2009年発売
“悪魔”と恐れられる巨大な狼との知恵比べの最中、のどを食い破られた死体に遭遇する「カランポーの悪魔」。老カラスの宝物からダイヤを見つけたことで奇想天外な盗難事件に巻き込まれる「銀の星」等、全七編収録。自然観察者にして『動物記』の作者シートン氏が、動物たちを巡って起こるさまざまな難事件に挑む連作短編ミステリー。
誰に見られたのか?特番で上京した地方局の女子アナをつまみ食いした売れっ子プロデューサー神蔵の許に、情事の暴露を仄めかす脅迫メールが届いた。ばれれば番組の存続どころか自分の地位さえ危うい。神蔵は、彼の番組枠を狙うライバル部署の動向を探るが、そこには人気女優、アイドルの赤裸々な姿が…。画面には映らないテレビの深淵を描く官能サスペンス。
事故で陸上選手生命を絶たれた中学教師、家庭崩壊で転校してきた女子中学生、Iターン就農を目指す初老の男。無関係だった人生が「禁断の森」で交錯した時、平穏な日常が狂い始めた…平家の落人伝説、漂泊の山の民、因習の小集落…期待の大型新人が日本の原風景が残る山村を舞台に、人間の狂気と再生を描く、瞠目の野心作。
祖母の死をきっかけに八百万の神様たちが見えるようになってしまった女の子、澄香。 好き勝手し放題な彼らにもそろそろ慣れてはきたものの、おかしな神様たちはどんどん増え続け…。 電子レンジの神に変な招き猫に関羽…、何故か妖怪の河童まで!! そんな神様たちとの日常は、いつまでも続くものと思っていたが…。 「でこぼこな恋」で何かが変わる!?
男は知らない、女性のホンネ 蝶子46歳、遠望子41歳、綾音36歳、真咲31歳。かつて同じ家で暮らしていた彼女たちが、7年ぶりに顔を合わせるが…。タイプの違う20〜40代女性のホンネの恋愛観や人生観を描く連作小説集。(解説/藤田香織)
エスニックな香り溢れるタフで愉快な会社!? 東京にある小さな新聞社エイジアンはアジアの多国籍の人間が机を屋台のように並べて新聞を作っている。そこに迎えいれられたタカノ青年は…。タフで心躍る青春友情冒険物語。(解説/角田光代)
フランスに革命勃発!ウィーンでは皇帝たちが、妹マリー・アントワネットの身を案じていた。美貌の青年士官ルーカスはハプスブルグ家の密命を受け、混乱のパリに潜入する。フェルセンを始めとする貴族たちや革命家、外交の思惑が錯綜し、状況が刻一刻と変化する中、幼馴染みの王妃を守ろうと奔走するルーカスに迫る影。王妃が皇帝に当てた密書とは。激動の二都を舞台に描く歴史ロマン。
作家・安芸隆之は着物デザイナー・浅見抄子と出会った。互いに家庭を持つ身ながら、春めく伊豆の宿、桜花爛漫の吉野と京都、初夏の石狩平野と逢瀬を重ね、深く結ばれる。夫の存在をよそに二人の恋は燃えさかる。彼女が妊娠する。愛の逃避行は紅葉の飛鳥路、そして雪に閉ざされた北の大地へとさ迷い、いつか戻る時を失う。移ろいゆく四季に彩られた絢欄たる恋愛絵巻。男女小説の金字塔と言うべき傑作。
かすかに残る江戸情緒の中、私娼窟が並ぶ向島・玉の井を訪れた小説家の大江はお雪と出会い、逢瀬を重ねる。美しくもはかない愛のかたち。「作後贅言」を併載、詳しい解説と年譜、注釈、挿絵付きの新装改版。
裕福な家で奔放に育った夏子は、自分に群らがる男たちに興味が持てず、神に仕えた方がいい、と函館の修道院入りを決める。ところが函館へ向かう途中、情熱的な瞳の一人の青年と巡り会う。長編ロマンス!
岡っ引きに頼まれた色事に勤しむ無宿人竜助。が、それは覗きの罠であったー「夜の足音」。将軍家光が上洛。その際の噂で自滅する武士の話ー「噂始末」。大名家の娘の縁談に関わる旗本と春日局の意地ー「破談変異」。大久保彦左衛門が今わの際で自らの恥多き人生を振り返るー「廃物」。緻密な時代背景とスリリングな展開。時代小説の名手が一気に書き上げた粒ぞろいの短篇を収録。
史上最大の諜報機関にして、暗号学の最高峰・米国家安全保障局のスーパーコンピュータが狙われる。対テロ対策として開発されたが、全通信を傍受・解読できるこのコンピュータの存在は、国家機密だった……。
このコンピュータの公表を迫られたNSAは、解読不可能な暗号ソフトをなんとか解析しようとする。でなければ、アメリカという国家自体が完全に無防備になってしまうのだ……タイムリミットの暗号解読作戦の行方は!
彷徨い人が、うらぶれた町で見つけた「臓物大展覧会」という看板。興味本位で中に入ると、そこには数百もある肉らしき塊が…。彷徨い人が関係者らしき人物に訊いてみると、展示されている臓物は一つ一つ己の物語を持っているという。彷徨い人はこの怪しげな「臓物の物語」をきこうとするが…。グロテスクな序章を幕開けに、ホラー短編の名手が、恐怖と混沌の髄を、あらゆる部位から描いた、9つの暗黒物語。
北関東の地方都市で起きた風俗嬢殺し。事件担当の県警捜査一課警部補・古城辰郎は、無実の男を自殺に追い込み、警察から放逐された。家族とは別居、細々と探偵稼業を始めて2カ月、彼の許に真犯人は地元暴力団という話が舞い込む。独自の調査を始めた古城は、自分が上層部に嵌められたのではという疑念を抱く…。県警と暴力団の驚愕の癒着の実態とは。そして風俗嬢殺しの真相とは。元刑事の寄辺なき闘いを描破した探偵小説。
悪のヒーロー、朝倉恭介が作り上げたコカイン密輸の完璧なシステムがついに白日の下に。警察からもCIAからも追われる恭介。そして訪れた川瀬雅彦との対決。”朝倉恭介vs川瀬雅彦”シリーズ最終巻。