2009年3月発売
彷徨い人が、うらぶれた町で見つけた「臓物大展覧会」という看板。興味本位で中に入ると、そこには数百もある肉らしき塊が…。彷徨い人が関係者らしき人物に訊いてみると、展示されている臓物は一つ一つ己の物語を持っているという。彷徨い人はこの怪しげな「臓物の物語」をきこうとするが…。グロテスクな序章を幕開けに、ホラー短編の名手が、恐怖と混沌の髄を、あらゆる部位から描いた、9つの暗黒物語。
北関東の地方都市で起きた風俗嬢殺し。事件担当の県警捜査一課警部補・古城辰郎は、無実の男を自殺に追い込み、警察から放逐された。家族とは別居、細々と探偵稼業を始めて2カ月、彼の許に真犯人は地元暴力団という話が舞い込む。独自の調査を始めた古城は、自分が上層部に嵌められたのではという疑念を抱く…。県警と暴力団の驚愕の癒着の実態とは。そして風俗嬢殺しの真相とは。元刑事の寄辺なき闘いを描破した探偵小説。
悪のヒーロー、朝倉恭介が作り上げたコカイン密輸の完璧なシステムがついに白日の下に。警察からもCIAからも追われる恭介。そして訪れた川瀬雅彦との対決。”朝倉恭介vs川瀬雅彦”シリーズ最終巻。
幼稚園のときに事故で家族を亡くした知世子。孤独を抱え「チョコリエッタ」という虚構の名前にくるまり逃避していた彼女に、映画研究会の先輩・正岡はカメラを向けて……こわばった心がときほぐされる物語。
「百怪倶楽部」はオカルト好きな男女が集まった大学のサークル。女子寮の地下室で「四隅の間」という遊びをしている最中にメンバーの一人が突然死してしまい……死相学探偵・弦矢俊一郎が真相を追う。
伊賀屈指の忍者・霧隠才蔵ーー。関ヶ原合戦後、徳川家に雇われた才蔵は、幕府の根底を覆す謎の巻物の探索を命じられた。だがその眼前に、豊臣家再興を画す真田幸村の放った甲賀忍者・猿飛佐助が現れた!
人物に惚れ、真田幸村の配下となった霧隠才蔵は、猿飛佐助と共に風雲急を告げる大坂城に入城した。大坂の陣前夜、真田忍者と徳川方の切り札・柳生兵庫助との暗闘が始まった! 大河ドラマ原作者が描く本格忍者活劇
いんらんの母から生まれた少女、七竈は自らの美しさを呪い、鉄道模型と幼馴染みの雪風だけを友に、孤高の日々をおくるがーー。直木賞作家のブレイクポイントとなった、こよなくせつない青春小説。
数百年後の未来、機械に支配された地上で出会ったひとりの青年と美しきアンドロイド。機械を憎む青年に、アンドロイドは、かつてヒトが書いた物語を読んで聞かせるのだったーー機械とヒトの千夜一夜物語。
凄絶な幼少期を過ごしながらも、コロンビア・マフィアのボスにまで上りつめた日系二世のリキ・コバヤシ・ガルシア。その彼が、ひとりの少女を伴い来日した。目的はライバル組織に売られ、日本警察に勾留されている部下の奪還と復讐、そして…。ひとりの男と、彼に纏わる人間たちの愛憎を描く傑作巨篇。
ゴンサロへの復讐を果たし、日本警察からのパパリト奪還を急ぐリキ。ある日、彼は、迷子になったカーサを送り届けた元刑事・若槻妙子と出会う…。安らぎを夢見つつも、憎しみと悲しみの檻の中でもがき彷徨う男と女。血と喧噪の旅路の果てに待つものは、一体何なのか?人の心の在処を描く傑作巨篇。
その標的になって生きながらえた者はいないといわれる暗殺結社“クリムゾン・ナイツ”。彼らに命を狙われているという連邦首相から護衛を依頼されたジョウだったが、契約を終えた直後に首相は殺されてしまう。任務に失敗した彼に与えられた失地回復の猶予は240時間。残された凶器のニードルガンを手懸りに、必死の捜査の末、結社の本部を突きとめたジョウたちを待ち受けていたのは、究極の殺人兵器、人面魔獣だった。
オッド・トーマスは南カリフォルニアの町ピコ・ムンドに住む20歳のコック。彼には特異な能力があった。死者の霊が目に見え、霊が伝えたいことがわかるのだ。ある日、オッドは勤務先のレストランで悪霊の取り憑いた男を見て、不吉な予感を覚える。彼は男の家を探し出して中に入るが、そこで数多の悪霊を目撃した。そして翌日に何か恐ろしいことが起きるのを知るが…巨匠が満を持して放つ最高傑作シリーズ、ついに登場。
遙か昔の神話の時代、オリュンポスの神々はギリシアで栄華を極めた。だが、時は現代、ロンドンに移住した神々は困窮に喘いでいた。月と狩りの女神アルテミスはドッグ・シッター、美の女神アプロディテはテレフォン・セックスのオペレーター、そして太陽神アポロンはいんちき霊能者としてかろうじて生計を立てていた。神々は神通力を失いつつあり、将来に希望はない…。ある時、アプロディテの策謀によって、アポロンが人間の女性に一目惚れすると、世界存亡をかけた大騒動が巻き起こる!英米で絶賛と爆笑の嵐を巻き起こした、期待の新鋭によるコミック・ノヴェル。
この小説は自分のことを書いていると思いつめた男の危険な行動(「エロトマニア」)、マンションの惨劇がフラッシュバックして襲いかかる女の苦脳(「デジャヴュ」)、何者かが人の記憶操作をしていると勘繰った女の疑念(「ゴールデンアップル」)-正常な日常が歪んだ世界へ徐々にずれてゆき、狂気が複雑に絡み合う。人が壊れゆくその瞬間をじわりとあぶり出し、どろりとえぐり出す、渾身の連作短篇。
法を犯した精神障害者を収容・治療する医療観察施設。何重もの鋼鉄の扉で囲まれた重監護病棟で患者が女医を惨殺し、逃走した。残されたのは磔にされた全裸の遺体、そして胸にピアスで突き刺したタロットカード。「運命の輪」「吊るされた男」「愚者」…。逆位置のタロットカードが次なる殺人を呼ぶ。天涯孤独な女性捜査官・麻生利津とAI(人工知能)・キシモトのコンビが難事件に挑む。現役精神科医による迫真の医療サスペンス。
唯一の堅気者、新人キュレーター・エディ、魅力的な赤毛の美女“ダンシング”メイベル、100キロの巨漢“ベビーベッド”ブッチ、ベビーフェイスの伊達男“キッド”バーンスタイン、滅多にしゃべらない寡黙な“セイント”モース、そして、物に触れるだけで未来の悲劇を読み取ってしまう不思議な少女フェイ。悲劇を阻止すべく、BAMの面々は事件解決に乗り出す。
日露戦争直後、前人未踏といわれ、また、決して登ってはいけない山と恐れられた北アルプス・劔岳。測量官・柴崎芳太郎は、山頂への三角点埋設の至上命令を受け、地元の案内人・長次郎とともに、器材の運搬、悪天候、地元の反感など、さまざまな困難と闘いながら、その頂に挑戦する。そして、設立間もない日本山岳会隊の影がー。我が国最高の撮影監督といわれる木村大作が自らメガホンをとった、畢生の映画化作品の原作にして、新田次郎山岳小説の白眉を、読みやすくした新版。
バッグ、サングラス、警察手帳、ハンドグリップ、腕時計。何かを拾うことで転回する彼女たちと彼らの運命の物語。巻き込まれ型小説の名手が描く、心にすとんと落ちる珠玉のハートウォーム・ストーリー。