2008年発売
建武元年(西暦25年)に始まる後漢王朝では、幼帝が続き、宮中は皇太后の外戚と宦官の勢力争いに明け暮れていた。正義の声は圧殺され、異民族の侵入が頻発し、地震や天候不順が続く。六代目の帝に皇子が生まれた時、守り役に一人の幼い宦官がついた。その名は曹騰。後に八代目順帝の右腕となった彼こそ、曹操の祖父である。
徳政を目指した順帝も急逝し、後漢王朝は外戚と宦官による腐敗を深めてゆく。そのような永寿元年(西暦155年)に、曹操は生まれた。続いて孫堅・劉備が。三十年後、宗教組織・太平道の信者を核に三十六万人が黄巾の叛乱に応じた時、曹操と孫堅は討伐軍に参加、劉備は学問を諦めて無類集団の中心となっていた。
清盛7歳。死別した母を思慕する少年は、平家の統領である父のもとに引き取られる。出生の秘密が暗い影を落とすなか、自らの運命を受け止め、強い決意をもって乱世を生き抜いていくー。清盛を中心に平家一族の視点から物語をとらえ、宮尾作品の醍醐味である女たちのドラマをふんだんに織り込んだ、壮大なる歴史絵巻。
「一番札をお持ちの方」佐吉の声で拝郷鏡三郎の一日の仕事が始まる。元は勘定方だった鏡三郎は、政争に巻き込まれていわゆる縮尻御家人となり、いまや八丁堀近くの「大番屋」の元締。欲と欲とが突っ張り合う金公事から、夫婦の揉め事、心中死体の後始末までよろず相談事が持ち込まれる。人気シリーズ第三弾。
ニューヨークの音楽学校で殺人事件が発生、犯人は人質を取ってホールに立てこもる。警官隊が出入り口を封鎖するなか、ホールから銃声が。しかし、ドアを破って踏み込むと、犯人も人質も消えていた…。ライムとサックスは、犯人にマジックの修業経験があることを察知して、イリュージョニスト見習いの女性に協力を要請する。
超一流イリュージョニストの“魔術師”は早変わり、脱出劇などの手法を駆使して、次々と恐ろしい殺人を重ねていく。ライムたちは、ついに犯人の本名を突き止めるが、ショーの新たな演目はすでに幕を開けていたー「これまでの作品のなかで最高の“どんでん返し度”を誇る」と著者が豪語する、傑作ミステリ。
勤めていた会社を解雇され再就職もままならず、自分の保険金で妻子の生活費を捻出しようと、バイクの事故を装って自殺を図るために北海道にツーリングに出かける男(「旅の半ばで」)など、ヴィンテージ・バイクと、それらにかかわる無器用で、それでも必死に己の人生を生きる男女7人の姿を描く、連作短篇集。
大正に生まれ、見合い結婚で大阪に嫁ぎ、戦火をくぐり抜け、戦後の自由な時代の波に乗り…。人生の荒波にもまれつつも、平凡な少女は決して後ろ向きになることなく、その魅力を開花させ、みんながハルカの天真爛漫なキャラクターに引き込まれていく。ヒメノ式「女の一生」、直木賞候補の傑作長編。
ふいに消えた女ともだち、小説を書くために仕事を辞めたのに最初の一行が書けない「彼」、眠れない「わたし」。アルバイトでその日その日をつなぐ若い男女のよるべなく、ささやかな生。京都・鴨川べりの古アパートから火祭の夜へ、絶妙な語り口ですくいあげられた、若い日の確かな手ざわりが爽やかな感動を呼ぶ傑作。
魔将軍・イルテリシュが捕らえた青年・ジャライル。彼はチュルク国王からアルスラーン暗殺の密命を受けていた。チュルクの内情を知ったイルテリシュは新たな野望を思い立つ。一方、ヒルメスは客将軍としてミスル国を掌握するも、ナバタイ王国侵攻の報を受ける。急遽、出兵するヒルメスだが…。王都へ向かう女騎士・エステルの一行が雨のため足止めされた町に、魔軍が襲来する!だが窮地に現れたのはパルス精鋭軍であった!そこには軍師・ナルサスの恐るべき策謀が…。ついに十六翼将が並び立ち、大いなる恐怖が再臨する、瞠目の書下ろし最新作、第13弾。
チームメイトに“カモ”と呼ばれていた男がイタリア料理にオペラ、そして恋によって自分自身を取り戻すー。フットボールとイタリアへの愛に溢れたグリシャム快心のヒューマンドラマ。
カメラマン志望の大学生・瀬川誠人は、嘘つきでとても謎めいた女の子・里中静流と知り合う。誠人はかなりの奥手だったが、静流とは自然にうちとける。そして静流は誠人に写真を習うようになる。やがて誠人は静流に思いを告げられるが、誠人にはずっと好きな人がいて、その思いを受け取ることはできなかった。一年後、卒業を待たずに静流は姿を消した。嘘つきでしょっちゅう誠人をからかっていた静流だったが、最後の大きな嘘を誠人についたまま…。
サーカスの天才・武井丈吉が扮した怪人二十面相が夜空に舞う気球に乗り、忽然と姿を消してから十年、丈吉の愛弟子であった遠藤平吉のところにひとりの男が訪ねてくる。男の名前は明智小五郎、頬はこけ、眼は落ち窪み、死期が近いことがうかがい知れた。明智は二十面相が残した数冊のノートを平吉に差し出す。行方知れずとなっている師匠の注目を引くために、ひそかに二代目二十面相となることを誓っていた平吉は、ノートをもとに厳しい修行を始める。二十面相への復讐を胸に明智小五郎を継いだ小林との間に第二幕が切って落とされる。話題の映画「K-20」原作。
「ちょっとだけ…ほんのちょっとの間だけ…さよなら、おとうさん」。母親だけでなく、プロ野球選手である父・本田茂治までも亡くした九歳の吾郎は、茂治の婚約者、桃子に引き取られる。父と同じ道を歩むべく、野球チーム三船ドルフィンズに入団した吾郎は、幼なじみ寿也の所属する強豪横浜リトルを倒すため、チームメイトとともに練習を重ねた。果たして、吾郎は勝利をつかむことができるのか…!?累計四千三百万部の国民的人気野球コミックを完全ノベライズ化!劇場版アニメ「MAJOR 友情の一球」へとつながるプレストーリー。
捕物帳作品といえば、江戸時代の江戸市中を舞台にしたものが主流の中で、本作は、時代も舞台も異色中の異色として大喝采を浴び、1978年、第八十回直木賞を受賞。81年には、桂枝雀主演によりNHKでテレビドラマ化された作品。ユーモアに溢れ、痛快至極の有明ワールドが完全復刊。
坂本家はサザエさんちと同じ七人家族。ニートの父親、息子溺愛の母親、サプリ漬けのばあさん、大仏似で短大生の長女、美少女不思議系の高一次女、いじめに悩む優秀な中一長男。そんな一家の精神的な支柱は、三女のミキだが、彼女もクラスで孤立していく。ああ家族ってめんどくさい!でも、ほっとけない。家族小説に青春小説をハイブリッドした、第一回きらら文学賞受賞作。
キャサリン・ダンスーカリフォルニア州捜査局捜査官。人間の所作や表情を読み解く「キネシクス」分析の天才。いかなる嘘も、彼女の眼を逃れることはできない。ある一家を惨殺したカルト指導者ダニエル・ペルが、脱獄、逃走した!捜索チームの指揮をとるのはキャサリン・ダンス捜査官。だが、狡知な頭脳を持つペルは大胆に周到に裏をかき、捜査の手を逃れつづける。鍵を握るのは惨殺事件の唯一の生き残りの少女テレサ。事件について何か秘密を隠しているらしきテレサの心を開かせることができるのは、尋問の天才ダンスしかいない…。ハイスピードで展開される逃亡と追跡。嘘を見破る天才ダンスvs他人をコントロールする天才ペルの頭脳戦。「言葉」を武器に悪と戦うキャサリン・ダンスの活躍を描くジェフリー・ディーヴァーの最新作。ドンデン返しの魔術師の超絶技巧がまたも冴えわたる。