿を握る。
妊娠8ヶ月、それなのに入籍も同居も決められないままの美咲。ふと手にしたネガのフィルムから、思い出が鮮やかによみがえる。過去の愛、今の幸せ、その間に置き去りにされたのは、こころー。表題作「白い月」のほか、妊娠、出産という女のドラマを軸にした短篇全8編。からだの変化とともに変容してゆく愛のありようを細やかにつむぐ。
妻が稼ぎ、夫が子育て。イマドキ夫婦の実態は!? 三高キャリア美女と三低オタクライターがなぜか恋におちて結婚。だけどかみあわない二人の結婚生活はてんやわんや!? イマドキカップルの結婚、出産、子育てを描く傑作コメディ。(解説/藤田香織)
廃止寸前のオンボロ地方競馬場。賞金は激安、集まるのは他で勝てなくなった馬ばかり。しかし、若手ジョッキーの一輝はそこで世界制覇の夢を追い続けていた。彼は、持ち前の「豪腕」で馬にラストスパートをかけさせる戦法で勝ち星を重ね、大レースに出るチャンスをつかむ。だが直前で落馬事故に遭ってしまいー。逆境に負けず、勝利を信じて疾走し続ける騎手を描いた青春小説。文庫書き下ろし。
疾風怒濤の開拓期を生きた、この破天荒な人生!著者渾身の大河歴史巨編、待望の第二部、千四百枚!アイヌに心を通わせた男と無頼の一家を起こした男ー広大無辺の蝦夷地の原野を男たちの「運命」が奔る。
事故で亡くなった愛妻の肝細胞を密かに培養する生化学者・利明。Eve 1と名付けられたその細胞は、恐るべき未知の生命体へと変貌し、利明を求めて暴走をはじめるー。空前絶後の着想と圧倒的迫力に満ちた描写で、読書界を席巻したバイオ・ホラー小説の傑作。新装版刊行に際して、発表時に研究者でもあった著者から、科学者あるいは小説家を志す人達に贈る、熱いロングメッセージを収録。
日本統治下の朝鮮・密陽に生を受け、マラソンでの五輪出場を目指した亡き祖父・李雨哲。そのうしろ姿を追い、路上を駆けることを決意した柳美里。ふたりの息づかいが時空を越えて重なる瞬間、日本と朝鮮半島のあわいに消えた無数の魂が封印を解かれ、歴史の破れ目から白い頁に甦る。偉丈夫の雨哲と美丈夫の弟・雨根。血族をめぐる、ふたつの真実の物語が、いま日本文学を未踏の高みへと押し上げる。
1940年、東京オリンピックは幻と消えた。失意の日々、肌の温みを求める女たちを捨て、雨哲は故郷を去り、一方、娘たちを夢中にする美しい容貌と、兄譲りの健脚に恵まれた弟・雨根は、いつしか左翼運動に深く傾倒した…小説家柳美里が、国・言葉・肉親、すべてを奪われた無名の人々の声に耳をすまし、自身の生につらなる日本と朝鮮半島の百年の歴史を、実存の全てを注ぎ描きあげた傑作。
愛など捨てたはずだった。恋人を事故で失った若き日に。私は虚無を抱え、アウトローとして闇に暮らしてきた。だが、光を失いながらも懸命に生きるかほると出会い、罅割れた心が潤ってゆく。私は、娘のような年頃の女性を、いつしか全身全霊で愛するようになっていたのだー。男たちの熱き絆。そして不器用な男と女の命を賭けた恋。渾身の長篇小説。
「あのう、すみません。すみませんていうのは働かないとかやりたいことがないとかっていうことについてじゃなくて、いま私がこうやって喋らせてもらってることに関してで。…ええとつまり、働く気はないけど喋る気はあるっていうことです」父を早く亡くし、母に酒をのませてもらい金を無心して生きている私。祖父の三回忌で伯母に「そろそろ働いたら?」と問われ、明かされはじめた過去。中学教師に秘められた戦争中の出来事とはー。圧倒的な筆力で現代を照らしだす新鋭の誕生。新潮新人賞受賞作「冷たい水の羊」併録。
人情溢れる下町を奔走する新米刑事・麻生龍太郎、25歳。誰の目にも日の当たる道だけを歩んでいるように映る龍太郎だが、人には明かせない秘密があった…。ベストセラー「緑子」シリーズの人気キャラクターの過去が初めて明らかに!人情溢れる下町を奔走する新米刑事の内面に迫った連作警察小説。
人数あわせのために合コンに呼ばれた聡子。そこで出会った冬原は潜水艦乗りだった。いつ出かけてしまうか、いつ帰ってくるのかわからない。そんな彼とのレンアイには、いつも大きな海が横たわる。恋愛小説作品集。
ロシアで見つかった、ただ一人の日本人残留孤児。満州、ソ連、日本…六十年の時を経て、戦争で損なわれた「私」を探す旅がはじまる。圧倒的なスケールで描かれる魂の救済、そして究極の愛。感動の超大作。