2011年11月発売
19世紀ロシア。農奴解放令にともない、古い貴族文化は、新しい民主的文化に取って代わろうとしていた。その転期に、「ニヒリスト」なる者たちが台頭しはじめるー。旧世代と若者たちとのさまざまな議論を通して世代間の思想の相克を描きつつ、そこに新時代への曙光を見出さんとした。19世紀ロシア文学の最高傑作のひとつを漫画化。
みんなの愛情を一身に受けて育っていた末っ子の主人公キコに妹が出来た。すると以前のようにはかまってもらえなくなった。おりしもキコが釘を飲み込んだと勘違いしたママの早とちりから大騒動がもちあがる。キコの一日を時間に添って追いながら……。スペイン・モロッコ戦争を背景に、子どもと大人の眼を通して複雑な家庭問題と夫婦間の微妙な関係を描く、楽しくも悲しみに満ちた物語。スペイン文学のベストセラーの初訳!
国際江戸川大学の1年生、ぴいくんと慎之介は、同期生の古都里ちゃん、海月ちゃんと居酒屋「ちの利」で開く宴が学校帰りの楽しみ。そんなある日、大学に伝わる恐怖の七不思議、通称「江戸七」の一つを目の当りにしてしまう。4人は、ぴいくんの従弟である天才高校生、千葉千波くんに解決を依頼するのだがー!?書き下ろし特別編も収録した、ユーモアとパズル感覚満載の好評シリーズ第5弾。
小松左京生誕80年記念/追悼出版。代表的短編、長編の抜粋、エッセイ、論文を自在に編集し、SF作家であり思想家であった小松左京の新たな姿に迫る、画期的な傑作選。第一弾のテーマは「日本」。
敏腕捜査官マークとシリアの奇人アサドの珍コンビが帰ってきた!今回二人が挑むのは、二十年前に発生した兄妹の殺害事件。自首した犯人が収監されているが、背後にはまだ明かされない闇が……。
マンションの一室で孤独死を遂げた老人。遺品整理の最中、8ミリフィルムが見つかる。そこには温かく微笑む中年女性の姿が映っていた……。「無縁社会」と呼ばれるいま伝えたい絆と想いの物語。
子供の頃から居眠りばかり、けれども女好きなることこの上なく、国家老になってからも「昼行燈」という、あだ名をもらっていた男。柚子味噌をなめながら晩酎をし、妻女と仲よく暮らし、たまさかには出張にことよせて、あまり上等でない遊女たちと、たわむれ遊ぶことに無上の喜びを感じていた男…大石内蔵助という男の足音。
苦沙弥先生の書斎に今日も集うのは、迷亭、寒月、三平ら、太平の逸民たち。人間どもの珍妙なやりとりを、猫は黙って聞いている。滑稽かつ冗舌な文体と痛烈な文明批評。発表当時から「とにかく変っている」という折り紙がついた、夏目漱石の処女小説。読んで笑うもよし、首をかしげるもよし、深く考えるもよし。
タクシードライバーの蛭間正は深夜、新宿で若い女を乗せた。だが、何者かに胸を刺されていた彼女は「佐賀へ連れて行って」と言い遺し、車内で絶命する。遺族の懇願もあり、いつしか蛭間は死者を乗せて佐賀までの1200kmを疾走することにー。正体不明の追跡者が現れるなか、蛭間は困難をくぐり抜けられるのか。豪雨、落石、そして謎の追跡者。数々の困難がドライバーを襲う。戦慄のサスペンス。
「ことさら深刻ぶるのはよそうぜ」などとカッコいいせりふを吐いてぼくたち二人はおたがい納得して「離婚」したのです。ところがどこでどうなったのでしょうか、ぼくはいつのまにか、もと女房のアパートに住みついてしまって…。男と女のふしぎな愛と倦怠の形を、味わい深い独特の筆致で描き出す直木賞受賞作品。
生物と機械の境界が曖昧になった近未来のトーキョー。便利屋のおれが引き受けた「ラクダを捜してほしい」という奇妙な依頼が、謎の中国人、妖艶なひとつ目女を道連れにした、驚異に満ちた冒険へと発展する。著者の歩いたアジアの風景が、誰も見たことがない魅惑的な世界に結実した会心のシーナ的SFワールド。
貴方が生きている限り、避けることのできない苦しみがある。どんなにうまく人生を遣り繰りしてきたつもりでも、身の処し方に迷うことがある。そんな時、拠り所になる信条を持っていますか?遠く懐かしい記憶を、今でも大切にしていますか?かつて幼かった貴方の姿を、瑞々しい筆致で描いた掌編小説集。
「沙高樓へようこそ」女装オーナーの言葉で、今宵もめくるめく百物語が始まる。日本刀の真贋をめぐる真実、かつての日本映画界の伝説、やくざ渡世の内幕ー巨万の富と名誉を得た者が胸に秘めてきた驚愕の光景が、鮮やかな語り口とともに展開する。ストーリーテラー・浅田次郎が本領発揮した超贅沢な短編集。