2010年12月発売
スワンは兄と二人暮らし。13歳の誕生日、立て続けに三人の少年から“王子”に間違えられた。“超”の最中に事故にあい、行方不明になっている王子にそっくり、というのだ。本当の王子はどこに?…“超”する少年たちの出会いと別れを描く“超”人気作、待望の文庫化。
ある雪の日の記憶。“赤腕”は笑わない子供。犬を連れたピエロと出会い、あたたかい心に触れ、呪われた運命から逃れようとするが…。大好きなアレンを捜して、蝋花が新本部を駆け巡る。秘話2本収録の小説第3弾。
21世紀後半、「大災禍」と呼ばれる世界的な混乱を経て、人類は大規模な福祉厚生社会を築きあげていた。医療分子の発達で病気がほぼ放逐され、見せかけの優しさや倫理が横溢する“ユートピア”。そんな社会に倦んだ3人の少女は餓死することを選択したーそれから13年。死ねなかった少女・霧慧トァンは、世界を襲う大混乱の陰にただひとり死んだはずの少女の影を見るー『虐殺器官』の著者が描く、ユートピアの臨界点。第30回日本SF大賞受賞、「ベストSF2009」第1位、第40回星雲賞日本長編部門受賞作。
元ボクサーのジョーはヴァンクーヴァーの高級ホテルで警備責任者を務めている。かつて経営者のレオを何者かの襲撃から護ったのがきっかけだった。ある夜、ホテルでレオの愛人だったメイドが殺される事件が起きる。ジョーは犯人探しを命じられるが、鍵となるレオの過去には濃密な死の香りが満ちていた…。ダークスーツがよく似合う、謙虚でクールなニューヒーロー登場!MWA賞に輝くスタイリッシュ・ハードボイルド。2010年のアメリカ探偵作家クラブ“MWA”賞最優秀ペイパーバック賞受賞作。
私立探偵サニー・ランドルがジェッシイのもとを訪れた。パラダイスの新興宗教団体に入信した娘を連れ戻してほしいという両親の依頼を受けたのだ。だが、その両親も心配なのは世間体で、娘に対する愛情は薄い。サニーはジェッシイの協力を得ながら娘のために奔走する。一方、ジェッシイはギャングの下っ端が射殺された事件の捜査に着手した。殺された男のボスは、奇妙なことに別のギャングのボスと隣同士に住み、美しい双子の姉妹をそれぞれ妻としている。ボスたちの邸宅へ聞き込みに訪れたジェッシイが見たのは、嫉妬をおぼえるほど幸福そうな二組の夫婦の姿だった。しかしその直後、くだんのボスの一人が先の殺人とよく似た手口で殺されているのが見つかる。不自然な共存を続けるギャングたちの中でいったい何が起きているのか…。プロとして仕事に邁進するジェッシイとサニー。お互いに破れた愛を引きずってきた二人は、いかなる未来へ向かうのか。愛と警官魂の物語ー巨匠ロバート・B・パーカーによる警察署長ジェッシイ・ストーン・シリーズ、ここに終幕。
「金なし、女なし」で迎えた四十歳の年末。だが元刑事・甲賀悟郎にとっては悪いことでもない。運命の分かれ道には、かならず最悪の選択をしてきたからだ。そこに「奥さんを保護しました……」という警察からの電話。借金苦で戸籍を売り偽装結婚した中国人女性・李青珠が、怪我をしたうえ記憶喪失の疑いがあるという……。15年ぶり書き下ろし、愛と悲しみのどんでん返しに向かって突き進む超高速弾丸エンターテインメント。
前妻の死から再婚までを淡々と綴った表題作、戦時下、疎開先での教員体験をユーモラスに描いた「古い編上靴」-これら世評の高い“大寺さん”シリーズほか、伯母の家の凋落に時代の変遷を重ねる「小径」、戦前の良き時代の交友を哀惜の情をもって語る「昔の仲間」など、七作品を収録。滋味あふれる洗練された筆致で、ほのぼのと温かい独特の世界を創り出した「小沼文学」中期の代表的作品集。
平和な家庭でのいつもの風景の中に忍び込む、ある予兆。それは幼い娘の、いつもと違う行動だった。やがて、その予感は、激しい発作として表れる。“破傷風”に罹った娘の想像を絶する病いと、疲労困憊し感染への恐怖に取りつかれる夫婦ー。平穏な日常から不条理な災厄に襲われた崇高な人間ドラマを、見事に描いた衝撃作。
ワシントンDC。麻薬、貧困、人種間の争いが蔓延する街ー。刑事ラモーンは、この街の犯罪との終わりなき闘いに日々神経をすり減らしている。そんな彼でさえ、やるせなくなる事件が起きた。犠牲者は少年で、しかも息子の友人。事件の解決を心に誓い捜査を始めたラモーンは、二十年前の未解決連続殺人事件との類似点に気づく。さらに他の殺人事件との意外な関連性も浮かびあがった。事件をめぐり、人間の欲望と執念が交錯するなか、明らかになる真相は…。家族の絆を軸に描く、哀切に満ちた傑作長篇。バリー賞受賞作。
マコト、恋に落ちる。ちぎれたネックレスの美女が池袋に現れた。かつてレイプ被害にあいながら力強く再生しようとする彼女の強靭な魂に魅かれていくマコトとタカシ。
「バブル入社組」世代の苦悩と闘いを鮮やかに描く。巨額損失を出した一族経営の老舗ホテルの再建を押し付けられた、東京中央銀行の半沢直樹。銀行内部の見えざる敵の暗躍、金融庁の「最強のボスキャラ」との対決、出向先での執拗ないじめ。四面楚歌の状況で、絶対に負けられない男達の一発逆転はあるのか。
「次の“バツ”は、こいつに決定していいと思うのですが」自殺した息子が遺した一冊のノート。そこには息子を死に追いやった人物たちの名が記されていた。嶋津は復讐に乗り出すが、老体にむち打つ彼に協力者が現れて…。連中を罰したい。
一九四六年、すべてを失い混乱の極みにある敗戦後日本に野間宏が「暗い絵」を携え衝撃的に登場ー第一次戦後派として、その第一歩を記す。戦場で戦争を体験し、根本的に存在を揺さぶられた人間が戦後の時間をいかに生きられるかを問う「顔の中の赤い月」。-初期作品六篇収録。
こんなにしっかりしたアイディアを原稿用紙五枚ぽっちにしちゃうなんてもったいない。と内外から言われ続ける、『小説推理』の名物連載「2000字ミステリー」。でも、短いからこその、この面白さ!?5年も続く当連載をギュッとまとめたこの1冊で、ぜひともお確かめを。オール4ページ、全部で60本。冒頭の「最後のメッセージ」は本格ミステリ作家クラブ編のアンソロジーにも収録された上作。