2007年2月15日発売
「人妻とのつき合いは、いろいろな味をそのつど男に与える」。産休明けで諸橋陽子が職場復帰した。広告代理店に勤める奥村裕一は、妊娠前の陽子と数回関係をもっていた。子どもを産んで、以前より美しくなった彼女を、裕一は誘うが…。表題作「ミルキー」を含む、女の秘密がぎっしり詰まった12作の短篇集。
2017年。聖都市「NO.6」を追われた16歳の紫苑がはじめて目にする外の世界、そして現実。ぼくは今までいったい何を知っていたんだろう?何を見ていたんだろう?ネズミと暮らし始め、懸命に生きようとするが、「おれとNO.6、どちらを選ぶ?」と問われた紫苑は…。加速する運命が二人を襲う。
フリーのPRマン・漆田亮は、得意先の日野楽器から、ある男を探してくれと頼まれる。男の名はサントス、二十年前スペインの有名なギター製作家ホセ・ラモスを訪ねた日本人ギタリストだという。サントス探しに奔走する漆田は、やがて大きな事件に巻き込まれてゆく。直木賞を受賞した、著者の代表傑作長編。第96回直木賞、第40回日本推理作家協会賞、第5回冒険小説協会大賞受賞作。
サントスとダイヤが埋められたギター「カディスの赤い星」を追ってスペインに渡った漆田は、ギター製作家ラモスの孫娘・フローラが属する反体制過激集団FRAPのフランコ総統暗殺計画に巻き込まれる…。スペイン内戦時の秘密を軸に、日本とスペインを舞台に展開される、サスペンスにみちた国際冒険小説。第96回直木賞、第40回日本推理作家協会賞、第5回日本冒険小説協会大賞受賞作。
1億円の名器ストラディバリウスが盗難。人気バイオリニストがコンサートのリハーサルの際にすり替えられたのだ。出動したST翠の異常な聴覚に、オーケストラの指揮者・辛島は興味を示す。捜査が難航するなか、コンサートマスターが密室殺人の被害者となる…。翠の苦悩が胸を打つ「色」シリーズ第4弾。
驚異的技術と凄まじい職業意識を持つ怪人たち、伊賀忍者はいかにしてつくられどのように生きたか。城取り、後方撹乱、探索密偵等、戦国の武器として使いちらされた危険な傭兵、詐略と非情の上に成り立つ苛酷な働きが、歴史の動きに影響を与えた不思議な人間たちを、自在に描く短編等、魅力溢れる7編を収録。
剣闘士として闘技会に出場しはじめたグインは、たちまちのうちに頭角を現わし、対戦相手を次々と倒してゆく。そしてタイスの四剣士のひとり、青のドーカスを打ち破る。試合後、グインをたずねてきたドーカスの真摯な態度に心を動かされ、グインは自分が本当にケイロニアの豹頭王であることを明かす。さらに残りの四剣士、赤のガドス、黒のゴン・ゾーをも打ち倒したグインに、白のマーロールが放つ怪しの技が襲いかかる。
出版社を経営するエドガー・ブラッカーが放火により殺された。彼は歯に衣を着せぬ物言いで作品を批判したり、出版の約束を反故にするなどして作家たちから恨みをかっていた。容疑者は12人、アマチュア作家の集まり“チチェスター作家サークル”の面々に絞られた。無実を訴えるメンバーの身辺を、サークルの新入りであるボブ・ネイラーは調べ始めるが、まもなく第二、第三の犠牲者が…。ラヴゼイが円熟のトリックを施した、極上の本格ミステリ。
脅し文の相談で奉行所にやって来た廻船問屋の主人が、商談帰りに襲われた。通りすがりの浪人に救われ、一命を取りとめたというが、腑に落ちない文之介。捕り逃した嘉三郎の探索もあって、手が回らずに…。一方、丈右衛門とお知佳の仲が。
歌舞伎町。シャブの売人。カジノにはまった。借金の返済がせまっている。十七歳のユウ。金を持っていた。シャブ漬けにしてカモるはずが、やくざにあてがうことになった。疼く心。炸裂する暴力。鮮烈に描く破滅に向かう青春。馳星周の傑作短篇。
高名な陰陽師・加茂忠行の子孫である忠明は、幼い頃、闇の眷属・宵闇姫によって己の宿命を知らされ、その証を身に刻まれた。世を守るという“運命の重さ”に一度は潰されそうになった忠明だったが、幼馴染みの沙紅弥の存在がその重責を“守りたい”という真っ直ぐな想いに変えてくれたのだった。忠明は進むべき道を歩み、そして今、運命が動き出す。二人の幼馴染みである紀子の微妙な心情も巻き込みながら-。学園陰陽師ホラー。
生徒会が学校を占拠した?!スピード感溢れる表題作「七重的学校図」。自らの信念を胸に、周囲からのいじめにも無関心な孤独な少女を描く「私と少女」の2作品を収録。中高生の青春、友情、そして現実を描いた学園ストーリー。
保健室登校の女友達とのぎこちない友情。同級生と馴染めない、音楽ライター志望の偏屈な女子に突然訪れた恋。大好きな彼とさよならすることになっても、どうしても行きたかった、東京ー。山と田んぼに囲まれた田舎の高校を舞台に、「あの頃」のかっこ悪くて、情けなくて、でもかけがえのない瞬間を切ないまでに瑞々しく綴る、傑作青春小説。