2010年発売
柴田勝家を滅ぼし、お市の方の三人娘、ちゃちゃ、お初、お江の身柄を預かった秀吉は、天下人への地歩を固める。やがてちゃちゃを自らの側室に、お江を政略結婚の道具にしながら、豊臣政権の永続に心を砕く。佗び茶の創始者である千利休は、職田信長に次いで秀吉の茶堂も務め、天下の大盛事・北野大茶会を仕切るなど、諸大名との間を取り持つ存在として政権に重きをなす。二人を軸に描く絢爛戦国物語。
伊賀には表と裏がある。八劔なる裏伊賀の忍者たちは、血を掛け合わせて人材を生み出す謎の集団。元和5年、八劔に美しく能力を備えた赤子・錏娥哢〓(あがるた)が誕生する。忍びの技を修練し、見目も麗しく成長。いくつかの旅で男たちと交わり、ますます妖しく輝きを放つ。寛永14年、錏娥哢〓(あがるた)は天草四郎時貞を追って島原に潜入する。島原の乱異聞ともいうべき、破天荒、前代未聞の忍者小説。
錏娥哢〓(あがるた)は常人離れした美貌と忍び技を兼ね備えた裏伊賀の女忍者。まさに島原の乱の渦中にあった。一揆を煽動する時貞。時に彼を手助けする錏娥哢〓(あがるた)。だが、強大な幕府軍の攻撃の前に、ついに一揆は潰えてしまう。裏伊賀と根本的に対立する存在である徳川家康の正体を知った彼女は、これを滅ぼすため、江戸へ。果たして難敵と勝負はいかに…。歴史小説の枠を超えた傑作エンタテインメント。
江近の戦国大名浅井家に美人姉妹と名高いお茶々、お初、お江が生まれた。姫達は、伯父信長に父を滅ぼされ、信長が討ち死にした後は、猿と蔑む秀吉の庇護を受ける。やがて、勝ち気な末娘お江が、水軍の将・佐治一成に嫁ぐ…。愛する男と無理矢理引き裂かれた姫は、運命に翻弄されながらも、水の如くしなやかに生き抜いていく。熱い想いを秘め徳川将軍家正室に上りつめた女の恋物語。書き下ろし歴史小説。
“生活安全特捜隊”-風俗から環境犯罪まで、あらゆる事案を追う警視庁生活安全部の特別捜査隊である。入庁以来、第一線の刑事への夢を抱き続けていた結城公一警部は、40歳を迎えた年にその“生特隊”の班長に任命される。捜査一課をはじめとする花形部署から軽んじられる生特隊だが、結城は個性豊かな部下たちにサポートされて果敢に難事件に挑んでいく。犯罪捜査を新たな視点で描く警察小説。
荒れ果てた小屋で見つかった若い女性の刺殺死体。レクシー・マディソンと名乗っていたその女性は、驚いたことにアイルランド警察の刑事、キャシーと瓜二つだった。犯人を探すため、レクシーになりすまして被害者が暮らしていた「ホワイトソーン館」へと潜入するキャシー。そこには四人の男女が現実離れした調和をもって共同生活を送っていた…。新人賞を総なめにした著者の待望の第二弾。2008年アマゾンUSエディターズ・チョイスミステリー部門第1位。
殺人事件の被害者が暮らしていた「ホワイトソーン館」に潜入した刑事キャシーは、ここに住む学生らとの共同生活に不思議なほど馴染む。しかし、屋敷が背負う暗い歴史、周囲の村の住人との摩擦…そこから浮上する数人の容疑者。やがて完璧な調和を保っていた共同生活のほころびが見えはじめ…。被害者が抱えていた暗い秘密とは?真犯人は?事件の真相が心を刺す、感動のミステリー。
華氏37度で変わらぬ外気、階下では終わらぬパーティ。温室のような部屋でひそやかに暮らす男と女は終末の予感のなかでー鮮烈な結末と強靱な知性がアメリカ文学界に衝撃を与えた名篇「エントロピー」。“革命”を夢見る少年たちの秋を描く、詩情溢れる「シークレット・インテグレーション」、年間最優秀短篇として『O・ヘンリー賞作品集』に収録され、デビュー長篇『V.』の一章へと発展してゆくスパイ小説「アンダー・ザ・ローズ」など、眩いほどの才能に満ちた全五篇、著者唯一の短篇集を新訳。ダメキャラに熱力学、ゴミに機械に帝国主義、スパイ、神話、ポップ・カルチャー…。のちのピンチョン作品の萌芽を見るもよし、一篇たりとも読み逃せない作品群に加え、作家本人による仰天のこき下ろし自作解説、訳者による目から鱗の解説・訳註を収録。
蒼橋星系から紅天艦隊が本国へと帰還し、ようやく平和が訪れたとだれもがほっとしたその時、撤収した敵艦の数が合わないことが判明した!4万トン級の大型艦1隻と小型艦6隻からなる“L”破壊をもくろむ紅天特務部隊を阻止すべく、義勇軍は奮闘するが…蒼橋騒乱決着までの顛末と、その3年後、連邦宇宙軍を退役したムックホッファが、熊倉中佐、末富大尉、和尚らとともに、“星海企業”を立ち上げるまでを描いた完結篇。
100パーセント修羅で書かれた小説です……。--西尾維新 “変わらないものなどないというのならーー運命にも変わってもらうとしよう” 迷子の小学生・八九寺真宵(はちくじまよい)。阿良々木暦(あららぎこよみ)が彼女のために犯す、取り返しのつかない過ちとはーー!? <物語>史上最強の2人組(ツーマンセル)が“運命”という名の戦場に挑む! これぞ現代の怪異! 怪異! 怪異! 君の影、探してまよう帰り道。 第閑話 まよいキョンシー
恋は、予想もしないところから訪れて、わたしを塗りかえてゆく。ずっと待ちつづけたあの人の影。禁じられたからこそ、燃えあがる感情。背筋を貫いた忘れられぬ快感。しずかに甦る、出会ったときの熱ー。結ばれて、喪って、また新たな鼓動に気づく。あなたへの想いは星座となり、やがて雪空へと溶けてゆく。『海猫』『余命』で絶賛を浴びた著者が描く、切なくて甘美な六色の恋愛模様。
謎の航海日誌「カルトローレ」を託された青年・タフィ。彼はかつて大空を航行していた巨大な“船”の乗員だったが、“船”は空から沈み、乗員たちは地上に帰還したという。その理由は。他の乗員たちの運命は。幾重にも折り畳まれた記憶の迷宮が開く時、“船”とタフィの出自の秘密が明らかになるー。豊かな想像力を駆使して硬質な物語を創造してきた著者による数奇で壮大な最高傑作。
これほどの快楽は、きっとどこか真っ暗な場所に通じているー。成功した仕事、洒落た生活、美しい妻と魅力的な愛人。全ては玩具にすぎなかった。安逸な日々を謳歌していた雅人が出会った少女のような女。いちずに自分を求めてくる彼女の、秘密の過去を知った時、雅人はすでに底知れぬ恋に陥っていた。禁断の関係ゆえに深まる性愛を究極まで描き切った、瑞々しくも濃密な恋愛小説。
時は寛永9年。三代家光の治世である。大老土井大炊頭の近習・椎ノ葉刀馬は、御公儀忍び組に関する秘命を受ける。伊賀・甲賀・根来の代表選手を査察し、最も優れた組を選抜せよというのだ。妖艶奇怪この上ない忍法に圧倒されながらも、任務を果たす刀馬。全ては滞りなく決まったかに見えたが…それは駿河大納言をも巻き込んだ壮絶な隠密合戦の幕開けだった。卍と咲く忍びの徒花。その陰で描かれていた戦慄の絵図とは…。公儀という権力組織を鮮烈に描いた名作。
八犬士の活躍150年後の世界。里見家に代々伝わる八顆の珠がすり替えられた! 珠を追う八犬士の子孫たちに立ちはだかるは服部半蔵指揮下の伊賀女忍者。果たして彼らは珠を取り戻し、村雨姫を守れるのか!?
大川端で遭遇した武士団の斬り合いに、傍観を決め込もうとした想十郎だったが、連れの田崎が劣勢の側に助太刀に入ったことで、想十郎も藩政改革をめぐる遠江江島藩の抗争に巻き込まれる。シリーズ書き下ろし第6弾!
ホームズとモリアーティ教授との死闘を描いた問題作「最後の事件」を含む第2短編集。ホームズの若き日の冒険など、第1作を超える衝撃作が目白押し。発表当時に削除された「ボール箱」も収録。
度重なる刺客との戦いに、織江は疲れを感じていた。彦馬を好きでなくなれば、一人で逃げ切れるかもしれない。切ない想いに動かされ、織江は自らに心術をかける。「あれは一時の気の迷い。恋なんてすべていつわりなんだ。幻なのさ…」。そんなある日、織江は妻恋坂下で呼び止められる。相手はなんと、幼馴染みのくノ一、お蝶。彼女は果たして刺客なのか?一方彦馬は、静山の指示でついに江戸を離れることにー。激動の第9弾。
生き延びることが最大の勝利だった戦国の世、流浪の身から大名にまで出世した男が、戦塵の果てに辿りついたのはーー。豊臣秀吉に琉球征伐を願い、乱世に夢を追い続けた亀井茲矩の生涯を描く、本格歴史長編。