2008年7月発売
早苗は成績重視・結果主義の剣道強豪高へ、香織は個人主義から部に忠義を尽くし始める。ふたりの武士道の時代(研究中)が幕を開けたー。新進気鋭が放つ痛快・青春エンターテインメント、正面打ち二本目。
高校受験に失敗し引きこもりとなった友樹は、精神科医の東山と出会い立ち直ろうとしていたが、友人の起こした事件に巻き込まれ犯罪者の烙印を押されてしまう。一方、友樹を救えなかった東山も無力感に苛まれていた。新たなプロジェクトへの参加を決意した東山とパティシエ修業を始めた友樹。過去と決別すべく立ち上がった二人の運命は?衝撃の医療ミステリー。
戦史の研究に没頭している孫武は、戦争に勝つには勝つだけの理由があり、負けるには負けざるを得ない理由があることを知った。呉楚の確執が続く古代春秋時代の中国。楚への復讐に憑かれた伍子胥の計らいで呉の将軍となった孫武は、独自の機略で楚軍を打ち破り続ける。孫子の兵法で名高い孫武を描く歴史小説。
「兵法家と兵学者は違う」孫武の時代から約150年後、後孫にあたる孫〓(ぴん)は〓(ほう)涓の影響で兵法のおもしろさに目覚めた。やがて魏につかえ大将軍となった〓(ほう)涓を訪ねた孫〓(ぴん)だが、その才能に嫉妬し恐れた〓(ほう)涓の残酷なたくらみに嵌ってしまう。かつての友への復讐と兵法家としての意地を賭けた最後の戦いが始まる。
僕にザリガニの味を教えたのは、六年生の春に転校してきたこうすけだった。クラスの誰ともしゃべらないこうすけと僕の間には、二人だけの秘密があった。ひと夏を共に過ごし、成長する少年たちの姿をみずみずしく描く表題作ほか二編を収録。坪田譲治文学賞、椋鳩十児童文学賞をダブル受賞したデビュー作。
地球連合は独立を求める木星圏の反乱者たちとの抗争に苦戦していた。膠着状態を打破すべく最新兵器の投入が決定される。コードネーム「G」-「ギガース」、そのパイロットは情報部から来たリーナ・ショーン・ミズキだった。彼女と宇宙海兵隊の男たちの新たな戦いが始まる。著者、もうひとつの代表作。
家庭がありながら運命的な出逢いをしてしまった二人、人の世話ばかり焼いてしまう癖を恋人に咎められる青年、息子が事故に遭遇しても足がすくんで助けられない夢にうなされる母親、隣室の女性がストーカーに殺されたのに何もしなかったと非難される男。誠実な人々の窮地を描いて共感を呼ぶミステリー集。
温泉もない、名所があるわけでもない、嫁のきてもない。観光客の途絶えた過疎の町、駒木野。青年クラブのメンバーたちは町を再生することで、自らの生き方にも活路を見出そうとするが。地方の現実に直面する人々の愚かしくも愛しい奮闘を描いた胸に迫る長篇。「日本の四次元地帯」として駒木野は再生するのか。
かつて、マレーシアの密林からかき消えたシルク王、ジェフリー・トーマス。それから三十余年、軽井沢の別荘、泉洞荘で、絢爛豪華な絹の布に埋まってひとりの老人が不審死を遂げた。奇妙な縁に導かれて京介、蒼、深春たちはマレーシアはカメロン・ハイランドにある月光荘を目指す。そこで見出した真相とは。
夜光怪人出没の噂を確かめに亜衣たちは夜の桜林公園へ。やはりそこには闇に踊り、首が取れる光る怪人が!文芸部後輩の千秋の実家、虹斎寺の和尚さんは、亜衣と麗一に難解な暗号が記された古い巻物を見せる。怪人と暗号、両方の謎が解けたという教授、名探偵夢水清志郎は、町の人を集めて何を始めるのか。
奇妙な原稿が、ある新人賞に投稿された。“私”は友人から応募者の名が「三津田信三」だと知らされるが、身に覚えがない。そのころ偶然に探しあてた洋館を舞台に、“私”は怪奇小説を書きはじめるのだが…。本格ミステリーとホラーが見事に融合する三津田信三ワールドの記念すべき最初の作品が遂に登場。
サンディエゴ市警殺人課の刑事ロビー・ブラウンローは三年前、火事になったホテルから客を救おうとして、六階の窓から落下した。彼は奇跡的に一命を取りとめるが、頭を強く打ち、その影響で感覚に変化が生じることになった。共感覚という知覚を持つようになり、話し手の言葉にこめられた感情が色と形を伴って目に見えるようになったのだ。相手が嘘をつくと赤い四角が見えるため、嘘を見破れるようにもなった。彼は今、ひとつの事件の捜査にあたっていた。サンディエゴ市倫理局捜査課の捜査官ギャレットの死体が自動車の中で発見されたのだ。当初は自殺の可能性も考えられたが、何者かに至近距離から銃で撃たれたことが判明した。さらに、ギャレットが市を揺るがす内容のビデオディスクを持っていたことが明らかになる。そこには、売春婦のもてなしを受けている市の有力者たちの姿がおさめられていた。ロビーは特別な知覚を生かしながら有力者たちの調査を進めるが、やがて意外な事実が浮かび上がってくる…。『サイレント・ジョー』『カリフォルニア・ガール』でアメリカ探偵作家クラブ賞最優秀長篇賞を受賞した俊英が、斬新な設定で描く会心作。
「千里馬の国」という「共和国ドリーム」の虚実と悲劇。在日留学生同盟と密航者の生と死、分裂する全学連との葛藤。交錯する光と闇を自らの生をとおして描き出した、戦後の新しい青春像。世界文学の地平に立つ、待望の大河小説。
雪の舞う成人式の日、会場に向かう途中でうっかり足を滑らせ意識を失ったカナエ。気がつくと何故かそこは異世界だった…!しかも、救ってくれた優しい貴族の熱心なすすめで、落ち着く間もなく結婚することに。相手はなんと、密姿端麗、完全無欠、みんな憧れてやまない、この国の若き皇帝サマ!!愛のない義務としての結婚と理解しつつも、感情すら感じられない皇帝サジエルの瞳に苛立ちをおぼえるカナエ。そして迎えた初夜、とうとう我慢の限界がきた彼女のとった行動とは…。
今は亡き師匠の家の回りで次々と起こる事件の真相を追いながら、惚れた相手に想いのたけをぶつける、当代きっての人気噺家仙朝ー。古典落語の名作が多数織り込まれた、時代ミステリー。
会社を辞めて故郷の博多に戻り、何かに追い立てられるように暮らしてきた男、藤川啓吾。彼の前に、突然かつての同僚の妻・美奈が現れて言った。「藤川さんの子供を産みたいんです」。-啓吾は東京を離れる折にも美奈に思いを打ち明けられ、にべもなく断っていた。時を隔て再会し、やがて確かに心を通わせ共に過ごす二人。制約のない「大人の恋愛」を描く傑作。
「惟朔君は、すごい悪い子だと思うわ」昭和三十年代後半、東京・府中で過ごした小学一年生から、四年生になるまで。惟朔少年の早すぎる青春の日々。母子家庭で育ち、不登校に。突然同居を始めた父親は働かず、惟朔には岩波文庫を読ませる。女友達の父親には殺すぞと脅され、六年生達にはリンチされる。なんとか周囲と折り合いをつけようとする少年が身につけた、自分のやり方。自伝的作品『百万遍』へと続く、はじめの一歩。
両手両足を失い、話すことも聞くこともできない帰還軍人の夫。時子は一見献身的に支えながら、実は夫を無力な生き物扱いをし、楽しんでいた。ある日時子の感情が爆発し……表題作をはじめ9作を収録。 〈収録作〉 芋虫 指 火星の運河 白昼夢 踊る一寸法師 夢遊病者の死 双生児 ──ある死刑囚が教誨師にうちあけた話── 赤い部屋 人でなしの恋