2008年7月発売
母親の治療費のため、ホストをしている泰章。ある日、後輩ホストのミスがもとで、氷川組の若頭・梅垣に性的制裁を受ける羽目に…そして、それをネタにさらなる関係が続き…。ジタンの臭いのする傲慢な梅垣に翻弄されながらも、時折見せる優しさに惹かれ始める泰章。だが、後輩の代わりに引き受けた運び屋の仕事から、組同士の抗争が勃発…報復のとばっちりが泰章にも…。闇世界に生きる男たちの激情愛。書き下ろし。
荘厳な教会で正式に結ばれた二人…花婿は名門三条家の当主で、初当選を果たしたばかりの参議院議員、純一郎、一方の花嫁は警視庁捜査一課の辣腕刑事、千尋。深夜の路上で奇跡的に出会い、3ヵ月の熱愛期間を経て、ついに挙式にまで至ったこの仰天セレブカップルだが、新婚初夜のメロウなひとときをぶち破るかのごとく宿泊先のホテルで殺人事件が…。強靱で深い愛を貫け!激甘新婚ミステリーエロス書き下ろし。
部屋住みの身の風間啓四郎にとって、御前試合で勝つことは、藩での出世と道場の後継者への道が同時に手に入る、またとない機会。分を心得ていたはずの啓四郎だが、ある日、道場の一人娘・雪乃を見てから、すべてが変わった。が、時代は幕末の混乱期を迎えつつあり、藩の情勢も、啓四郎の身辺も、風雲急を告げる。愛する女と未来を手に入れるため、貧乏藩士の次男坊・啓四郎が歩き始めた幕末波乱の人生。
獣医師・内海綾子の周囲に異変が連続する。創薬コーディネーターの恋人が変死し、発見現場近くの牧場からはBSEの疑いがある牛の白骨体が発見される。そして勘当された天才脳外科医の父親が入院する…。すべてを解く鍵は、父親から消えゆく記憶と意識だった。『東京ダモイ』の第52回江戸川乱歩賞作家が、二年の歳月をかけて織り込んだ深遠なテーマ、壮絶なドラマ、驚きのミステリー。
今回の3Zは半端じゃない。ミステリあり、バク処理あり、ヌルヌルネバネバあり、さらに匿名上等の緊急個人面談ありと、抱腹絶倒の面白さ。いや、七転八倒?八面六臂?…とにかく、『銀魂』番外編「銀魂 3年Z組銀八先生」、のるかそるか、いちかばちかの第三弾。
芝三丁目で献残屋を営む箕之助はある日、辻屋という一膳飯屋の嫁姑の諍いが町の噂になっていることを知る。そんな折り、金杉橋の近くの河原に男の死体が転がっているのが発見される。箕之助は辻屋の内情に踏み入るうち、嫁姑の仲違いが世間の目を欺くための芝居であり、その事件があくどい金貸しに義理の息子を殺された辻屋のあるじたちの復讐だと気づく。箕之助は用心棒の日向寅治郎らの協力を得て、町人には許されぬ仇討ちを最後まで密かに成就させるが…。
奇妙な相談を受け、シャーロック・ホームズが愛した街・ロンドンへと誘われた病院坂黒猫と櫃内様刻。次々と巻き起こる事件の謎解き合戦が始まった!これぞ世界に囲われた「きみとぼく」のための本格ミステリ。
「こりゃ誤植だ。旅のお手伝いじゃなくて“安らかな旅立ちのお手伝い”だから、うちは」小林大悟が求人広告を手にNKエージェントを訪れると、社長の佐々木から思いもよらない業務内容を告げられた。NKは「納棺」-遺体を棺に納める仕事を、大悟は妻の美香に打ち明けられなかった。戸惑いながらも働きはじめた大悟は、佐々木の納棺師としての真摯な姿勢を目の当たりにする。さまざまな境遇の死や別れと向き合ううちに、この職業への矜持が大悟の心に芽生えていくのだが…。人の生と死をユーモアと感動で描き、笑って泣いたあとには大きな愛が胸に届く物語。
自転車で坂を登ることに情熱を傾ける高校生、テルこと野々村輝は日の大亀ヶ丘高校の自転車部に入部する。チームのエースは鳩村大輔。高校生ながら国内の主要大会で入賞する実力者だ。自転車ロードレースは、エースを勝たせるために他の選手が全力でアシストする。テルは鳩村と競いながらも、チームのための走りに少しずつ目覚めていく。テルの得意な山岳コースを舞台にした石渡山ロードレースで、テルと鳩村はライバル鳳帝高校のエース・ユタと抜きつ抜かれつのデッドヒートを。最後に勝つのは誰なのか。テルの姉・さゆりの視点で描いた青春が熱いノベライズ。
事故で愛妻を喪い、失意の只中にあるうだつの上がらない大学講師の松嶋は、物故作家の未発表手記を入手する。絶望を乗り越え、名を上げるために、物故作家の自殺の真相を究明しようと調査を開始するが、彼の行く手には得体の知れない悪意が横たわっていた。二転三転する物語の結末は?著者渾身の傑作巨篇。
18歳当時、5人の女性を強姦した上で殺し、死刑判決を受けた希代の殺人鬼・穂積壱郎。その穂積を取材し浮上を図る事件記者の加瀬。厚い壁の中で保護され、死刑への恐怖心をまったく抱かない殺人鬼に復讐することは可能なのか?綿密な取材に裏打ちされた迫真の描写で死刑制度に新たな光を当てるサスペンス。
だんなさん、高校生の娘とともに大塚に暮らす主婦・小鳩さんは、19年前に離婚した元・夫と偶然再会する。彼は昔と変わらず、唐突に変わった歩き方を始めるのだった…。近いようで遠い、夫婦という関係の機微を描く表題作のほか、ちょっとヘンな男と女をユーモア溢れる文体でつづる、おかしくてせつない三つのストーリー。
「かごめ歌」を聞いた若い女性が失踪、現場には必ず「銀の鱗」が残されている…という怪事件が続発。その事件に巻き込まれた楓とともに謎の解明に乗り出した鬼太郎たちは、千年の時を経て蘇った悪霊が原因であることをつきとめる。鬼太郎は、自分に課せられた運命を乗り越えて、楓を、人間を守ることができるのか…。
たまらん坂、おたかの道、そうろう泉園ー実在する奇妙な土地の名前が、初老期に差しかかった男達の心に漣を立て、探索とも長い散歩ともつかぬ武蔵野行へと誘う。日常と皮膜一枚で隔たった異境で彼らが出会う甘やかな青春の残像、人も自然も変貌する現実の苦味を、清澄な筆致で描く連作短篇集。『時間』『群棲』など、時間と空間の交点に、深い人生の味わいを醸し出す黒井文学の豊かな収穫。