2008年3月発売
グリムのメルヒェン集と伝説集を中心に、『ドイツ神話学』やヘーベルの『暦物語』までを踏まえて、魔女とユダヤ人の描かれ方、その変化の実態と意味を探る。
生真面目な生活を送る高校教師、悠のもとに転がり込んできた疎ましい人物…それは、若手俳優の黒崎祥こと弟の涼司だ。中学時代から芸能界に入り、今では“抱かれたい男ナンバーワン”として人気の涼司。だが二人には獣じみた過去が…5年前、力ずくで涼司に嬲られたあの夜…。兄を貶め征服する弟…その存在に怯え囚われる兄。そこにあるのは憎しみ、執着それとも…?歪んだ禁忌なる究極愛書き下ろし。
香道界のプリンス、和は恋人であるA首長国連邦の王子アズィーズの招待で、とある南の楽園でバカンスを楽しむことに…。強引に攫われることから始まった和とアズィーズの関係も、今はすっかり愛に彩られ…久しぶりの逢瀬に燃え上がる二人。ところが、そんな限られたセレブのみの完璧なプライベートヴィラにもかかわらず、アズィーズを狙う怪しい影が…。華麗で危険なアラビアンロマンス書き下ろし。
極上のワインを求めて!フランス・ブルゴーニュから、隠れキリシタンが密かにワインを醸造する、トルコ・カッパドキア「月の谷間」へー。十字軍時代のひと味ちがった聖杯探求物語。
陰鬱なる塔に潜む“影”-これぞ英国怪談の醍醐味。編まれる機会の少ない中篇を、厳選して訳出!デ・ラ・メーア「シートンのおばさん」新訳、メイ・シンクレアの傑作「水晶の瑕」、ブラックウッドの重厚な「地獄」を収録。
『零崎一賊』-それは“殺し名”の第三位に列せられる殺人鬼の一賊。“少女趣味”こと零崎曲識が、一賊に忍び寄る危機を察知し、ついに表舞台に現れた。一賊の結束はどうなるのか。“音使い”零崎曲識の闘いが今、始まる!新青春エンタの最前線がここにある。
“龍神の神子”として異世界「京」へ召喚された少女、元宮あかねは、怨霊や鬼と戦う日々を送っていた。しかし、神子には外出を控え、力を回復しなければならない「物忌み」という日がある。外出できないあかねは、神子を守る八人の男たち「八葉」に、「京」の話をしてほしいとせがむ。彼らは、あかねの知らない自分たちの日常や過去のことを語り始めるー。女性に大人気!ネオロマンスゲーム「遥かなる時空の中で」初のノベルをミステリ作家・近藤史恵が描いた傑作、ついに文庫化。
兄弟を殺害して即位した君主を処刑するために、わが子をも欺いて死なせた衛の石〓(さく)、叛乱で父を亡くしながらも速やかに君主を救い、後に中国史上初の成文法を作った鄭の国僑(子産)、楚王に復〓(しゅう)するために呉に仕え、呉王を霸者にした伍員(伍子胥)など、移りゆく国勢と王室の動乱に揉まれながら、国をたすけた名臣二十人の軌跡。
アパレルメーカー新入社員の仲江翠は、入社後すぐにエリート課長との不倫が始まったが、しばらくして同期で課長の部下とも交際。きちんと仕事もこなしつつ、ゲーム感覚の恋愛を楽しんでいた。だが、同じように社内不倫をしていた女子社員に思わぬ事件が発生。それを機に翠の恋愛ゲームにも暗雲が立ち込める。
愛する妻を殺され、汚職の疑いをかけられたベテラン刑事・蛯原。妻が失踪して途方に暮れる高校教師・辻。事件の渦中に巻き込まれた二人は、やがてある宗教団体の関与を疑い、ともに捜査を開始するのだが…。新本格の雄が、綿密な警察取材を踏まえて挑む本格捜査小説。驚天動地の結末があなたを待ち受けます。
有力地銀合併に絡む贈収賄事件で事情聴取を受けていた財務省キャリアの大貫が墜死した。事件との関連の薄い彼の死に不審を抱いた東京地検特捜部の後鳥羽検事は、大貫が改革派議員と組んで日本再生のために大掛かりな日米経済改革を行おうとしていたことを知る。事件は財務省、日米政府を巻き込む大謀略に発展した。
沢渡三姉妹が山奥のクラシック・ホテルで毎年秋に開催する、豪華なパーティ。参加者は、姉妹の甥の嫁で美貌の桜子や、次女の娘で女優の瑞穂など、華やかだが何かと噂のある人物ばかり。不穏な雰囲気のなか、関係者の変死事件が起きる。これは真実なのか、それとも幻か?巻末に杉江松恋氏による評論とインタビューも収録。
「私と別れても、逍ちゃんはきっと大丈夫ね」そう言って日和子は笑う、くすくすと。笑うことと泣くことは似ているから。結婚して十年、子供はいない。繊細で透明な文体が切り取る夫婦の情景ー幸福と呼びたいような静かな日常、ふいによぎる影。何かが起こる予感をはらみつつ、かぎりなく美しく、少し怖い十四の物語が展開する。
財団法人“日本の自然と伝統を守る会”理事長が、十津川と名乗る男に殺された?!捜査に乗り出した十津川警部は、自らの名前が騙られたことに驚き戸惑いながらも奈良県十津川村へ向った。日本一の面積をもつ村、十津川村には世界遺産に指定された熊野古道が残り、全国に知られるようになった。現地に足を踏み入れた十津川警部の前に新たな殺人事件がー。全国津々浦々を駆けめぐり事件を解決してきた名警部十津川が、その名の由来となった十津川村を巻き込んだ事件に初めて遭遇した。数ある“十津川警部シリーズ”にあってエポックとなる作品、待望の文庫化。
昭和三十年七月。夏休みのある朝、小学四年生の広之は大阪から夜逃げしてきた家の子・勝治と出会った。無邪気な少年同士の友情は、親たちの抱える複雑な情と事情に流されて、ひりひりとした痛みを帯びていく。ひと夏の体験とかつて荒くれ者だった父が酔って語る“魂の話”は、広之の心に何を刻むのかー戦争の傷跡残る和歌山を舞台に、ふたりの少年の出会いと友情、そして別れを軸に、大人たちの人情の機微と愛情を情感こめて綴った、ふたつの家族の物語。
経理課一筋37年で警視庁を定年退職した木野塚佐平、60歳。フィリップ・マーロウやリュウ・アーチャーなど海外のハードボイルド探偵を崇拝する氏は、自身がコツコツと貯めたヘソクリで探偵事務所を開設する。場所は新宿の裏町、吸えないタバコをポケットに、ニヒルに事件を待つ。しかし、依頼どころかあこがれの美人秘書もやってこない。そんなある日、近所づき合いで掲載した業界紙の広告から、記念すべき最初の依頼が。その事件は、なんと金魚の誘拐事件だった。愛すべき老人探偵の活躍を描く、ユーモア・ハードボイルド連作集。堂々登場、だ! 著者あとがき=樋口有介/解説=中辻理夫