2011年3月発売
大正四年、鬼龍院政五郎は故郷・土佐高知の町に男稼業の看板を掲げ、相撲や飛行機の興行をうったり労働争議に介入したりの華やかな活躍を見せる。鬼政をとりまく「男」を売る社会のしがらみ、そして娘花子・養女松恵を中心とした女たちの愛憎入り乱れた人生模様を、女流作家独自の艶冶の筆にのせた傑作長篇。
晴れて番方若同心となった不破龍之進は、伊三次や朋輩達とともに江戸の町を奔走する。市中を騒がす奇矯な侍集団、不正を噂される隠密同心、失踪した大名家の姫君等々、自らの正義に殉じた人々の残像が、ひとつまたひとつと、龍之進の胸に刻まれてゆく。一方、お文はお座敷帰りに奇妙な辻占いと出会うが…。
妹・鐘の誕生、そして父の文学賞受賞と、賑やかになった山野内家。荒野も、受賞パーティーや友人とクラブに出かけ、新たな世界を知る。だが、秋のある日、義母・蓉子が、妹を連れて家出してしまう。そして、荒野は守られていた子供の自分から決別することを心に誓うー。少女の成長物語『荒野』、いよいよ最終巻。
神保町で、強盗放火殺人事件が発生。容疑者にスポーツ用品店店長の渋谷が浮上する。だが、任意捜査の最中に渋谷は自殺。翌日には真犯人を名乗る女性弁護士・篠崎優が出頭する。混乱する特捜本部に、かつての上司・福原の命令で、育児のため一線から外れた刑事総務課の大友鉄が加わるが…。「アナザーフェイス」シリーズ第二弾。
わがままで強面だが人望厚い営業チーフ、いつも作業着姿の昭和風二枚目施工監理部員、掟やぶりのヒラメキ型デザイナー。彼ら“魔のトライアングル”三人組と内装会社の同僚達が、莫迦で無茶で情熱一杯に働く姿を描いた、胸を熱くさせる傑作ワーキングストーリー。文庫書き下ろし短篇「シューカツデイズ」を収録。
江戸幕府以来の特権町人「町年寄」樽屋の新当主は、二十三歳の熱血漢・三四郎。時の将軍・吉宗から「百眼をよろしく頼む」を謎の言葉をかけられたがー庶民の事情をすくい上げて事件の予兆を捉え智恵と人情で問題を解決する。時には権力に逆らいながらも江戸の町の安泰を図る三四郎の活躍を描く書き下ろし時代小説、第一弾。
女にもてない「私」がようやくめぐりあい、相思相愛になった女。しかし、「私」の生来の暴言、暴力によって、女との同棲生活は緊張をはらんだものになっていく。金をめぐる女との掛け合いが絶妙な表題作に、女が溺愛するぬいぐるみが悲惨な結末をむかえる「焼却炉行き赤ん坊」を併録。新しい私小説の誕生。
5歳のときに両親が離婚し、エラたち姉妹は母に引き取られる。しかし母は子供に愛情を注ぐことのできない人で、姉妹の子供時代は過酷だった。大人になった現在、雑誌で人気連載を抱える売れっ子コラムニストとして充実した日々を送るエラは、家庭を持つ気もさらさらなく、自立した気ままな暮らしを満喫中。ところがある日、穏やかな日常は打ち破られた。妹が1人で産んだという赤ん坊を母に預けたまま姿を消したため、なんとエラが赤ん坊の面倒を見ることになったうえ、父親捜しまでしなくてはならなくなった。最も可能性が高いのは、大富豪の御曹司ジャックだ。彼はあっさり親子鑑定に応じてくれただけでなく、エラと赤ん坊のために豪華なホテルまで用意してくれるのだが…。オール・アバウト・ロマンスで「ベスト・ロマンス・ヒーロー」に選ばれたトラヴィス家の次男ジャックが登場。同ベスト・ラブシーン賞受賞作。
19西紀、地中海のキュレネ島。治療師であるカーロは、ナポレオン戦争で傷ついた騎兵隊の少佐マックスを手当てする。そして、高潔な心を持つ彼に惹かれていく気持ちをどうしても抑えることができず、遺跡で熱いひとときを過ごした。しかし、それぞれ生きる道の違う2人は離ればなれに。その1年後、戦いに勝利し、退役したマックス。ロンドンに戻ってもカーロを忘れられずにいた彼は、偶然にも舞踏会で彼女と再会を果たした。そして女性でありながら医学を志す彼女が、ロンドン社交界では歓迎されていないことを知る。実はカーロは、ある「目的」があってロンドンに来ていた。それを果たすためには彼への想いを封じなければならないと惑う彼女だったが…リサ・クレイパスも大絶賛!センシュアルなロマンスで大人気のニコール・ジョーダン新シリーズ第1弾。
ひとつひとつは驚くほど短いけど、ぜんぶで60編のショートショートの中に、恋愛のもどかしさも、嬉しい気づきも、せつなさも楽しさもみんな詰まってる。共感要素は特大。数多くのヒットポップスを生み出してきた名作詞家だから描ける「恋愛小話」。オチがつきヒネリがきいて、なんだかスカッとする読後感もついてくる。『推定恋愛』『推定恋愛two-years』を合冊して再構成した完全版。ちょっと時間ができた時にサッと1話読める、ちょっぴりオトナなラブストーリー集。
将軍家定のため、数々の国難を救ってきた不知火隼人を目の敵にする反・家定勢力が、ついに隼人を抹殺せんと動き出した。「そなたは上さまの兄上。命を狙われておる」-大奥年寄・歌橋の告白に驚愕する隼人。実弟である家定より葵の脇差を、歌橋からは南蛮渡来の鏡を形見に授けられ、江戸を去るよう忠告されるが、刺客は背後に追っていた。白熱のシリーズ第四弾。書き下ろし長編時代小説。
同心豊岡文五郎と岡っ引き源兵衛は、四年前に兄弟押し込み強盗を捕らえた。兄の金兵衛は獄門、弟の弥蔵は島流しとなったのだが、弥蔵が腕の立つ浪人とともに島抜けをした。復讐の鬼と化した弥蔵たちの企てを、直心影流免許皆伝、大曽根三樹之助の剣が斬る。書き下ろし長編時代小説。
ロンドンで辻馬車業を営むわたしが乗せた奇妙な客は、馬車から降りたとたん、忽然と姿を消した。その男は死体となって発見され、同業者のひとりが殺人容疑で逮捕される。わたしは彼に、御者仲間全員の力を合わせて留置所から出してやると約束するー六千組の目と耳を総動員して。ヴィクトリア朝ロンドンを舞台に、辻馬車探偵ネッドたちの活躍を軽快に描く、傑作歴史ミステリ。
クリスマスに催したクッキー交換パーティに感心したという新婦の願いで、結婚式のプランニングをすることになったジェーン。親友のシェリイも引きずり込んで、会場の狩猟小屋に行くと、そこには動的・人的トラブルが山盛りで待ち構えていた。そしてついには、準備に集まった関係者から死人が出てしまう!主婦探偵が結婚式の裏方と同時進行で事件を調査する、シリーズ第11弾。
鬼ケ里を離れて学生生活を送る士都麻光晴は、旅先の森で美しい少女に襲われる。見事な黒髪、射るような黄金の瞳。去来する記憶に動揺する光晴に、少女が語った意外な過去とは…。
幼いころ、二人の兄とわかれ盗賊の頭領になった男。半年前から引き込み役を入れた東両国の太物問屋を襲うが、そこには下の兄がおり、町方たちが待ち伏せていた。上方が本店の江戸店の主にまで出世した次兄の人柄に惹かれ、手下が裏切ったのだ。賊を一網打尽にした北町奉行所定町廻り同心・神岡茂平は思う、百姓が嫌になり、上州渋川村から逃げるように江戸に出てきて紆余曲折の末、武士の養嗣子となった己と比べ、頭領の昔のわかれ道が、もし違っていたら…。江戸情緒溢れる人情時代小説。
亡き友の遺志を継ぎ、東海道を江戸へと向かう佐之介は人助けや悪人退治をしながら、そして女たちからの甘い誘惑とも戦いながら、ようやく箱根にたどり着く。しかし、峠への急峻な坂道で、謎の刺客たちに襲われ、打ち負かすも深手を負い、意識を失う。気がつくと、腹に包帯が巻かれ、どこかで見たような若い女がいて…。甘い顔立ちの優男ながら、天下無双の遣い手、春山佐之介の大活躍を描く、ますます快調のシリーズ第二弾。
スポーツ新聞文化部長会の旅行で韓国を訪問した有木進太郎。朝鮮半島の南北の接点である板門店は見ておく必要があるという大義名分でツアーに参加したが、一行にはジャーナリストとしての使命感より、口外できない密かな楽しみが目的にあった。市内見学をそこそこに切り上げた有木は、ソウルの妓生パーティで21歳の可愛い女性と知り合い、悦楽の一夜を共にする。しかし、献身的なサービスを気に入った有木は、ソウル滞在中ずっと彼女と過ごすことに…。
夫の恋をもう許さないことに決めた妻。その夫と恋人の奇妙な旅。教え子との関係に溺れる教師。その教師の妻のあたらしい習慣。決して帰ってこない男を待つ女。その女が忘れられない別の男ーーありふれた団地を舞台に、交わり、裏切り合う恋と運命。日常が孕む不穏な空気を、巧みに掬いあげた連作小説集。 交わり、裏切り合う恋と運命を描く、7つの連作短編集 ありふれた団地に潜む裏切り、恋、運命。 夫の恋をもう許さないことに決めた妻。その夫と恋人の奇妙な旅。教え子との関係に溺(おぼ)れる教師。その教師の妻のあたらしい習慣。決して帰ってこない男を待つ女。その女が忘れられない別の男ーーありふれた団地を舞台に、交わり、裏切り合う恋と運命。日常が孕(はら)む不穏な空気を、巧みに掬(すく)いあげた連作小説集。<解説・山本文緒> 誰の人生もそれなりに厳しいが、眉間に皺を寄せ続けるよりも、うっすらと笑みを浮かべて眺めたほうがいいことをこの小説は教えてくれる。恋愛なんて結婚なんて家族なんて馬鹿みたい、と思うとき、この小説を読んでみてほしいと思う。--山本文緒<解説より>
なぜか“教主さま”だという女の子を預かることになった。彩乃ちゃんといって、一見ごく普通の、小学五年生の女の子だーー。花屋に勤める二十代の智佳子、進路に悩む高校三年生の徹平、東京から地方に越してきた小学五年生の佳奈が、彩乃ちゃんとの出会いで知った人生の奇跡。前に進むすべてのひとに捧げる物語。 なぜか“教主さま”だという女の子を預かることになった。彩乃(あやの)ちゃんといって、一見ごく普通の、小学五年生の女の子だーー。花屋に勤める二十代の智佳子(ちかこ)、進路に悩む高校三年生の徹平(てっぺい)、東京から地方に越してきた小学五年生の佳奈(かな)が、彩乃ちゃんとの出会いで知った人生の奇跡。前に進むすべてのひとに捧げる物語。(講談社文庫) 第一話 夜散歩 第二話 石階段 第三話 夏花火