2008年発売
スマトラ島地震のショックで記憶を失った姉の、莫大な財産の独占を目論む弟。メフィスト・コンサルティングのダビデが記憶の回復と引き替えに出した悪魔の契約とは? ダビデの隠された日々が、明かされる!
岬美由紀を亡き者にせよとメフィスト本社から最後通告を受けたジェニファー・レイン。さもなくば自身が闇に葬り去られる。ついに二人の正面きっての対決の時。ジェニファー・レインの最後の48時間が幕を開けたーー
オチコボレ高校に通う「僕たち」は、三年生を迎えた今年、とある作戦に頭を悩ませていた。厳重な監視のうえ、強面のヤツらまでもががっちりガードする、お嬢様女子高の文化祭への突入が、その課題だ。
「飛び降り自殺を繰り返す女の霊を見た」という目撃者の依頼で調査に乗り出した八雲の前に八雲と同じく”死者の魂が見える”という怪しげな霊媒師が現れる。なんとその男の両目は真っ赤に染まっていた!?
はじめて味わう胸の高鳴り、つないだ手。甘くて苦かった初恋ーー。読者と選んだ好評アンソロジーシリーズ。恋愛編には、有川浩、乙一、梨屋アリエ、東野圭吾、山田悠介の傑作短編を収録。
祖母が風邪で死んだと知らされた小学5年生の僕。叔母夫婦の家からは従姉の紗央里ちゃんの姿も消え、叔母たちの様子はどこかおかしい。僕はこっそり家中を探し始める。第13回日本ホラー小説大賞長編賞受賞。
ダム建設労働者の松戸与三が、セメント樽の中から発見した手紙には、ある凄惨な事件の顛末が書かれていた。教科書で読んだ有名な表題作他、小林多喜二にも影響を与えた幻の作家・葉山嘉樹の作品8編を収録。
ハルとカホは違う小学校に通う、六年生。接点などなかったふたりが、運命のいたずらによって引き寄せられる。心に傷を負った少年、少女、そして彼らを見守る大人たち。それぞれが懸命に、前を向いて歩いていく-。
夫の浮気が原因で離婚した恭子は、小学生の娘と二人暮らし。ある夜、学生時代の友人晴美が訪ねてきた。相談があるというが…「隣の女」。病弱な姉を支え、独身のまま五十代を迎えた静江。姉の乗った飛行機が墜落したと知らせが入り…「凶事」。夫の隆男は嘘をつく。結婚してよくわかった。このままではいけないと思い詰めた律子は…「嘘つき」。ドンデン返しの技が冴えるブラックユーモア11編。
芸能界に確固たる地位を築いた大歌手、橘百合子。その歌手生活37周年記念リサイタルを前に、ふとしたきっかけで振り返った過去ーあの時、もし違う選択をしていたら、どんな人生だったのか?回想はデビュー直前の昭和8年に遡り、歌手になることのなかった「もうひとつの人生」が浮かびあがる。そこで見えてきた意外な真実とは。人生の切なさを温かく包む、パラレル・ワールド小説の傑作。
林子平は女彫師のお槇とともに、老中・松平定信の追っ手から逃れ隠れて『海国兵談』の版木を彫り続けるが、お槇を連れた逃避行は日ごと過酷なものに…。二人の魂が彫り込まれた版木の行方は。気鋭が贈る感動の書き下ろし歴史小説。
テレビ業界の花形・報道番組。だが、日があたるのはごく一部。孫請け制作会社という業界ピラミッドの底辺にしがみつく彼らは、今日も「ニュース」という名の、くだらない虚構を送り出す…。そしてある日、取材中に非常に危険で残酷な「ありえない真実」が爆発。暗い憎悪の奔流が、彼らを襲い始めた-。現代社会の縮図をリアルに描く、書き下ろし長篇小説。
2161年、恒星間航行を可能にした人類は銀河系全域に進出し、8000におよぶ独立国家の連合体、銀河連合を作りあげていた。その開発の尖兵となったのがクラッシャーと呼ばれる集団だった。依頼があれば、航路の整備から惑星改造にいたる危険な任務を請け負う宇宙のなんでも屋である。その中でもトップクラスの腕利きであるジョウは、反乱の起こった連帯惑星ピザンへと、王女の依頼で、自らのチームを率いて向かうことになる。
惑星改造技術の発達により、人類が居住できなかった惑星にも植民が可能になったため、それまでの惑星国家は、太陽系全体をひとつの政府が統治する太陽系国家へと生まれ変わっていた。そんな太陽系国家のひとつタラオの大統領から、直接ジョウのチームに、銀河系の至宝と呼ばれる稀少動物、ベラサンテラ獣の護送という依頼があった。予想される宇宙海賊の襲撃を避けるため、ジョウはチームのアルフィンに陽動作戦を命じる。
6年前に別れた恋人・静佳にはある事情があった。彼女を一度は受け入れると決めたのに、突き放す形になってしまった過去。ユキヒロはその謝罪をしたいと思っているが、なかなか一歩を踏み出せないでいる。そんなユキヒロのところに、父親を雪山の事故で亡くした甥っ子の葎が預けられることに。葎との生活のなかで、少しずつ前へ進み始めたユキヒロは、静佳に手紙を書こうとするが-。死別よりつらい男女の別れとその6年後を描く期待の新鋭、初の書下ろし長編小説。
“中橋小町”の歌吉は、お狂言師にして、お小人目付の協力者。宿下がりしたままの坂東流名取・照代を再び召し出そうとする上様に、一夜だけの舞台に立つ事になった照代と連れ舞を舞う事に。大奥の陰謀から照代を守ってやれるのは、歌吉をおいてほかにいない。直木賞作家が描く長編時代小説。
男女の間にある深い溝が、これほどまでに強烈に描き出されたことがあっただろうか?爆笑を誘うほどに悲惨な、二つのよるべない魂の彷徨。“私小説の救世主”が贈る、心に突きささる傑作。女にもてない「私」がようやくめぐりあい、相思相愛になった女。しかし、「私」の生来の暴言、暴力によって、女との同棲生活は緊張をはらんだものになっていく。金をめぐる女との掛け合いが絶妙な芥川賞候補作「小銭をかぞえる」、女が溺愛するぬいぐるみが悲惨な結末をむかえる「焼却炉行き赤ん坊」の二篇を収録。
「たとえどのような御方からの下され物であれ、茶碗は茶碗ではないか…」体面ばかりが重んじられる、武家勤めに不満を持っていた美濃恵那藩士朽木三四郎は、藩主、長山影綱の催した茶会で、神君徳川家康公から、下賜された茶碗が割れていた罪を自ら負い、藩を離れた。そして、日光街道、水戸街道への江戸から最初の宿場である。千住宿にやって来た。新たに寺子屋を始めた朽木は、縄暖簾『小春』のおはるや娘おさと、そこに集う岡っ引の治平、新吉親子らの人情あふれる市井での生活に、本当の人生を感じ始めていた。そんなある日、教え子が水死体となって発見されるという事件が起こった。