2010年2月発売
明治という時代を背景に、わが国の海運の礎を築いた英傑ー名を岩崎弥太郎という。土佐の郷士の家に生まれ、たいした役にもつけない身分や役に立たない学問に失望し、入牢の憂き目にあうなど、荒れた青春時代を送った。安積艮斎、吉田東洋らのもとで学び、後藤象二郎の知己を得、坂本龍馬と交流し、長崎の土佐商会の実権を握るようになる…。嫉妬やコンプレックスをばねにしながら、三菱財閥の基礎を築いた巨人、波瀾万丈の大河ドラマ、堂々の開幕。
「えええー、君、記憶ないの!格好いい!」そう言って探偵は道端で、俺を拾った。彼女に付けられた俺の名前は、赤月あお。まるで少女のような探偵の名は、天草しじま。追っているのは、他人に“擬態”することができるという、仮面の怪人・ダンテ…。これは“自分”を失った俺と、困った探偵と、ヒトゴロシの怪人の物語だ。
ジャーナリストのローダが長年放置してきた顔の傷痕を消す決意をしたのは、母親の再婚がきっかけだったのかもしれない。高名な形成外科医を訪ねた彼女は、医師の所有する荘園に滞在して手術を受けることになる。庭には古代のストーンサークルがあり、そこでかつて魔女が処刑されたという伝説が残っていた。手術の夜、そのストーンサークルに不審な光が…そして翌朝、ローダはベッドで扼殺死体となっていた。ダルグリッシュ率いる特捜チームが現場に急行するが、事件の影にはさまざまな秘密が!シリーズが、ついに重要な節目を迎える話題作。
ラール人はアトランとの現状維持政策を破棄し、人類のかくれ場NEIを潰滅させようとしていた。かくれ場をつきとめるため、補給惑星エンジョックに潜入したNEI工作員を捜索すると同時に、ローダンのドッペルゲンガーを使った陰謀を企んだのだ。一方、ラス・ツバイは、ローダン帰還の情報を得て、その真偽を確かめようとしていた。だが、ツバイは、細胞活性装置があるにもかかわらず、重い体調不良におちいっていた。
優しい革命家は死に、その魂は若き王に継がれた。そして今、彼らの都に軍勢が迫る。全米ベストセラー、世界17カ国の読者が熱烈に支持する『ミストボーンー霧の落とし子』待望の第二部。
資産家の娘でありながら幼稚園につとめるフェイスは、結婚して子どもを持つことがいちばんの夢。だが、金目当ての男性はいたものの、彼女自身を愛してくれる相手には出会えないでいる。そんなとき、セクシーで有能なビジネスマン、コナーが、大胆にもある提案を持ちかけてきた。それはふたりの結婚。いい夫、いい父親になるのと引き換えに、フェイスの父親の会社のCEOになりたいというのだ。愛は考慮に入れない契約結婚だが、ふたりのあいだには欲望があり、それが幸せの礎になるはずだった…。めくるめく情熱、甘美で刺激的なセクシー・ロマンス。
あなたたちがいたから、家族になれた。 学校でいじめにあっている長男・翔(11歳、小学五年生)は、家では不機嫌。自分が欲しがって飼った犬の散歩にも行かない始末だ。息子を心配するママ・小絵(38歳、専業主婦)は、家庭の事情にまったく関心をしめさないパパ・真太郎(45歳、会社員)にあきれ果て、テニスコーチと不倫に走る。思春期の長女・穣(17歳、高校二年生)も同じ高校に通う問題児とつき合いだした。 今にも崩壊しそうな中山家。 一家の一大事に、ペットの三毛猫ミケ(2歳・メス)とコーギーのタロウ(1歳・オス)が立ち上がる。果たして一家の命運は? 『万寿子さんの庭』の注目作家が描く、愛と絆の物語。
人間の情報的似姿を官能素空間に送りこむという画期的な技術によって開設された仮想リゾート“数値海岸”。その技術的/精神的基盤には、直感像的全身感覚をもつ一人の醜い女の存在があったー“数値海岸”の開発秘話たる表題作、人間の訪問が途絶えた“大途絶”の真相を描く「魔述師」など全5篇を収録。『グラン・ヴァカンス』の数多の謎を明らかにし、現実と仮想の新たなる相克を準備する、待望のシリーズ第2章。
9・11以降の、“テロとの戦い”は転機を迎えていた。先進諸国は徹底的な管理体制に移行してテロを一掃したが、後進諸国では内戦や大規模虐殺が急激に増加していた。米軍大尉クラヴィス・シェパードは、その混乱の陰に常に存在が囁かれる謎の男、ジョン・ポールを追ってチェコへと向かう…彼の目的とはいったいなにか?大量殺戮を引き起こす“虐殺の器官”とは?ゼロ年代最高のフィクション、ついに文庫化。
彼女のこめかみには弾丸が埋まっていて、我が家に伝わる箱は、どこかの方向に毎年一度だけ倒される。老教授の最終講義は鯰文書の謎を解き明かし、床下からは大量のフロイトが出現する。そして小さく白い可憐な靴下は異形の巨大石像へと挑みかかり、僕らは反乱を起こした時間のなか、あてのない冒険へと歩みを進めるー軽々とジャンルを越境し続ける著者による驚異のデビュー作、2篇の増補を加えて待望の文庫化。
1920年代の冬のある日、男が若い女を撃ち殺した。女は男の愛人だった。男の妻は女を激しく憎み、柩のなかの死者の顔に切りかかった。しかし、妻は次第に死んだ愛人のことを知りたいと思いはじめる。都会に暮らす男女のなかに生き続ける、時をさかのぼる憧憬と呪縛。過去、現在、未来を自由自在に往来しながら、饒舌な謎の語り手によって、事件の背景が明らかにされていく。ノーベル賞作家が卓越した筆致で描き出す衝撃作。
時は幕末。開明派の藩主・鍋島閑叟の下で「技術立国」を目指した佐賀藩は、ヨーロッパ産業革命の原動力となった蒸気機関の国産化を目論んでいた。中心となって奔走したのは佐野常民。類稀な行動力と、意外や涙で人心を動かす熱血漢であった。のちに日本赤十字社を設立することになる、熱き男の半生を描いた歴史長篇。
同じ車両の乗客が2人とも殺人犯である確率は1億分の1…。新宿発村上行の快速「ムーンライトえちご」で隣合わせた女性客。彼女の紙袋から漂う怪しいにおいの正体とは(「危険な乗客」)。振り込め詐欺、連続放火、交換殺人etc.日常の裂け目に潜む犯罪を描く、46万部突破の人気シリーズ「-者」スピンオフ短篇集。
未曾有の連続誘拐殺人事件(「模倣犯」事件)から9年。取材者として肉薄した前畑滋子は、未だ事件のダメージから立ち直れずにいた。そこに舞い込んだ、女性からの奇妙な依頼。12歳で亡くした息子、等が“超能力”を有していたのか、真実を知りたい、というのだ。かくして滋子の眼前に、16年前の少女殺人事件の光景が立ち現れた。
旧家・朝比奈家に嫁いだ苑香は才色兼備の完璧な嫁。やがて、彼女がツキをもたらしたかのように、朝比奈家は隆盛を見せるが、夫の妹・真希は、苑香にいいしれぬ違和感を覚える。そして、苑香を嫌悪する者は、なぜか次々と姿を消す。はたして彼女は何者なのか。ホラーと心理サスペンスが融合した傑作長編。